【ノルウェー日記】わたしって固定概念だらけ?あたらしい感覚にハッとする毎日です。

ひょんな出会いがきっかけでした。
家で勉強をしていて煮詰まったときは、よく図書館に行きます。みんなが真剣な表情で勉強している姿をみると、背筋がピンと伸びて刺激をもらうのです。
先日、朝早くから図書館に行き、机にむかってもくもくと作業をしていたときのこと。となりに座っていた女の子と、ちょっと話をすることになりました。
いろいろと聞いていくうちに、今は高校三年生で本を読むのが好きなこと、これから大学に行くか就職するか、迷っていることを教えてくれました。
甘酸っぱくて、ほろ苦い大学時代。

興味がある分野はなに?と聞いてみると、こんな返事がかえってきます。
「言語学にすこし興味があるかなぁ。でも、そこまで興味がわかなかったら、このまま就職しようと思っているの」
うーん、なんて返してあげるべきだろう……と、思わずだまりこんでしまいます。自分の大学時代のことを思い返すと、いろんな思い出がぐるぐるとあたまに巡ります。
一人暮らしをはじめたのも大学生のとき。大人と子供のはざまみたいなあの時期に、たくさん将来について悩んだことは、今思い返しても、人生においてすごく大事な時期だったなぁと思います。
そんなこともあって、「大学に行かないのはもったいと思う」、それが素直な感想でした。
わたしが経験したことをなんとか伝えたくて、大学時代の思い出や、大学に行ってよかったことを、つたない言語を駆使して、必死に話しました。ちょっとでも、伝わっているといいなぁ。

夫からの、予想外の言葉にビックリ?

家に帰って夫(スウェーデン人)に、今日の出来事を話すと、夫からはこんな返事がかえってきました。
「本当にその分野に興味が持てるようになったら、また大学に行けばいいじゃん。
一度働いてみて、そこから気になる分野が変わったり、見えてくることもあるからね」
てっきり、わたしの意見に賛成してくれるものだとばかり思っていたので、正直びっくりしました。
話を聞いていくうちに、ノルウェーに限らず、北欧では社会人になってから大学に通うひとが多いこと。一度働いてから、やっぱり違う仕事をしてみたいと気がついたり、今やっている仕事のステップアップに大学へ通うひとが多いことがわかってきました。
そういえば、ノルウェーの大学を歩いていたとき、いろんな年齢の人が学びに来ていたことを思い出します。
固定概念は持ちたくない!なんて思っていたのに。

勉強したいと思ったら、いつだって出来るのに、ついつい頭が固くなっていたなぁ……。
もともと固定概念は持ちたくない!と思っていたけれど、ノルウェーに来てから固定概念だらけな自分に気づいて、ハッとすることもしばしば。いい人生の勉強をさせてもらっています。
北欧では基本的に学費が無料ということが前提としてあるものの、いくつになっても学ぶことができ、そして実際に学んでいるひとが沢山いることを知るだけで、勇気をもらいます。
そうそう、3歳のママである友人は、今年の秋から心理学を学ぶために、大学に通うことを決めました。
「これからはしばらく大変になりそうだわ〜」と弱音をはいていたけれど、新しく学びはじめることを決めた友人は、とてもカッコよく見えました。
葉っぱが一気に黄色くなって、すっかり秋の景色になりました。


ライター 桑原さやか
『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていた元スタッフ。旅が好きで、冬の旅行で訪れたノルウェーの北極圏にある町、トロムソに一目惚れ。スウェーデン人の夫と共に、2016年6月より移住をはじめている。
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