【訪ねたい部屋】02:型にこだわるより、「これが好き」を重ねて作ったダイニング
編集スタッフ 藤波
特集「訪ねたい部屋」は、自分にフィットするインテリアを楽しんでいる方に家づくりのヒントを伺う企画。
3年前にリノベーションした都内のマンションに家族3人で暮らす、デザイナーの板井亜沙美(いたい あさみ)さんを訪ねています。
第1話では、簡易的なリノベーションを選んだ経緯や、ヴィンテージ好きの原点についてお聞きしました。
第2話では、お気に入りの家具に囲まれたダイニングについて詳しく伺います。
一目惚れした「廊下のない間取り」
玄関を入り廊下を抜けた先、広々とした横長のリビングダイニングの左側が、キッチンと繋がったダイニングスペース。掃き出し窓に囲まれているため電気をつけなくても明るく、窓を開けると風がふわーっと吹き抜けます。
板井さん:
「物件見学に来た際、一目見て、部屋を仕切る廊下がほとんどない開放的な間取りに惹かれました。一番奥に書斎や和室があるので、家に帰ってきたら全員がリビングダイニングを通る必要があるという動線も、夫にとって理想だったようです。間取りが気に入っていたので大掛かりな工事はしていません。
窓が大きくて目線の先が抜けた眺望もすごく良いなあと思いました。簡易的なリノベーションを選びましたが、天井は“躯体現わし”というコンクリートを剥き出しにする施工をしたことで、より天井が高くなり開放的な空間になりました。無骨でハードな雰囲気が、ヴィンテージの家具との相性も良いです。
キッチン、ダイニング、リビングが繋がった大きな部屋。それぞれ別のことをしていても、家族で一緒に過ごせるところもすごく気に入っています」
探すのに苦労したダイニングテーブル
▲美しい佇まいのラウンドテーブルはエクステンションできて、お客さんが来た時は広く使えるそう
キッチンのすぐ脇には部屋の主役とも言える大きな円卓があります。
板井さん:
「ダイニングテーブルはヴィンテージのものをとずっと思っていたのですが、リノベーションをしたのがコロナで外出を控えていた時期だったのでネットで探していたんです。『良いかもなあ』と検討しているうちに売却済みになって肩を落とすこと数回……3ヶ月弱探してようやく出会えたのがこの円卓です。
ヴィンテージに限らないかもしれませんが、ネットで買うとなると自分の直感をどれくらい信じて良いか分からず、なかなかに難しかったですね。
届いた時はあまりの大きさに圧倒されましたが、今ではすっかり家に馴染んでいます」
板井さん:
「ダイニングの隅にあるコーナーラックには、オブジェや季節の花を飾っています。空気清浄機が置けるスペースを残しつつ、娘の手が届かない高さのある棚が欲しい……となった時に良いものがなかなか見つからず、DIY好きの父にオーダーしました。
2歳の娘にとっては危険なものもあるので、インテリアを楽しむうえで高さのある飾り棚は重宝しますね」
「やっぱりこれしかない!」と決めた椅子
あれもこれも、どこで購入されたのか聞きたくなってしまう板井さん宅の家具たち。お気に入りを厳選して教えてもらいました。
板井さん:
「ヴィンテージの椅子を少しずつ集めているのですが、我が家のエースは『THONET(トーネット)』のラタン製のチェア。
目黒にある『Pocket Park』というヴィンテージインテリアショップで一目惚れしたのですが、ナチュラルだから家の雰囲気に合うかな?と迷い一度は断念したんです。けれど、後日『Pocket Park』も参加していたインテリアイベントで再びこの椅子を目にした際に、夫と2人で『やっぱりこれしかないね!』となり購入しました。
やわらかな曲線を描いたフォルムの美しさはもちろん、とっても軽くて、座面が広いからか座り心地も良いんです。座面のラタンは今では珍しい手張りのため修理が難しいようなので、ずっと大事にしていきたいです」
天井のライティングレールからは、個性的なガラス製のペンダントライトが2つかかっています。
板井さん:
「ダイニングテーブル上の、クラゲのようなフォルムが特徴的なランプは『SHARK ATTACK』で購入しました。
ソファ側にあるライトは『Poket Park』で購入した『HOLOPHANE(ホロフェーン)』製のもので、こちらも大のお気に入りです」
好きなものが部屋に馴染むように
▲娘さんが土を触ってしまわないよう取り付けた観葉植物カバーもお父さん作。娘さんが座って過ごすこともあるとか
リビングとダイニングの間のスペースにも、観葉植物に寄り添うようにしてかわいらしい椅子が置いてありました。
板井さん:
「この椅子は『FUNagain』というリサイクルショップで購入しました。他ではなかなか見ないような幾何学模様の布張りに一目惚れしたのですが、いざ家に持ち帰って置いてみると、色合いが部屋から少し浮いて見えたんです。
もう少し部屋に馴染ませたいなと思い、まず椅子の布地に含まれている暖色に合う黄色いクッションを置いてみました。次に、黄色を使ったシンプルな幾何学模様の絵を描いて壁に飾り、空間にまとまりがでるようにしました。
たまに思い立って、家族が眠ったあとごそごそ起き出して絵を描くんです(笑)家の一角がアトリエになる、真夜中のひとり時間はどこか特別に感じますね」
忙しい朝の準備もばっちり
▲キャビネットの脚は、お祖父さんが愛用されていた将棋盤から取ってきたそう
ダイニングに入ってすぐのキャビネットは、板井さんが図案を作成しお父さんがDIYしたものだそう。何が入っているのでしょうか。
板井さん:
「キャビネットの大人っぽい雰囲気からは意外かもしれないのですが、おむつや着替えなど娘の保育園グッズをみっちり収納しています。『無印良品』のソフトボックスがぴったり収まるように図案を考え父に依頼しました。
キッチンカウンターの上の籠にはおむつに押す用の名前スタンプを入れていて、ここで朝の準備が全部できるようになっているのがとても便利です」
▲お父さん作の家具の中にはよく見ると「ジジ」サインが。お孫さんを想う気持ちにほっこりします
入った瞬間、思わず「わ〜!」と声が出てしまった、開放感のある明るいダイニング。ひとつひとつの家具への愛着や、妥協せず時には手作りで工夫を重ねた経緯をお伺いして、その時間があってこそ生まれた空間なのだなあと納得しました。
続く第3話では深いグリーンのタイルが魅力的なキッチンについて詳しく伺います。お楽しみに。
【写真】関めぐみ
もくじ
板井亜沙美
デザイン会社でデザイナーとして働く。都内の中古マンションをリノベーションした部屋に2歳になる娘と夫と暮らしている。インスタグラムは@tgwasm1116から。
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