【バイヤーのコラム】不器用さも許してあげよう

バイヤー 郡

「陶芸教室の時の作品、焼き上がったから送るね〜」

先日、母からそんな連絡がありました。

そういえば、夏休みに帰省した際、母に連れられ、地元の陶芸教室へろくろ体験をしに行ったのでした。

作家さんの器が好きで陶器市にはよく行きますが、自分で器を作ってみたいとは一度も思ったことがありませんでした。なぜなら、私はとてつもなく手先が不器用だからです。

 

その人の性格が表れる?


こちらが私の作品です。案の定、持ち前の不器用さを発揮し、自分の思い描いていたものとは程遠い「器」が出来上がりました(苦笑)

このなんとも言えないぼってりとしたフォルムや、でこぼこの表面。陶芸にはその人の性格が表れると聞いたことがありますが、手先だけでなく、自分の内面の不器用さも表れているような気がして、少し恥ずかしくなります。

一方、こちらは母の作品。とにかく器の形状にすることで精一杯だった私に比べ、母はコツを掴むのが早く、器用に丸みを出したり、遊びを加えたりする余裕があったようです。

こちらも、おおらかで柔軟性のある母の性格が表れているような気がしました。

***

その日の夜、久々に母とビールを飲みながら、こんな話をしました。

「あんたは子供の頃からあんまり親に甘えない子だったよね。長女だから、しっかりしなきゃとか思ってたの?」

「どうかなぁ。私は甘えてないつもりはなかったけど……」

「いいや、全然甘えてないわよ。もっと甘えてもいいんだから」

「今言われてもなぁ。もう甘えていい歳じゃないし……」

「そういうところ、お父さんと似てるわ〜」

「え〜」

他愛のない母と娘の会話ですが、陶芸教室で作った器のことが思い出されて、なんだか少し可笑しかったのでした。

 

不器用さも許してあげよう


焼き上がった器は、「あれ?これ本当に私が作ったものだっけ?」と思えるものでした。

ろくろから剥がす際に、気が急いてつけてしまった指の跡や傷も、釉薬がかかることで、いい「味」となってくれていました。

それから、でこぼこしている表面も、実際に持ってみると意外と手に馴染んで、一気に愛着が湧いたのでした。

誰かに甘えることが下手だったり、ちょうど良い塩梅が分からなかったり。

なかなか器用に振る舞えない自分に悲しくなることが多かったけれど、そんな不器用な部分も受け止めて、許してあげたいなぁ。もしかしたら、そういうところが意外と、自分のいい「味」になってくれてるのかもしれないし。

でこぼこの湯のみに注いだお茶をすすりながら、そんなことを考えた年初めでした。


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