第6回 スウェーデン人の不思議な価値観

デザイナー 村田

■◇◇■ 第6回 「スウェーデン人の不思議な価値観」 ■◇◇■

今回はおにぎりカフェをやっていて、初めて気づいたスウェーデン人の不思議な
国民性について書きたいと思います。

おにぎりカフェを始めるのにあたって難しかったのが値段設定。
根本的にビジネスマインドの無い私にとってこれは日本でやっても厳しい問題
だったんですが、国が違うということがこんなに困惑を招くとは思っていませんでした。

私はまず、日本人が知っている日本のおにぎりの存在をそのまま提供したかったので、
手頃な値段で手軽に食べられるおにぎりを作りたかったのです。
なので、最初の値段設定は、おにぎり三つにお味噌汁、取り放題のサラダとパン、
そして食後の日本茶がついて45クローネ。日本円にして約750円。
これはスウェーデンではかなり安い!

「こんな私みたいなド素人が握るおにぎりと味噌汁にそんなお金申し訳なくてとれない。」
と弱気なスタートだったのです。
他のメニューも割と安めの設定で、50クローネから60クローネ(約850円〜1030円)。
スウェーデンのカフェの相場がランチで大体65クローネから90クローネ
(約1120円〜1550円)なので、全体的に他店より良心的な値段だった訳です。

私としてはただ単に、強気な値段設定の高ビシャで小ジャレた店というよりは、
庶民的で美味しい温かい店を作りたかったんですよ。

「安くて美味しいんだからいいじゃない。もっとたくさんの人に食べてもらいたいんだから。」
というのが私の意見。

しかし、知り合いや更にはお客様でさえもこれは全体的に安すぎると言い出したのです。

どうしてもおにぎりには庶民の味を持たせたかったので、おにぎりセットの値段は
そのままで、他のメニューから渋々上げてみたんです。

すると、値段を上げた方のメニューが次々に売れ始めたのです。
相変わらずラザニアは人気が高く、一番値段が高かったにも関わらず売れ筋。
同じく値上げしたカレーやオムレツ寿司も徐々に評判が良くなっていったのです。

相変わらずおにぎりはどう頑張っても売れ行きが伸びない。

やっぱり、値段の安さなのだろうか。

そうです。スウェーデンは物の値段に比例して、人気も上がるのです。

ある日、勇気を出して常連のお客様に聞いてみたんです。
どうしていつもおにぎりではなく、別のものを頼むのかと。

すると、こんな答えが。

それは、おにぎりは値段が安すぎて美味しくないのではないか、
この値段ではおなかが一杯になる量は出てこないのではないか、と。
45クローネのおにぎりを相当疑いの目で見ていたのです。

更には、スウェーデン人は安いものを食べても気分的に満足しないらしいのです。
それがどんなに美味しいものでもどんなに価値のある物だったとしても値段が
安ければ「安っぽいものを食べてしまった」となってしまうのです。
逆に、値段が高ければ特にクオリティが高くなくても、美味しく感じてしまい
「今日は良いものを食べた、ウフッ」と満足げになるのです。

うーん。単純というか複雑というか。

結局、55クローネ(約950円)に値上げし、おにぎりもちょっと大きめに
作ってあげる事にしました。

今思うと単純にもっともっと値段を上げていれば良かったとつくづく思います。
看板メニューなんだし、日本ブームを利用してトレンドに敏感な客層を狙って、
70クローネくらい付けておけば良かったんだと思います。
だって思い切って55クローネに値上げしたところで売り上げはそんなに変わらなかった
んだもん。くすん。
多少、増えた、か、なーってくらいです。

「後の祭り」なんですがもう一つ、スウェーデン人の変わった習慣。
それはレストランやカフェでメニューを選ぶ際、一番安いものは頼まないということ。
これはスウェーデン人の見栄かもしれません。
一番高いものもあまり頼まないけど大抵の人は安すぎず高すぎず丁度中間のものを
好んで注文するそうです。

スウェーデンでは、特に食べ物に関して言うと「安いものには価値がない」と
いった概念があるみたいです。

そりゃ、お店で一番安かったおにぎりセット、あまり人気がでない訳ですよね。

あー、難しいっ。

でも、変な見栄があったのは私のほうだったのかもしれません。
もっと早くスウェーデン人の心を分かってあげて、素直にとんでもない値段を
つけていれば良かったのかも知れません。
盛りつけだって結構可愛くしたし、味のクオリティだって悪くは無かったはず。
値段さえA級品にしてあげてれば、あのおにぎりちゃんたちはもしかしたら
栄光の美を飾る事が出来たのかもしれないのです。

結局、私が未熟だったのかな。全然分かってなかったのかな。

一応、パラパラとおにぎりファンは出来ましたが、どちらかというとマニアックな方々が
多かったですね。ジャパンフリークみたいな。
一般的に広まるというよりは一部にのみウケたといった感じでした。

「おにぎり」。
日本では当たり前のように毎日一回は目にする存在なのに、遠く離れた異国の地では
マニア受けって、世の中分からないものです。

来週は、もっと理解に苦しむ、おにぎりカフェで起こった珍事件、珍客についてお話したい
と思います。

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