【夏の終わりに読みたい本】大人になりたかった私へ・村上春樹「風の歌を聴け」
文・写真 スタッフ田中
夏の終わりに読みたい本をお届けします!
お盆休みがあけると、暑さも喉元をすぎ、秋がゆっくりとやってくる気がしますね。そんな「夏の終わり」に読みたい!と思える本をスタッフ田中が選び、ご紹介していきます。
「夏の終わり」をテーマに三冊の本に絞ってみました。読んだことのない方にはもちろん、読んだことがある方もぜひ読み返していただけたら。そして「ああ、私はあの本読もうかな」と頭によぎる本を手にとるきっかけになれば嬉しいです。
大人になりたかった私へ
村上春樹著「風の歌を聴け」

Story:1970年の夏、海辺の街に帰省した<僕>と、友人の<鼠>を中心に、ジェイズバーのオーナー・ジェイとのやりとりや親しくなった女の子との夏休みが描かれている。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた村上春樹のデビュー作。
この本のミドコロ
すこし羽目を外したことが勲章に思える年ごろ
この<僕>は、大学生の設定。当時は学生運動がとても活発な時代で、わたしが大学生だった2000年代とは全く違う情景だったでしょう。
それゆえに、どこか大人びた行動をとる<僕>。バーに通ったり、友人とのドライでいながらも憂いを含んだ言葉のやりとりが印象的です。
誰もが通る道なのかもしれませんが、すこし羽目を外したり、大人びたことが勲章に思える年ごろなのでしょうか。
そんな乾いた夏が終わりを迎えるとき、<僕>の心がどう動くのか。結末は、読んだ方へのお楽しみにします。
スタッフ田中の「読んだあとに」
村上春樹のお話に出てくるレシピはなぜか真似したくなる!

村上春樹さんの本に出てくる料理の描写は、とても細やかで、その工程ですらお話の重要な一部となっています。
作家になる前にジャズ喫茶で厨房を担当していたこともあるそうで、ファンが集めた「村上レシピ」という本があるくらいなんです。
今回は、このお話に出てくる「コンビーフのサンドイッチ」を作ってジェイズバーでのひとコマを私なりに再現してみました。
▲コンビーフをしっかり敷き詰めてます(笑)。簡単なのにとっても美味しかったです!
本にレシピは載っていないので、自分流のサンドイッチです。薄切りの玉ねぎに、きゅうり、コンビーフの簡単なものにしましたが、なんだかこのジャンクな味に夏っぽさを感じました。
この本は村上春樹さんのデビュー作として有名なので、もう読んだことがあるという方も多かったかもしれません。私も今回読みかえして、当時感じていたことやどんなことがあったかなど、本の内容とともに思い出されました。
「読みかえす」のには、そんな効果があるのかもしれませんね。
それでは、次の本をお楽しみに!
今回ご紹介した本について
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風の歌を聴け 村上 春樹 講談社 1979-07-23 |
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村上レシピ 台所でよむ村上春樹の会 飛鳥新社 2001-06-22 |
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