【繕うふたり】前編:自分が引っ張るのではなくて、数字の奥にある「感情」をすり合わせたい(竹内 × 村田)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、お店で取り扱う商品を決めるバイイングや、先々の計画を立てたりする「MDチーム」の竹内と、クラシコムやお店を裏側から支える「システムプラットフォーム部」の村田が登場。

登場するふたりは、共に「マネージャー」を任されているという共通点があります。現在、それぞれが10名ずつのメンバーをまとめる役割です。この役割ならではの難しさもありますが、どんなことを考えながら、日々の仕事を進めているのでしょう?

話してみると、意外にも「心がけ」が似ていることが見えてきました。マネージャーは「いろんな調整をする仕事」で、洋裁にたとえるなら、ほころびが出そうなところを直しておくようなところがある、と言うのです。

そんな “繕うふたり” ですが、クラシコムでマネージャーとして働いていくなかで、「変わったこと、変わらないこと」はあるのでしょうか?

前編は村田が主に聞き役となって、竹内に色々と質問してみました。

 

この場所でなら、本気で何かと向き合えるかもしれない

村田:
竹内さんは、僕が入社した2019年のアタマくらいには、もうマネージャーの役割を担っていましたよね。

竹内:
入社して2年目の頃からです。今より社員数はずっと少なくて、私は3人目のMDメンバーでしたし、たぶん全員でも20人くらいだったはず。「バイヤー歴」と呼べるものだって、実際のところほとんどなかったです。

村田:
未経験に近いのに、さらにマネージャー役となると、なかなか大変そう。もともとは「北欧、暮らしの道具店」のお客さまだったんですか?

竹内:
学生の頃から知っていて、就職活動中によく見ていました。「クラシコムの中の人がこんなふうに働いてます!」みたいなコラムを見るのが面白くて。インテリアや洋服は好きでしたけど、たぶん、私より少し年上くらいの人たちが、こうやって仕事をしているんだ、こういう仕事があるんだなぁ、と知れるのがよかったんでしょうね。

卒業後はアパレル販売員として就職しました。売上管理をしたり、店舗の装飾を考えたり、いろいろなことを経験できたのですが、2年くらい勤めてみると、どこかもやもやしている自分もいて。もともと興味があった建築系の仕事をしてみよう、と思い直したんです。

村田:
実は学生時代に学んでいたとか?

竹内:
そうでもなくて。親が設計士をしていて影響も受けたのですが、大学の専攻も関係なく……違う道をうろうろしてしまった感じですね(笑)。それで、職業訓練校に通って、CAD(※キャド、建築設計者向けのソフトウェア)で図面を引けるようになり、縁があった設計事務所に入りました。

設計事務所の所長さんからの言葉で、今でも覚えていることがあるんです。「竹内さんは器用貧乏だね」って。ちまちました作業を黙々とすることもすごく好きですし、たしかに自覚もありました。いろんなものに手を付けるけれど、抜きん出たものはない。そのタイプだとしたら何かのスキルを極めるような仕事は違うのかも……みたいに、またもやもやと。

そんな時にクラシコムで社員の募集が出ていて、とても惹かれました。ちょっとチャレンジしてみようかな、って。

村田:
どんなところに惹かれたのですか。

竹内:
コラムなどを通じて、みなさんが仕事に取り組む裏側を見ていたから、「自分もクラシコムなら本気で何かと向き合えるかもしれない」と感じたんです。

どんな肩書きを持っているのか、どういったスキルを活かして働くのか、といったことよりも、お客さまを想像して細やかに気配りしたり、些細だけれど大事な違和感を無下にせず取り組んだり、真摯に仕事をしている。それに、誠実さを保つための地道な苦悩みたいなものに触れて、興味が湧いたんでしょうね。

こういう考え方を大事に、私も仕事としてやってみたいと思いました。

 

「ずっと調整し続けていく仕事」です

村田:
入社したときからMDで、バイヤー職からスタートでしたか?

竹内:
そうなんです。未経験でもOKだったので、エディトリアル志望で面接を受けたのですが、MDとして入社することになって。

村田:
近しい経験だと、アパレルの販売員時代はつながっていそうですね。

竹内:
そうですね。「北欧、暮らしの道具店」はウェブ販売ですけど、アパレル店舗では商品の並べ方や見せ方、売上や在庫といった数字面での管理も経験していました。MDグループでは色々ある仕事のうち、まず「VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)」に取り組んだのですが、商品をお客さまに適切に見せるお店づくり、という意味では、確かにつながるところがあります。

村田:
今振り返れば、もっと「北欧、暮らしの道具店」としてのMDのことを経験してから、さらにマネージャーという役割に取り組んでみたかった、とは感じませんか。

竹内:
あんまりないかもしれません。もちろんバイヤーとして仕入れを頑張るのも、とても大切で楽しい仕事ではあるのですが、それをチームのメンバーに託している今の状態もいいなと思っています。

マネージャーって、私は「いろんな調整をする仕事」だと捉えていて。「北欧、暮らしの道具店」のお店として品揃えや雰囲気、中で働いている人たちの姿も含めて、それこそ私が初めて触れたときみたいな状態を守っていく一人でいたい、そこに貢献できるようにしたい、という気持ちがずっとあるんです。良い意味で、仕事の内容にはこだわりがないというか。

村田:
それは僕も一緒ですね。「組織を良い感じに保つ」というのも、僕にとっては「個人的な」自己表現の一つだと考えていて。それこそ代表の青木さんが、クラシコムは自分の作品と言うように、今の仕事は変わり続ける「無形のものづくり」のようなイメージ。

