【こんなところも重曹で】第1話:ほんとに万能?どうして安全なの?重曹の素朴なギモン
編集スタッフ 岡本
重曹を使って掃除。それで本当にキレイになる?
「あ!洗剤買い忘れた!」
場所ごとに使い分けることで、ストックの管理や買い忘れが起こり、そのたびにプチストレスに感じていた、洗剤問題。
すこしずつ面倒な気持ちが積み重なった末に気になったのが、「重曹」です。
家のあらゆる場所を掃除できると聞き、一度は買ったことがあるものの、世間で言われている万能さを実際に感じるまでには至っていませんでした。
リビングやキッチン、タイプの違う汚れがあるけれど、本当に重曹できれいにできるのでしょうか。
そもそも重曹ってなに?
ということで、重曹を暮らしのなかでフル活用するためのアイデアをお届けする、全4話のお掃除特集です。
お話をお聞きするのは、『重曹生活のススメ』や『重曹とお酢ですっきり暮らす』など数々の書籍を手がけ、日頃から重曹掃除を実践している、岩尾明子(いわおあきこ)さんです。
第1話では重曹についての、素朴な疑問について教えていただきましたよ。
「重曹」って一体なに?
どうして「安全」なのですか?
掃除に重曹が使える、というのはなんとなく知っています。でもそれはどうしてなのか、安全性が高いとされている理由についても、よく分かりません。
岩尾さん、重曹のキホンを教えてください!
岩尾さん:
「重曹(正式名称:炭酸水素ナトリウム)は、かんたんに言うと、『塩』の親戚のようなものです。
汗には塩分が含まれていますよね。塩がそうであるように、重曹は私たちの体の中にもある成分。
それが “重曹は安全なもの” 、と言える理由の一つです。
重曹には、食用・医療用・工業用と、3つのタイプがあって、食用と医療用は同じくらいの安全度。
掃除に使うのは、口に入っても問題のない食用がおすすめですよ」
なんと、私たちの体の中にある成分が重曹の素になっていたとは。
なんだかよく分からない存在から、急に身近に感じてしまいます。でもそこで、また新たな疑問が。
人間の体にも存在している重曹が、どうして掃除に役立つのでしょう?
それに自然で安全なものだと、どうしても効果が弱いような気がします。日々使っている洗剤と同じように、きちんと汚れは落ちるのでしょうか?
重曹の効き目って、実際どうなんだろう?
岩尾さん:
「重曹には、『中和分解』という最大の特徴があります。
見慣れない言葉なので、むずかしく感じるかもしれませんが、これが掃除で役立つポイントです。
中和分解とは、“汚れを溶かして、水に流せる状態にする”ことです。
ここで重曹そうじの仕組みをかんたんに説明しますね。
私たちの周りにある汚れはほとんどが、中性〜酸性の間にあります。一方重曹は、弱アルカリ性。
汚れと重曹は、真逆の性質を持っているため、中和分解(汚れを水に溶けやすくする)することができるんです」
お話を聞きながら、思わずなるほど〜!となんども膝を打ってしまいました。
これまでふんわりと認識していたところがクリアになって、重曹への信頼度が増していきます。
岩尾さんからここでひとつ、覚えておいてほしいコツがあるといいます。
岩尾さん:
「万能な重曹ですが、そのまま使ってきれいにできる汚れは限られています。
『効き目が弱い、思ったように落ちない』、そんなときは『量・時間・温度』のバランスを変えてみてください。
あとは、頼れる相棒を覚えておくのも、重曹そうじに欠かせないポイントです」
重曹を使いこなす、第一歩。
「量・時間・温度」をコントロール!
重曹はなにも加工をされていない、いわば原料そのままの状態です。
なので、同じ方法で家中の汚れを落とすことはできないそう。
岩尾さん:
「重曹そうじでポイントになるのが、「量・時間・温度」をコントロールするということ。
期待した効果が見られない、と感じたら、重曹の量を増やして、置き時間を長くしてみてください。
重曹を水に溶かして使うときは、お湯に変えることで汚れ落ちが変わりますよ。
重曹の良さは、増やす量や時間がアバウトでもOKなところ。安全なものだからこその利点です」
岩尾さん:
「さらに重曹そうじをパワーアップさせてくれる相棒が、酢と石けん。
この3つがあれば、キッチンやお風呂など、場所に合わせた専用洗剤がなくても、家中をきれいにできるはず。くわしくは2話目以降でご紹介しますね」
“重曹は万能”
いつのまにか抱いていたあいまいなイメージが、自分の暮らしからは縁遠い存在にしていたのかもしれません。
でも、いろいろな疑問が「なるほど!」に変わったことで、重曹との距離は一気に縮まったような気がします。
続く第2話では、さっそくお掃除実践編へ。まずはキッチン周りからお届けします。
(つづく)
【写真】鈴木静華(8枚目以外)
もくじ
岩尾明子
1998年より、サイト「地球にやさしいお掃除」の運営に携わる。重曹をはじめとした、ナチュラルな掃除を広めるボランティア組織、クリーン・プラネット・プロジェクトの代表を務め、重曹にまつわる数多くの書籍を手がける。
▽岩尾明子さんの著書はこちら
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