バイヤー　郡

先日、久々に、実家の母から「母さん便」が届きました。

上京した学生の頃からずっと、年に数回、母が地元の野菜やお米などを送ってくれます。社会人になった今でもこうして気遣ってくれるのは本当にありがたいことです。

そして、このダンボールを開ける瞬間は、今でも毎回ちょっとワクワクするのです。

先日届いたものの中にはこんなものが入っていました。

産直市で買ったにんじんやえんどう豆などの野菜、すだち、地元のお米、地元の番茶、それから地元のラーメンなどなど。

母は毎回、地元の特産物を入れてくれます。すだちなんかはまだ時期じゃないにも関わらず、わざわざスーパーで購入したものを送ってくれました。

母さん便の中身を確認しながら、ふと、最近ちゃんと料理できていないなぁ、ということに気がつきました。

一人暮らしの私は、慌ただしい日が続くととたんに料理をサボります。冷蔵庫にあるもので適当に済ませることもありますし、お惣菜を買って帰る日も最近は多くなっています。

この歳でお恥ずかしながら、社食が栄養源となっている今日この頃でした（苦笑）

野菜が届いたからには、料理をしなくては。

せっかくの野菜を無駄にはできず、疲れた足で半ば渋々、キッチンに立ちます。

横着者の私は、正直、えんどう豆の下準備すら面倒に感じてしまいます。でも、こうしてキッチンに立って料理をしていると、「忙しくてもちゃんと野菜を摂りなさいよ」と背後から母に言われている気がして。

えんどう豆の筋を取りながら、背筋がちょっとだけ伸びたのでした。

 

あとそれから、すだちの香りにも励まされました。

すだちは徳島県の特産です（徳島を代表するゆるキャラ、すだちくんもとても愛されています）。お刺身や焼き魚には必ず添えられていますし、家庭料理にはかなりの頻度で登場します。

実家にいた頃は当たり前のように食卓に並んでいたのに、東京では滅多に目にする機会がなく……、あの香りが時々無性に恋しくなってしまうのです。

上京して10年経ちますが、幸せなことに、美味しいと思えるものが沢山増えました。好きなものが増えていく中で、馴染み深い地元の味は別格の存在なんですよね。

すだちを切った瞬間、あの酸っぱい香りに懐かしさが一気にこみ上げてきて、大げさかもしれませんが、この香りを嗅ぐだけで、プチホームシックも癒えるくらいなんです。

昔あれだけ身近にあった香りに、こんなにも元気をもらえるなんて。

すだちうどんをすすりながら、地元の味と、それから母に感謝した夜の８時でした。

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