【スタッフコラム】ひとりごとが言いたくて。
バイヤー 石谷
今年のはじめに引っ越しをしました。
自然が多くて、都会に比べると人が少なめという環境もあるのでしょうか。引っ越してから驚いたことがあるんです。
それは、「鼻歌を歌っている方」に出会う頻度が多い、ということ!
家で過ごしている際に窓の外から聞こえてきたり、自転車でぴゅーっとすれ違う瞬間に聞こえてきたり。
聴き馴染みのある歌だったり、演歌のような歌だったり。
時には、日本語でも英語でも中国語でもないような、わたしの知らない言葉で、外国人の方が歌いながら通り過ぎる、なんてこともあります。
なにか良いことでもあったんでしょうか? 出会うたびに、あ、なんかこの瞬間良いぞと、ご機嫌の理由を聞いてみたくなるのです。
* * *
話は変わって、また別の日。
配線業者さんなのでしょうか。電柱の前に立ち、「なるほどね」と一言。頷きながら、なにかを確かめている男性にすれ違いました。
また別のある日は、八百屋さんで「わあ。これ美味しそう」と言っている女性。
外ではひとりごとを言うことが無かったわたしにとって、なんだかこの光景も新鮮に映りました。
考えてみると、わたしが鼻歌を歌ったり、ひとりごとを言う時と言えば、今はもっぱら家の中。
料理中に好きな音楽を流して、口ずさんだり。仕事中、デスクで「あ〜どうしよう〜!」なんて呟いたり。晩酌タイム、ビールを飲みながら「最高〜!」なんて言ったり。(笑)
自分のテリトリーの中で、安心しきっている時なんです。
そう考えると、ひとりごとを言える瞬間というのはもしかしたら、” 自分は今、心を許せる場所にいるぞ ” という印、なのかもしれないですね。
それが外にもあるって、なんて素敵なんでしょう。
そんなことを考えながら、八百屋さんの店内を歩いていると、奥から店主が先ほどの女性のもとへ向かっているのが見えました。
「これはね、美味しいと思うよ。苦味が全然なくてさ、炒め物にした時〜」なんて店主のアドバイスが続きます。
心を許せる場所が増える、というのは、人のつながりも自然と生まれていくものなのかも。
なんだかその光景を見ていて、焦らず、でもいつか、わたしもひとりごとが言える場所を増やしていけたらな、と思うのでした。
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