【ノルウェー日記・最終回】世界をグンと広げてくれた、海外生活。わたしがノルウェーで学んだこと。
ライター 桒原さやか
引っ越して、一年半が経ちました。
東京に住んでいたころ、趣味はなに?と聞かれたら、「友人と居酒屋でお酒を飲むこと」と答えていました。
家からすこし歩けば、夜遅くまで開いてるお店があちこちにあって、予定を決めずにふらふらとお店にはいるのが楽しみでした。今思えば、その日の気分と思いつきで、過ごしていることが多かったような気がします。
そんな生活が、ノルウェーに来てガラリと変わりました。
カフェやレストラン、さらにスーパーも、ほとんどのお店が日曜日は閉まっているのです。そもそもお店の選択肢も少なく、さらに物価が高いこともあり、「外食はたまのご褒美」になりました。
引っ越してきたばかりのときは、家の中でボーッと時間を持てあますこともしばしば。でもそんな毎日も、日が経つにつれて少しずつ変わってきたような気がします。
料理の献立や予定をあらかじめ決めておくようになりました。食べたい料理は、なんでも自分で作ってみるようになりました。
計画を立てることで、自分がしたいことがはっきりしてきて、行動範囲もグンと広がったような気がします。
ノルウェーに住んでから、ちょっとずつ生活のリズムが変わってきています。
頑張りすぎない努力が、ときには必要?
ノルウェーでは夕方になると、お父さんやお母さんが子供と手をつないで歩く姿をよく見かけます。また一般的に、日曜はファミリーで過ごす日になっています。
そんなノルウェーの人たちは「家族との時間を作ること」が何よりも最優先! これは仕事においても、家事においても結びついています。
たとえば、料理に手間をかけるよりも、パッと作って後の時間を楽しむ方が好まれますし。食洗機や洗濯乾燥機が必須の家電であることも、すべては時間を作るため。
頑張りすぎないこと、ときには手を抜くことが、家族のためにもつながるんだなぁ……と学びました。ついつい、あれもこれもと張り切ってしまいがちだけど、力を抜いてゆっくり過ごす時間を作るほうが、自分も家族も機嫌よくすごせるのかもしれません。
新鮮な空気を意識してみる。
自然が大好きなノルウェーの人たちは、新鮮な冷たい空気がカラダにもこころにも効くことをよく知っています。
寒い冬こそ、外の空気が気持ちいいのか、朝から音楽を聴きながら真っ白な雪の上を歩く女性の姿が印象的でした。
わたしもノルウェー流に習って、気分転換したいときは、外に出て深呼吸をしにいきます。
スーーー、ハーーーッ。
家の中に長時間いると頭がぼーっとしてくるので、冷たい空気を思いっきり吸いこむと、気持ちが切り替わるのを感じます。
フレッシュな空気は睡眠にもよいと言われています。赤ちゃんがぐずったら、ベビーカーを外に出す習慣も。
わたしも真冬のさむい時期以外は、窓を開けて寝るようになりました。朝起きると、冷たい風を肌に感じて、まるで自然の中で寝ているみたい。寝起きの目覚めがよくなったような気がして、しばらくずっと続いています。
わたしの好きなことって、何だっけ?
ノルウェーの人たちは趣味の達人だと、わたしは思っています。ほとんどの人がインドアとアウトドアの趣味をもっているのです。冬は家で過ごす時間が長いことも、きっと関係しているんでしょうね。
天気がよければハイキングやキャンプに出かけたり。雨の日は読書をしたり。自然のリズムに合わせて、趣味を楽しんでいるのです。
友人との会話も趣味のはなしがほとんど。わたしはこれといった趣味を持っておらず、会話に加われないこともしばしば。
そんなわけで重い腰をようやく持ちあげて、いつか……!と思っていた編み物とハイキングをはじめました。天気のいい日は外に出かけて自然を感じ、雨の日はのんびり家の趣味にひたっています。
長い間ありがとうございました!
みなさまには突然の報告となりますが、今回のコラムをもって「ノルウェー日記」最終回となります。
一年半過ごしたトロムソを離れて、日本へ一旦帰国することを決めました。
夫とともにこれからのことを話し合った結果、今は日本に戻るのが私たちにはベストではないかと感じたことが大きな理由です。
今後のことはまだ決まっていませんし、さみしい気持ちもありますが、たくさん悩んで決めたことなので、今はよい方向に向かうように、ただひたすら突き進むのみ!と思っています。
短い期間でしたが、海外生活がはじめてだったわたしにとって、毎日があたらしいインプットの嵐でした。
好きな音楽を爆音でながして、いつもご機嫌なバスの運転手さん。
子育てをしつつ、大学に通っている二児のママ。
夏と冬にしごとをして、春と秋は世界中を旅している友人。
世の中にはいろんな暮らし方をしているひとがいるんだなぁ……ということを知り、自分の世界がグンと広がりました。そして、自分の気持ちに素直になることの大切さを学びました。
そんなことを知れただけで、ここに来れて本当によかったと思っています。
わたしがノルウェーで見て感じたことを、少しでもここでお届けできたらと願いながら、毎回書かせてもらっていました。
今までコラムを読んでくださったみなさま、本当にありがとうございました!
またどこかで、お会いできますように。
夫とノルウェーに旅行で訪れたときの一枚。この旅からすべてがはじまりました。
ライター 桑原さやか
『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていた元スタッフ。旅が好きで、冬の旅行で訪れたノルウェーの北極圏にある町、トロムソに一目惚れ。スウェーデン人の夫と共に、2016年6月より移住をはじめている。
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