その形すべてをどうしたいのか、そこまでは僕はわからないところもあるけれど、「このあたりから、何かほころびが出てくる気がする」みたいなところを、ずっと調整し続けていく役割がマネージャーの仕事の一つではないかなと。

竹内:
確かにそうですね。クラシコムが「目標達成のために」とか、「来年はこういうテーマで」とか、そういう前提で仕入れやオリジナル商品の企画をすることはなくて。

店長の佐藤さんともよく「数字を情緒的に見る」という話をするんです。たとえば、「新しいニットが何枚売れました」という数字の裏にある状況や背景を想像して、一つひとつほぐしながら、傾向や理由を見ていきます。お客さまの気分というか、声には出さない「空気」みたいなものを読み取りたいんですね。

そうやって、お客さまの今日や明日、それから何ヶ月後を想像して、時々の気分や感情を大切に進めていることもあってか、私の役割も「自分が引っ張る」ようなマネージャーではないです。もし、そういうマネジメントが必要と言われたら、きっと私にこの役割は担えていないかもしれないです。

 

「強がっていた」私をやめて、まずはわかってもらうことから

村田:
そういった考えは、最初から持っていましたか?

竹内:
マネージャーになりたての頃は「どうやってメンバーを束ねて、チームとして運営していけばいいんだろう」と、実はまったくわからず……私は「一般的なリーダー像」には絶対になれないでしょうし、どちらかというと目立たず、ひっそりいたいタイプ(笑)。

それでいて、考えがストイックだったり、神経質なところもあったりするから、うまく足並みが揃わないと感じてしまうときもあって。

村田:
どうやって乗り越えていったんですか。

竹内:
最初の2年はうまくいかず、自分の性格もあって、みんなに負担をかけていることも感じていました。ある時は、メンバーの前で泣いてしまったことも。でも、そこで改めてそれぞれと話していく中で、「私という人をまず理解してもらわないといけない」と思いました。

自己開示したことで、みんながそれを認めてくれて、結果としてみんなも力を出しやすくなれてきたような感じがあります。

村田:
僕から見るとしっかり者な竹内さんでも、うまくいかなかったこともあるんだ、と知れて、何だかホッとするところもあります(笑)。

竹内:
たぶん、私は強がっていたんですよね。「マネージャーだからちゃんとしなくちゃ。メンバーに頼らず、役割を引き受けなきゃ」って。

村田:
そうか。それで納得したんですけど、今の竹内さんが困っている時って、見ていてすぐわかるんですよ。

竹内:
えっ、本当ですか?

村田:
それは自己開示がうまくできるようになったから、ということなんですね。

竹内:
そうかもしれません。うまくいかない時期を経ての今がありますから。今はもう、メンバーにたくさん頼っています。

村田:
竹内さんが「自分にはできないこと」がみんなに伝わると、「それなら私が代われるかも」と、メンバーも自分ごと化しやすいところもあるんでしょう。

竹内:
そう聞くと、以前はメンバーに「あれをやって、これをやって」と指示するだけのコミュニケーションになっていました。今みたいに「ここに困っているからお願いしたいです」と伝えられていなかったなぁ……。

 

そのほうが、お店って、きっと楽しくなると思うんです

村田:
竹内さんにとって、良いチームの状態、ってどんなものだと思いますか?

竹内:
先ほど「自分が引っ張る」ような方法ではない、と話したのですが、目標や方向性がないわけではないんです。確かに私は計画を立てたり、方向性を伝えたりする側です。そのなかで大事にしているのは、「前回の販売がこういう結果で、きっとお客様はこういう気持ちだったかもしれないから」みたいに理由とセットで考えながら、次に並べる商品をみんなで話すことで。

ただのファクトだけを伝えるよりも、その背景や理由、決めた経緯のようなものを理解し合うことが大切だと思っているんです。

村田:
どうして、そうしているんですか?

竹内:
「一番大切にしたいものごとや核心」を認識し合いながら、みんなで一体となって取り組める気がするからです。

そういった芯や軸のところがつながっていれば、メンバーたちも憶測などをせずに、純粋な気持ちでお客さまやお店のことを想って、のびのびとアイデアを出せたり、相談できたりするのかな、と。それが良い状態なのかなと思います!

村田:
メンバーそれぞれの得意なことを生かしやすくできそうです。

竹内:
全員が全く同じ方向を見ているよりも、話し合いを経て、それぞれが感じたことをもとにして、いろんな提案をしてくれる。それを私も楽しみに仕事をしたいな、と思っています。

お店を俯瞰して仕入れを考える人がいてもいいし、もっと細やかに商品の一つずつにこだわっている人がいてもいい。そのほうが、お店って、きっと楽しくなると思うんです。

私はコミュニケーションが細かいほうだとは思っていて、メッセージが長文になったり、話が長くなったりしまいがちで、メンバーのみんなには「めんどうだなぁ」と思われてるかもしれないですが(笑)、それも含めて、おおらかに認めてくれているメンバーには感謝したいですね。

村田:
竹内さん自身が仕事で「楽しい!」って感じるときって、いつですか?

竹内:
なんだろう……「わぁ!楽しいな〜」となるよりは、「今日もお疲れ様!」みたいに思う毎日です。一つ乗り越えれば、次の課題が絶対に何かしら見えてきて、終わりがないです。

村田:
その分だけ「やれるところがいっぱいありそう」みたいな。なんだか、家づくりにも似た話ですね。

 

(つづく)

【写真】川村恵理

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