【スタッフコラム】こどものような大人でいたい
バイヤー 郡
ある日、とあるレストランにて。
隣のテーブルから、幼い兄弟のこんな会話が聞こえてきました。
「ママ、ぼくメロンソーダね!」
「お兄ちゃん、大人だね〜!」
おそらく、弟くんにとっては、炭酸が飲めることが「大人」なのでしょう。確かに子供の頃は、刺激の強い炭酸飲料は大人の味でした。
目をキラキラさせる弟くんと、ちょっぴりえへん顔のお兄ちゃんが微笑ましくて、私はくすっと笑ってしまったのでした。
***
さて、私は今月30歳になります。
せっかくこのタイミングでコラムの順番が回ってきたので、この機会に、自分が思い描いていた「大人」になれているのだろうか?ということを振り返ってみようと思います。
……正直、20代前半のころは、30歳になればもっと先が見えているものだと思っていました。人生の見通しがなんとなく立っていて、そこへ向かって堅実に生活をしているものだと。
でも実際、自分の場合は全く違っていました。何歳でこうして、何歳までにこうなって……というプランもなければ、道筋も見えていません。
同い年の知人には、独立する人もいれば結婚する人もいて。今のところ私にはそのような大きな波は訪れず、凪の状態と言えるかもしれません。仕事をして、好きなことをして、わりと真面目に生きているつもりではありますが、気が付いたら30歳を迎えていました。
20代でやり残したことは、掘り返せばいっぱいあるのだけれど、ではもう一度あの頃に戻りたいかと言われると、不思議とそうは思わないんです。
それはなんだかんだ、今が一番楽しいと感じているからかもしれません。
何が楽しいのかと聞かれたら、これだ!という明確な答えがあるわけではなく、漠然としているのですが、大人になった今のほうがやっぱり「自由」だからです。
この自由というのは、「何をしてもいい」ということではなく、自分の意思で選択できるという自由です。
もちろん選択する上で責任は自分自身にありますが、それでも自分で選べるって最高だなぁ〜、とつくづく思うのです。
大学生の頃、憧れの教授からこんな言葉をいただきました。
「若いうちにとにかくたくさんのものを見なさい。たくさんの人と出会いなさい。たくさんの価値観に触れなさい。」
当時の私はその言葉を信じて、人見知りながらも頑張ってたくさんの人と出会いました。仕事でも趣味でも、新しいことに挑戦している大人の人たちにも出会い、学生の私にはみんながキラキラして見えたのを覚えています。
教授の言葉のおかげもあって、私は様々な価値観を知ることができたし、何かに挑戦するのに年齢は関係ないと思えるようになったんですね。
そうして自分の選べる選択肢を少しずつ広げられたこと、自分のものさしで考えられるようになったことが、20代の大きな学びです。
それでも26歳を過ぎたあたりから、未来に対して漠然とした焦りのようなものを感じていた時期もありました。大人なのだから、自分の向かう方向性が見えていなければいけない、と思い込んでいたんです。
けれど今はむしろ、いろんな可能性があるほうが面白いじゃない、と思えるようになりました。
どんな小さなことでも、面白そうなことには素直に飛びついたり、やってみたいことをとりあえずやってみたり。ある意味で子どものような大人でいたいのです。
今までもそうだったように、自分の好奇心に正直に向き合って進んでいけば、なんとなくそれなりに道筋はできているのかも。
……というのが、今の私の考えです。
数年後にはまた考え方が変わっているかもしれませんが、それはそれで成長と捉えよう。これからの1年もまた「今が一番楽しい」を更新できるように、自分の歩幅で日々を歩んでいこうと思います。
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