【木曜日になったら、純喫茶】2色の「ペアソーダ」から見える、美しい世界。

難波里奈

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月1でおすすめの喫茶店をご紹介する連載「木曜日になったら、純喫茶」 第3回をお届けします。

6月も半ば。関東も梅雨入りし、不安定な天気がつづいていますね。

カラッと晴れた空が恋しくなるこの季節は、一方で、雨の情緒的な魅力にも気付かされます。

はじけるような夏がやってくる前の、しっとり静かな6月。たとえばこんな純喫茶へ出かけて、雨を愉しむのはいかがでしょうか?

 


美しいソーダの先に雨をながめる
わざわざ行きたい純喫茶


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今回おすすめしたいのは、神奈川県・藤沢駅から徒歩3分のところに佇む純喫茶 「ジュリアン」。

私にとって藤沢は、JRの走るいわば 「現実世界」 と、江ノ電で鎌倉へつながる 「非現実」 とを結ぶ、魅惑の中継地点。

ちょっとした現実逃避をしたくなった時、鎌倉を訪れることが多いからかもしれません。

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以前、江ノ電に乗って鎌倉から藤沢へと戻ってきた途中の出来事。

七里ヶ浜へ近づき、窓の外に海の景色が広がりはじめると、乗客の首がいっせいに窓のほうへと向きました。皆がじっと見つめていたのは、きらきら光を反射した水面。まもなくやってくる夕暮れと波を感じながら、車内がいっせいに穏やかな空気に包まれたことが印象的でした。

そんな、良い記憶ばかりがよみがえる藤沢。そこにある大好きな店は、「純喫茶小道」 と私が勝手に呼んでいる細い路地に佇みます。

レンガ色の外観に、大きなまるい窓が3つ。中からは飴色のレースカーテンがのぞいています。

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今すぐ扉を開けたい気持ちを一瞬落ち着けて深呼吸。

心をしずめて中へ入ると、琥珀色の店内は別世界のように静か。

よく使いこまれて艶を増す、茶色い椅子のなかには、背もたれがハート型にくり抜かれた可愛らしいデザインも。

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ぽってり丸いランプが照らすのは、店内中央のメニューサンプル。色褪せたその様子が、歴史を感じる味わいでなんとも素敵。

今では珍しくなったゲーム台も2つ、店内に残されています。

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メニューにはサンドイッチからスパゲティ、ドリアまで、食事の種類も豊富。どれにするか迷ってしまいますが、やっぱり注文したくなるのが「ペアソーダ」 です。

厚いガラスで作られたグラスは真ん中に仕切りがあって、2種類の飲み物を入れられる仕組み。

こちらのお店では片方に緑色、もう片方にはピンク色のソーダ水を。さらに上には、それぞれアイスクリームと生クリームが飾られています。

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現在、ジュリアンに残った特製グラスは5客のみ。

店主の小川さんが合羽橋まで探しに行ったものの、もう同じものは売っていなかったとか。これからも美しいペアソーダが続いていきますようにと願いを込めて、ご注文される際にはぜひ大切にお取り扱い下さい。

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「私、雨が好きなのよ。まっすぐに降る雨がね。雨が落ちる様子を喫茶店の窓からぼーっと眺める時間って、幸せよね」 と、小川さん。その笑顔はとびきりチャーミング。

忙しない日々を送る日常では、雨の日に喫茶店でぼんやり時間をつぶすのは、自分へのご褒美であり、大人の贅沢と言えるかもしれませんね。

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どんなにやきもきしても、そんな思いはそっちのけで降りつづく雨。

じめじめした天気で気持ちまで曇りそうな時は、電車に乗って藤沢まで足をのばしてみませんか?

ソーダの泡の向こうに見える景色は、新しい雨の世界を見せてくれるかもしれません。

 喫茶ジュリアン
住所:神奈川県藤沢市藤沢110
TEL:0466-22-7955
営業時間:[平日] 9:00~19:00
[土] 11:00~18:00
定休日:日曜日・祝日

 


6月に行きたい純喫茶、こんなところもおすすめ。


 岡山 サンレモン
水のカーテンの横で「ピエロフラッペ」を

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サンレモン
住所:岡山県倉敷市児島小川5-1-1
TEL:086-472-5281
定休日:木曜日

 

和歌山 森永
広い窓際の席で、時間を忘れて

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森永
住所:和歌山県和歌山市美園町2-68
TEL:073-422-2420
定休日:日曜日

【写真】岩田貴樹(最後2枚をのぞく)

 


もくじ

第1話(4月20日)
【新連載】エッセイ「木曜日になったら、純喫茶」がはじまります。

第2話(4月20日)
【木曜日になったら、純喫茶】ひとり時間に。春の終わりに行きたい、時計がとまった純喫茶。

第3話(5月18日)
【木曜日になったら、純喫茶】ジャンボプリンと名物マスターが待つ、縁結びの純喫茶。

第4話(6月15日)
【木曜日になったら、純喫茶】2色の「ペアソーダ」から見える、美しい世界。

第5話(7月20日)
【木曜日になったら、純喫茶】自慢のタマゴサンドをほおばりながら、読書の寄りみち

第6話(8月24日)
週末のランチに訪れたい。なつかしい味に出合える純喫茶

第7話(9月14日)
【木曜日になったら、純喫茶】モンブランで秋を味わう、贅沢空間の喫茶店へ。

第8話(10月19日)
【木曜日になったら、純喫茶】深夜2:00まで営業。秋の夜長は、ブランコ席で青色クリームソーダを

第9話(11月30日)
【木曜日になったら、純喫茶】おいしいホットココアを飲むならば。

第10話(12月21日)
【木曜日になったら、純喫茶】熱々の軽食とおいしいコーヒー。冬の夜に訪れたい、ほっとできる純喫茶

 

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難波里奈

東京喫茶店研究所二代目所長。東京生まれ。会社勤めを続けながら仕事帰りや休日を利用して足を運んできた喫茶店の数は、なんと1700軒以上。ブログ
「純喫茶 コレクション」 をはじめ、著書 『純喫茶へ、1000軒』 (アスペクト)、『純喫茶、あの味』 (イースト・プレス) を通じて喫茶店の魅力を伝えている。他にテレビや雑誌などで幅広く活躍中。http://retrocoffee.blog15.fc2.com/

▽難波さんの著書はこちら

 


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