【ご機嫌でいるために】第1話:「好き」がすべてのはじまり。あらゆる職種を経験して、カフェを開くまで

ライター 木下美和

こんなふうに歳を重ねられたらなあと憧れるのは、年齢にとらわれず「こうありたい」「これが好き」という純粋な気持ちが表情や佇まいに表れている人。いつもご機嫌で楽しそうに笑う姿は、一緒にいるこちらの気持ちまで明るくさせてくれます。

東京・四谷にあるカフェ「MOON mica takahashi COFFEE SALON」の店主・高橋美賀(たかはし みか)さんは、そんなチャーミングな佇まいが素敵な大人の女性。

高橋さんが独立する前に働いていたカフェに何度か通っていた私は、口角をキュッと上げてお客さんと楽しそうに話す彼女の姿に惹かれ、コーヒーを飲みながら自然と目で追っていました。

今、このタイミングでお話を聞きたいと思ったのは、私が知る当時と比べて、ご自身のお店を開いてからの高橋さんが一段と軽やかな表情だから。

ご本人の佇まいやお店の隅々から伝わってくる“ご機嫌”の在りかを知りたくて、春のはじまりのある日、高橋さんを訪ねました。

 

都心のエアポケット、“月の店”を訪ねて。

新宿と四谷の中間あたり。大通りに面した雑居ビルの一室にある「MOON mica takahashi COFFEE SALON」は、高橋さんが窓から月が見える場所を選んで2018年に開いたコーヒーとお菓子のお店。

陽が沈む夕方から夜にかけてオープンするちょっと珍しいスタイルで、常連さんからは“月の店”の愛称で親しまれています。

取材に伺ったのは、お店が休みの日の午前中。エレベーターで3階へ上り扉を開けると、気持ちのいい朝の光に包まれた店内から、高橋さんが朗らかな笑顔で出迎えてくれました。

「さあどうぞー。コーヒー淹れるのでちょっと待っててくださいね」

10席ほどの客席とセミオープンのキッチンがひと続きになった小さな店内は、ここだけが街の喧騒から切り取られたように静かな時間が流れる空間。

淡いブルーグレーの壁、古道具の家具、ディッシュシェルフに並ぶ器やリネン……ひと目で高橋さんがこの空間を楽しんでいることが伝わってきます。

高橋さん:
「ここは、いわばわが家の応接間のようなもので、色づかいも置いている家具や小物も、ほとんど自宅と同じ。お店の名前をSHOPでもCAFEでもなく、“SALON”とつけたのは、私が好きな空間にお客さまをお招きして、この場所に流れる時間を共有しながら、それぞれの過ごし方で楽しんでもらいたいと思ったからなんです」

▲高橋さんがお店をつくる際につくったスクラップブック。理想に近い海外のカフェの写真や雑誌の切り抜きをスクラップしたり、店内レイアウトをスケッチしたりしてイメージを膨らませていった

 

看護師をやめて飛び込んだ、雑貨の世界

そもそも、こうした空間づくり・もの選びのセンスはどこで培ったものなのでしょうか? 聞けば、これまでに携わってきた仕事での出会いが大きく影響しているそうです。

高橋さん:
「もともとは看護師だったのですが、学生時代から好きだった雑貨の世界に触れてみたくて、25歳の時に生活雑貨の『キャトル・セゾン』(以下、キャトル)に転職しました。

10年間勤めたうちの前半は、店舗で接客や空間ディスプレイに明け暮れる毎日で、後半はショップマネージャーとして、新店舗の出店計画やMDなどお店と商品づくりに携わっていました。フランスに出張することも何度かあって、そこで見たものの影響は大きいですね。その頃からアンティークの器やブロカントの雑貨などを少しずつ集めはじめました」

好きが高じて、とはまさにこのこと。キャトル時代に得たノウハウや人との繋がりはいまなお健在で、ロゴ入りのカフェオレボウルやキッチンクロスなど、現在のお店のオリジナルプロダクトの制作に生かされています。

 

2度目の転職は、30代で出会ったセレクトショップ

フランスで長く使い続けられてきたものの古くて美しい佇まいに感銘を受けた高橋さん。その後、さらにその感性を拡張する出会いが、服と生活用品のセレクトショップ『アーツ&サイエンス』(以下、アーツ)でした。

高橋さん:
「初めて行ったのは代官山のお店。置いてあるものから内装まで、すべてに美意識が行き渡った空間に見ほれました。高価なので当時はなかなか買い物できなかったんですけどね……(笑)

ある時、アーツでスタッフを募集していたんです。ちょうど35歳を過ぎて、何か新しいことをしたいなと思っていた頃で、アパレル未経験ながら一か八か応募してみたら、運良く受かって! ソニア・パークさん(※)がつくる世界観や、アーツのものづくりを間近で体感できたのは、私にとってすごく貴重な経験でしたね」

※スタイリスト。「アーツ&サイエンス」のオーナー兼クリエイティブディレクター

20代、30代とそれぞれの節目で新しい仕事に挑戦して、その世界で感性を磨いていった高橋さん。実は、いまのようなカフェの仕事も、40歳未経験からはじめたというから驚きです。慣れた場所を離れ、新しい仕事や環境に身を置くことにためらいはないのでしょうか。

高橋さん:
「いつも心のどこかに『えいっ! やってしまえ!』という気持ちがあるんです。好きなものや気になるものがあれば、行ってみる、聞いてみる、体験してみる。自分から動いてみないと、『好き』の先が何もはじまらない気がして」

チャーミングな笑顔の中に、ゆるがない信条を垣間見たひと言が印象的でした。

2話では、そんなさまざまな出会いを経て“好きの強度”を高めてきた高橋さんが、実際に暮らしに取り入れている定番について、お話を伺います。

(つづく)

【写真】佐々木里菜

 

もくじ

第1話(3月31日)
「好き」がすべてのはじまり。あらゆる職種を経験して、カフェを開くまで

第2話(4月1日)
いつでもフラットな気持ちになれる、頼もしい定番

第3話(4月2日)
40代からより自由になった。“年齢を重ねる”ことは楽しい?

 

高橋美賀

東京・四谷にあるコーヒーとお菓子のお店「MOON mica takahashi COFFEE SALON」店主。ハンドドリップで淹れるコーヒーと生クリームたっぷりのプリンをはじめとした手作りおやつが楽しめる。昨年は自粛期間中にオリジナルプロダクトの通信販売や、まるでお店に居るかのような雰囲気が味わえるYouTubeチャンネルをスタート。さらに2021年からはコーヒー教室などのオンラインサロンを順次展開予定。

Instagram@micatakahashi

 

ライター 木下美和

編集・ライター。生活、ものづくり、地域にまつわる雑誌やwebを中心にインタビューやレポート記事を手がける。趣味は演劇鑑賞と郷土銘菓さがし。

 


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