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【お坊さんのお悩み相談室】第27回：ライフステージの変化によって、友達関係にも変化があり寂しいです……

編集スタッフ　岡本

家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。

「お坊さんに聞く、くらしのお悩み相談室」は、仕事や子育てなど、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく連載。クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。

お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』（ディスカヴァー・トゥエンティワン）なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺僧侶の青江覚峰さん。青江さん自身も、3児の父として、子育てにも奮闘中ということもあり、お坊さん目線、そしてひとりの親目線でお話ししていただきます。

ライフステージの変化によって、友達関係にも変化が出てきました。それまで仲が良かった友人間よりも、同じ年頃の子どもがいる友人と会う機会が自然と増えたように感じています。そのこと自体には納得していて、無理をしてまで仲良しを継続したいわけではないのです。ただこの現状が悲しく、気持ちのやり場に悩んでいます。（スタッフE）

長い付き合いのお友達なのでしょうね。進級、進学、卒業、就職など、これまで同じようなタイミングでライフステージを進んできた仲間も、社会に出てからはそういう具合にはいきません。勤務地だって様々ですし、人によっては、仕事を持った後でまた学生を経験する人もいるでしょう。結婚や子育てなど、自分以外の誰かとの関わりによっても、ライフスタイルは大きく変化していきます。

このことに対する言葉は、「諸行無常」この一言に尽きます。すべてのものは移りゆきます。どんなものでも、いつまでも変わらないということは決してないのです。

世の中も、街も、人も、たとえどれだけ小さな差であっても、確実に変化を続けているのです。歴史なんていう大きな視点で見ればその変化は顕著ですが、もっと身近なものでも同じことです。ずっと夏がいい、寒い冬なんて来ないでくれと思ってもそうはいきませんし、ようやく次の年の夏を迎えても、それは去年の夏とは違う夏です。通りの看板は色褪せ、やがて新しいものに変わります。買った野菜は誰かの栄養になるか、そうでなければ傷みます。人も同じ。今日の自分と明日の自分だって、目に見える変化はなくとも、確実に変化が進んでいるのです。それは肉体的な老化かもしれませんし、精神的な成熟かもしれません。どうであれ、望むと望まざるとにかかわらず、私たちは変化の流れの中にしか行きられません。

すべての物事が変わり続けるのですが、それが何かと何か、誰かと誰かの「関係」となれば、移りゆくスピードは二倍にも三倍にも感じられることでしょう。

そのようにして変化した結果である今の状態も、いずれ変わっていきます。

親しい人とすれ違ってしまった今の生き方も、そのうちまた近づくかもしれません。そうはならないかもしれません。子どもが0歳の人と10歳の人とでは生活リズムはだいぶ違いますが、それが30歳の子と40歳の子だったらその限りではありません。でも、その頃には健康状態が違っているかもしれませんし、もしかしたら日本にいないかもしれません。

先のことは誰にもわかりません。

人間の気持ちなどお構いなしに、すべての物事は絶えず変わり続けます。そして、そうとわかっていても、結局それらに振り回され、心乱されてしまう。しかし、その状況をどう受け取るかは自分で決めることができます。変わってしまうことをいくら恐れても、変わってしまったことをどれほど嘆いても、諸行無常という絶対的な真理が揺らぐことはありません。であれば、どうしても思い出や所有にこだわってしまう人間であればこそ、それをできるだけ小さな苦しみで乗り越えるには、変化に身を任せ、受け入れるしかないのです。川の流れに逆らって立ち続けるのが大変であるのと同じです。

状況が変わっていく。それをただ受け入れるというのは、決して簡単なことではありません。もちろん、心安く受け入れることができなくても、変化が止むことはありません。
まさに諸行無常。私たち人間は、ただそれを受け入れて、その先に自分の人生を選択するしかないのです。

青江覚峰

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