【45歳のじゆう帖】髪型、どう決めてますか
ビューティライターAYANA
ずっと同じ髪型をしてきた私
私はメイクが好きです。メイクアップアーティストになりたいと思っていたこともあるし、雑誌のメイクページや新しい化粧品などを見ても、やりかた・使いかたがわからないということはほぼありません。色も好きなので、この色とこの色を混ぜたらこうなるというのもだいたいわかります。
しかし、ヘアスタイルとなるとからきしでした。
まとめ髪の作りかた、コテやヘアアイロンの使いかた、スタイリング剤の使い分け。同じ美容雑誌でも、ヘアアレンジのページを見るとマジで何が書いてあるのかわからない。
こんな芸当私には到底できないと思ってしまいます(ですので、私はメイクのやりかたがわからないという人に共感することが可能です)。
なぜなのかというと、まずメイクと比較すると、私はそこまで髪型というものに興味がないのだと思います。私は40代までずっと、ほぼ同じ髪型で過ごしてきました。それは、胸のあたりまであるストレートロングです。
もともと髪が丈夫な直毛で、パーマはかかりにくいし、まとめ髪をしようにも髪のテンションが強すぎていうことをききません。ストレートロングなら、そういった髪質の長所が活かせました。スタイリングはほぼ不要で、とにかく楽でした。
加えて、私は昔からビューティやファッションのアイコンがミュージシャンやアーティストということが多く、私が惹かれる彼女たちの多くはロングヘアでした。かわいいよりかっこいいを求める自分の嗜好性や、自分の髪質を鑑みた最適解がストレートロングだったのです。
奥底に隠し持っていた好奇心
ストレートロングはいわゆる「安住の地」で、ここにいれば大丈夫、問題ない、そう思わせてくれる髪型でした。
たまに気が向けばボブまでばっさりと切ったり、レイヤーを入れたりすることもありました。しかしそれらは、ストレートロングという実家に帰ってくるまでの旅行のようなもの。そこからまたストレートロングに戻っていくのが定番でした。
しかし40代に入り「ビューティライター」を名乗り出したころ。私は「ビューティライターなんだから、美容のことを色々と経験しておかないといけないな」と考えていました。
たとえば、クレンジングはオイル派だから、クリームやローションは使いません!ではなくて、全部を使ったうえで、それぞれのいいところを知っておかなければいけない、みたいなことなのですが。
同時に、人生が果てしなく続くものだという意識が薄れ、「どうせならいろんなことを経験したい」「やらずに死ぬより、やって死ね」と考えるようになりました。
自分は美人じゃないという自覚があり、また、たいして美しくなるための努力もしてこなかったのですが、そういうことも、一度やってみてもいいのでは?と思ったんです。
そんなとき、TWIGGY.の松浦美穂さんに髪を切ってもらえることになりました。
髪型も人生も、同じ日は2度とない
それまでの私は基本的に、「ベースはストレートロングで、なんとなくいい感じにしてほしいな」みたいな気持ちでヘアサロンに行っていました。
でも美穂さんは「なんとなくいい感じに」「お客様のリクエスト通りに」切ることはしない人。曖昧な態度は許されません。でも、こっちがはっきりと希望や意思を伝えれば、「それならこういうのは?」といろんな提案を返してくださいます。ある種のセッションみたいな感覚です。
2ヶ月おきに切っていただいているのですが、毎回まったく違う髪型にしてくださいます。最初はストレートロングの変化形だったのが、ミディアムになり、ウルフになり。
そうすると免疫みたいなものがついてきて、世の中の色々な髪型を自分ごととして見るようになり、高校生ぶりのパーマにもトライ。かかりにくいパーマも、時間をかければちゃんとかかるとわかりました。さらにショートボブでオールバックにしたり、もはやなんでもありになってしまいました。
ストレートロングは私のスタイルだ、これまで私はそう決めつけていました。なのに、いろんな髪型にしてみると、あれもこれも、もっとやってみたいとなる自分がいました。ふと昔の写真を見ると、ストレートロングのほかにも似合う髪型がありそうなのに、なんて思ってしまいます。
髪型を褒められることも増えましたし、何より、ヘアスタイルというものに対しての苦手意識がかなり払拭され、当たり前なのですが「髪は伸びるもの」という意識が強くなりました。
今日のヘアスタイルがいまいちでも、明日は全然違うスタイリングに挑戦してみればいいと気楽に構えるようになったし、切ってもらってから次に切る2ヶ月間の間も髪は伸びていて、どんな風にその過程を楽しもうか、と考えるようになったんです。
毎日同じようで、1日1日が少しずつ違っていて、同じ日は2度と来なくて。その事実を愛おしみながら、新しい髪型を楽しんでいきたい。ずっとずっと同じ髪型だった反動もあって、今そう思えるのが嬉しくて仕方がありません。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
AYANAさんに参加してもらい開発した
KURASHI&Trips PUBLISHING
メイクアップシリーズ
AYANAさんも立ち会って制作した
スタッフのメイク体験
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