【44歳のじゆう帖】大人が恋心を持つということ
ビューティライターAYANA
大人になると、恋心とは無縁になっていく?
この連載では、毎回何について書くかを編集の寿山さんと相談するのですが、今回「七夕ですし、大人の恋心について書くのはどうでしょう?」とご提案いただきました。
大人になると(家庭を持ったりすることもあって)、どんどん恋心と無縁になっていく。その割にドラマで胸を打つようなラブストーリーを見ると、キュンキュンしつつとんでもなく涙もろくなっている自分に気づいたりする。恋心って、いったいなんなのでしょうねということでした。
私は若い頃からあまり恋愛が得意ではなく、今でもさほど成長していません。誰かを好きになることと、自分との関係性を築くこと、ふたつの行為の間にマリアナ海溝みたいな深い溝があるんですよね。
前者はどちらかというと得意なのですが、後者になると「私のような下々の者が貴方様と肩を並べるのは誠におこがましく……」といきなり挙動不審になってしまう。平たく言うとオタク気質ということになるのでしょうか。
要するに自分に自信がないため、人生ゲームで言うところの次のコマに進めない。それゆえに失敗の多い人生を送ってきました(太宰治風に)。この話は長くなるので割愛します。
ともあれ、今回のテーマは「恋愛」というより「恋心」。前者の「誰かを好きになること」を恋心と解釈して、それについて考えてみたいと思います。
人生に恋愛は不可欠なものなのか
「人生とは、自分のこころを成長させ、幸福を拡大していくためのものである」。これは、私がアーユルヴェーダの教えで好きなもののひとつです。
以前「こころの毒出し」をテーマに、アーユルヴェーダの権威である蓮村誠先生に取材したとき、恋愛や結婚について面白い話を聞きました。
それは「人生にはパートナーがいてもいいし、いなくてもいい。生きるうえで重要なのはそこではない」というもので、それまで「恋人がいないなんて人間として不十分なのではないか」みたいに焦ることも多かった私は、非常に衝撃を受けたのです。
結局、自分自身のこころが成長し、幸福が拡大していくために必要なのは何なのか?ということこそが大事であり、パートナーが必要な人もいれば、そうでない人もいるということなんですね。恋愛のない人生だって全然オッケー。
恋愛における、あの人は私のことを好きなのかしらとか、彼に浮気されて許せなくてつらすぎてどうしようとか、そういった悩みも「その人との関係性は自分のこころを成長させるのか」のフィルターにかけると割と解決するし、パートナーとの関係は寂しさを紛らわしたり、依存するためのものではないよというお話でした。
そこで私は思うのです。恋愛や結婚と、恋心ってあまり関係ないのではないかと。
無責任に愛を叫んで生きていけばいい
好きな色と似合う色が必ずしも一致しないように、好きな人と相性のいい人もまた、一致するとは限らない。これは私の些末な人生経験から得た教訓のひとつであります。
でもですよ、相性とか自分の性質みたいなものは変えられない部分も大きいけれど、恋心を抱くのは自由だもんね。そこ、切り分けて全然いいのでは?と思います。それをビジネスモデルにしたものがアイドルであり宝塚であるわけで。
だから冒頭の寿山さんによる「大人になると(家庭を持ったりすることもあって)、どんどん恋心と無縁になっていく」というのは、恋愛や結婚(という名の、パートナーとの人生の構築を新規ではじめること)と無縁になっていくだけであって、恋心と無縁になるわけではないのではと思います。
人は歳を重ねるほどに経験値が上がっていきます。経験する感情も増えていくから、ちょっとしたことではドキッとしないかもしれない。でもじゃあ若い頃ってそんな気軽にキュンキュンしてました?って話ですよ。「誰かいい人いないかな〜」みたいにいつも教室でボヤいてなかったでしょうか。
つまり大人になったら恋心を抱かないかというと、もちろん抱くんじゃない?と思う。芸能人なんかも含めてですよ。その気持ちには憧れとか癒しとか切なさとか尊さとか、あるいは懐かしさであったりとか、いろんな幸せが詰まっているから、なんだか生きるエネルギーみたいなものがもらえる。
相手との関係性によって自分が成長していく、みたいな責任の重いものではなくて、そこにある物語に一方的に心を掴まれながら、むしろ無責任に愛を叫べるのが恋心なのかな、なんて思います。いくつになっても。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
▼AYANAさんに参加してもらい開発した、オリジナルのメイクアップシリーズ
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▼AYANAさんも立ち会って制作した、スタッフのメイク体験スペシャルムービー
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