【お坊さんのお悩み相談室】第23回:新しいことにチャレンジしたい!けれど重い腰が上がらず、なかなか始められません。
編集スタッフ 岡本
家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。
「お坊さんに聞く、くらしのお悩み相談室」は、仕事や子育てなど、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく連載。 クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。
お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺 僧侶の青江覚峰さん。青江さん自身も、3児の父として、子育てにも奮闘中ということもあり、お坊さん目線、そしてひとりの親目線でお話ししていただきます。
数年前から運動や体づくりを始めたいなと思いつつ、重い腰が上がらず、ずっと先延ばしにしています……。どうすれば新しいことを始められるのでしょうか?(スタッフS)
運動は明日から、ダイエットは明日から……。
そんな明日はずっと来ません。残念ながら。
先延ばしにしてしまうのは、なんとなくやらなきゃと思ってはいるものの、今どうしても始めないといけないわけではないと考えているからでしょう。
以前もご紹介した言葉ですが、仏教の言葉に「一日一生(いちにちいっしょう)」というものがあります。一日を一生に見立て、朝に生まれ(目覚め)、夜に一生を終える(就寝)という考え方です。
明日がある、明後日があると思えば、今日一日をダラダラと過ごし「明日から、いや次に天気のいい日から」と思うかもしれません。しかし、明日なんて来ないかもしれないのです。この記事を読んでいる今日があなたの最後の日なのだと考えれば、残された時間を真剣に考えるでしょう。自分にとって本当に大切なことや、やらなければいけないこと、どうしても片付けておきたいことが絞られます。
今日が人生最後の日ならば、運動なんてしないでもっと有用に使うと言うかもしれません。だったらそれでいいのです。
いま自分の目の前でどうしてもやらなければならないこと。やらないでいられないようなことをまず行う。それが一つ一つ解決し、順番が変わっていく。そしてそういった一日一生を毎日繰り返していくと、段々と優先順位も変わってきます。どこかのタイミングで体作りや運動がどうしてもやりたいことになったときがあなたの思う「明日」なのです。
心得ていただきたいのは、今日が最後の日なら何をしても無意味だと刹那的に考えるのではなく、今日が最後の日なら、何をやり残したくないかを考えるということです。
毎日を大切にし、するべきこと、本当にしたいことをひとつずつ片付けていく。そうすると目の前に積み上がっていた雑用という段ボール箱がどんどん消えていきます。それを繰り返していくと、いつかあなたが先送りにした箱に手がかかるでしょう。それが縁のつながった時。そのときには思う存分やればいいでしょう。
青江覚峰
僧侶 青江覚峰
浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー
▼これまでの連載はこちらから
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