【秋の夜長のオススメ本】すべての「大人」に贈る、とっておきの青春・ティム・オブライエン「世界のすべての七月」
編集スタッフ 田中
文・写真 スタッフ田中
秋の夜長におすすめの本をお届けします。
まだまだ暑さは続きますが、暦の上では秋。先週で一旦完結したおすすめ本のご紹介、読書の秋も続けてお届けしていきますね。
今回からは、スタッフセレクトに加えて、関東圏で移動本屋・BOOK TRUCKを主宰する三田修平さんにも選んでいただきました!どうぞお楽しみに。
ティム・オブライエン著/村上春樹訳「世界のすべての七月」
Story:30年ぶりの同窓会に集う1969年卒業の男女。結婚して離婚してキャリアを積んだ11人が再会。封印された記憶、古傷だらけの心と身体、見果てぬ夢と苦い笑いを抱いて。挫折と幻滅を語りつつなおハッピーエンドを求めて苦闘する長編小説。
この本のミドコロ
すべての<大人>に贈る、青春がつまった本
本作に登場する1960年代に青春時代を過ごした<大人たち>は、30年ぶりに同窓会で再会したというのに、相変わらずウジウジ悩んだり、ドタバタ騒いだり、色恋に振り回されたりと、全く大人になっていません!
しょうがない人たちだなぁと思いつつも、そう簡単に人は大人になんてなれないし、案外それでいいのかもと思わせてくれる、シニカルだけどチャーミングな小説です。
村上春樹さんによる翻訳はとても読みやすく、海外文学がなんだか苦手と思っている方にもオススメ!
昔を懐かしんだりしてセンチメンタルになるのもいいものです。秋の夜長にいかがでしょうか。
(ブックセレクト・文 三田修平)
スタッフ田中の「読んだあとに」
人間の”生っぽさ”を知るのもいいと思うのです。
夏の終わりに読みたい本に引き続き、「スタッフ田中の、読んだあとに」として、読書感想文のようなコーナーをお届けしたいと思います。
さて、今回の本を読んで思ったことは、「人間臭くたっていいじゃないか」ということ。
スマートに生きていきたい、誰もが一度は思うのではないでしょうか。
人生でこれから起こることのリスクを予測して行動したり、何年後にはこうなっていたいという理想を抱いたりして、スマートに進みたい。
とはいえ、そんなにうまくはいきませんよね。ときには、感情のままに、動いてしまうことも。そんなとき好き嫌いなどの純粋な反応をギュッとつかむことも、たまには必要なのかもしれません。
どろどろした部分を見るようで嫌な瞬間なのですが、自分の「生っぽさ」を知ろう!と思えました。
本を紹介してくれるBOOK TRUCKの三田修平さん。
秋の夜長のオススメ本を紹介してくださるのは、車でさまざま土地をまわり、移動式本屋「BOOK TRUCK」を営む三田修平さんです。
当店のスタッフにも三田さんのお店のファンが多く、いつか本を紹介してほしいという願いが叶いました!
▲移動式本屋の店内。
本屋さんで出会う、一期一会のきっかけを大切にされている三田さんのセレクトは、秋の夜長にぴったりだなと感じました。
▲今年7月にオープンした実店舗「三田商店」(横浜)
これから木々の葉が色づくまで、スタッフ田中と三田さんで、交互にオススメ本をご紹介していきます!
今回ご紹介した本について
世界のすべての七月 (文春文庫) ティム オブライエン Tim O’Brien 文藝春秋 2009-06-10 |
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