【スタッフコラム】1日を「いい気分」で過ごすために。
編集スタッフ 二本柳
よしもとばななさんの『小さな幸せ46こ』(中公文庫)というエッセイをひさしぶりに読み返しました。
最近、この「小さな幸せ」という言葉がはじめて真実味を帯びて耳に響いてくるようになりました。
それはたぶん、自分に子どもが生まれたという変化や、ここ最近のご時世や、いろいろなことが影響して、本当の意味で小さな幸せが必要だと感じているのだと思います。
それで、生活にもちょっとした変化が表れるようになりました。
できる限り毎日を “いい気分で” すごしたいと努力するようになったんです。
以前だったら毎日をちょっとばかし雑にやりすごしても、たとえば一年に一回おおきめな旅行を計画するとかなにかして心をリセット。そうすれば万事OK、なんてずいぶん大雑把にバランスをとっていました。
でも今となっては、ごまかしがきかないと言いますか。
365日、朝昼晩こうして生きてる時間の連続が「すべて」なんだよ、と言われてるような気がします。
そんなわけで、生活に “いい気分” をコツコツと散りばめるようになりました。
クラシコムではリモートワークが続いています。
自分で自分のために用意するお昼ごはんは、いくらだって適当にできるけれど。ここは空腹をぐっとこらえます。
できるだけ丁寧に盛り付けて、テーブルを拭いて、最近好きなドラマ(いまは『This Is Us』)をかけて。それから姿勢を正して「いただきます」と声に出してみる。
これも “いい気分” の貯金です。
寝室からリビングに入るとき、お花が目に入るように模様替えしました。
朝起きてリビングに向かう、そのありふれた時間にも、一瞬だけ感動があるように。
3日に1回モップがけをするようになりました。
西陽に照らされた床がぴかぴかに光って気持ちがいい。その上を歩きだしたばかりの息子がヨロヨロ歩いてます。
モップがけは “いい気分” の下準備です。
小さな庭のある部屋に引っ越したのは昨年の秋。
リサイクルショップで椅子を買って、たまにコーヒーは外で飲むことにしました。
忙しさにピリピリしてきたら深呼吸、深呼吸。今日も庭のアリは働きものです。
夜になったらスタンドライトに灯りをつけます。
これまで「飾り」になっていたお気に入りのライト。やっぱり灯りをともしたときの姿がいちばん素敵でした。
子どもが寝たあとに夫と映画を観るようになったのも、最近のこと。
つい1〜2年前までは「映画はひとりで観るにかぎる」と思っていたんです。でも同じ作品を人とシェアすることは、共通言語をふやす、みたいなことなんだと知りました。
以前、母がこんなことを言っていました。
「お母さんたちの歳になるとね、思い出で生きていけるの」と。
だから私は、お金の使い道をモノより思い出、体験に費やしてきました。
けれど思い出は旅の中にだけあるわけじゃない。非日常の体験の中にだけあるわけでもなくて。
洗濯物が積まれたソファの上に、子どもが投げたスプーンがつくるラグの染みの中に、きっと思い出のかけらがひそんでいるのだと信じたい。
だから今こそ1日の生活に “いい気分” をコツコツ散りばめておこうと思います。
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