【ご機嫌でいるために】第3話:40代からより自由になった。“年齢を重ねる”ことは楽しい?
ライター 木下美和
いくつになっても自分の「好き」という気持ちにまっすぐで、毎日をご機嫌に過ごしている人。そんな大人に近づきたいと今回お話を伺ったのは、東京・四谷のカフェ「MOON mica takahashi COFFEE SALON」の店主・高橋美賀(たかはし みか)さん。
1、2話を通して、高橋さんが20〜30代で感性をひらくきっかけとなった出会いと、いつでもフラットに物事を楽しむための定番・習慣について教えてもらいました。
最終話は、40代になって新たに見つけたというファッションやメイクの楽しみ方、変化を受け入れ、楽しむ姿勢に迫ります。
「いいね!」のひと言がきっかけで開いた“ピンク”の扉
自分がご機嫌でいられるかどうかは、高橋さんが日常生活のあらゆるシーンにおいて大切にしている判断基準のひとつ。ご自身のお店を開いてからより一層際立って見える軽やかな表情や佇まいは、どうやら“ファッション”にも関係しているようです。
高橋さん:
「20、30代は黒・紺・白の服がほとんどで、シックで大人っぽい格好が好きでしたね。それが40歳になった頃から、急に“ピンク”が気になりはじめたんです。お店の壁をピンクにしようとしたくらい(笑)
もともと大好きな色なんですけど服は持っていなくて。最初はバッグや小物にピンクを取り入れていきました。
ピンクの服を着るようになったのは、友だちのひと言がきっかけ。一緒に買い物をしていた時に、ピンクのトップスを勧められたので言われるがまま試着してみたら、『やっぱり似合う! 美賀ちゃんはピンクだよ!』って。それで試しにピンクの服を着るようになったら、ほかの人からもいいねって言われるようになったんです。
それからは自分でもピンクの服を選ぶようになって、今ではすっかり私のテーマカラー。やっぱりかわいいし、着ていると気分が上がる気がします」
▲高橋さんの春物ピンクアイテムのごく一部。服に取り入れるのは淡い色味のピンク、小物はポイントづかいで濃いめのピンクでパンチを効かせるのがいつものスタイル
▲シルクのカットソーは、形と素材感にほれ込んで薄いピンクとネイビーの2色買い
▲ピンクが気になりはじめた初期から使っている「dosa(ドーサ)」のバッグ
30、40代と歳を重ねるにつれ、自分が好きなテイストや似合うものがわかってきて、それが頼もしい定番になっていく。一方で、いつの間にか自分で決めた“らしさ”に縛られて、新しいものに興味があっても踏み出しづらいと感じることがあります。
10年来のゆるがない定番を持ちつつも、いい意味で人に影響を受けながら楽しい予感のする方へ身をまかせる高橋さんの柔軟さ。チャーミングな大人に近づくためのヒントになりそうです。
久しぶりに目覚めたカラーメイク
▲高橋さんがふだんづかいしているカラーメイクアイテムの一部。「スック」「シャネル」が定番。写真手前左は「アンプリチュード」のエクストラボリュームカラーマスカラ〈クロームオレンジ〉
“ピンク”という新しい色を味方につけ、ファッションの幅を広げた高橋さん。昨年からは、さらにメイクにも色を取り入れるようになったそう。そのきっかけは、長引くマスク生活でした。
高橋さん:
「昨年は通常どおりにお店を開けられない期間が続いたり、プライベートでも思うように友だちと会えなかったり外出できなかったり……。どうにか自分自身で気分転換するしかない状況でしたよね。
それで、ふと、ふだんのメイクはリップしか色を使わないところ、久しぶりにピンク系のアイシャドウとオレンジのマスカラを使ってみたんです。そうしたら、マスクをつけていても顔つきが明るく見えて、あ、いいじゃんって(笑)」
そう話しながら、瞬きをする度にさりげなくきらっと光る目元は、明るい印象で春の装いにもぴったり。
▲「uka(ウカ)」のカラートップ&ベースコート。フィルターのようにうっすらと色づく程度が仕事中にはちょうどいいそう
年齢に伴う変化を、楽しむコツ
そうはいっても、若い頃のようにメイクが乗らなくなったり体型が変わったりと、当たり前のことだとわかっていても年齢に伴う変化に凹むこともしばしば。高橋さんはそんな時どう乗り越えているのでしょうか?
高橋さん:
「ファッションにしてもメイクにしても、大人だからこそ素敵に見える遊び心や色があると思うんです。それに、若い頃より周りの目が気にならなくなったというか、“自分は自分”と思えるから、好きなものを自由に楽しめるようになった気がします。
とはいえ40代後半にもなると、心と体のメンテナンスは年々大変(笑)。ちょっとしたことで落ち込むこともあるけど、クヨクヨする時間は短くして、『食生活を見直す』『水をたくさん飲む』とか、基本的なことを心がけています。
白髪も……増えますよね(笑)。最初は気にしてたけど、信頼する美容師さんが自然に見えるカラーを提案してくれるのでお任せしています。もう少し全体的に白髪が増えてきたら、グレイヘアにするのもいいかもねって相談してるんです」
主観と客観の両方を行き来しながら、“いま”の自分と向き合い、楽しくいられる方を選択していく高橋さん。年齢に翻弄されている場合じゃない、そう感じさせてくれます。
「かわいい」と「あまやかし」がつくる気持ちの余白
取材の終盤、さまざまな愛用品を振り返りながら、ふと高橋さんがつぶやきました。
「かわいい〜って言っていると、5歳くらい若返る気がする!」
日々のちょっとしたことにウキウキしたり、素直に感動したり。高橋さんが放つ「かわいい」には、気持ちの“余白”を感じます。
そんな彼女らしさを物語るもう一つの言葉が、「あまやかし」。高橋さんがインスタグラムに綴るこのひと言は、“コーヒーと甘いおやつで一服”という意味合いはもちろん、今回お話を聞くなかで“一人の時間を大切にする”というニュアンスが含まれていることを実感しました。
高橋さん:
「何かと落ち着かない日々が続いた昨年は、自分のためにコーヒーを淹れて、お菓子をつくり、ゆっくり味わう“あまやかし”の時間が、いつも以上に大切でした。
そうやって一人の時間を過ごしていると、自分にとって本当に必要なものがクリアになって、これからの楽しい妄想もどんどん膨らんでいく。50歳を目前に、まだまだ私のやりたいことタスクは増えるばかり!
いい物事に出会った時の直感力を養うために、みなさんも一人の時間をつくってもっと自分自身をあまやかしていきましょう」
好きなものへの強度、フラットな心を保つ術、年齢を重ねたいまを楽しむ姿勢――。高橋さんがいつでもご機嫌で楽しそうに見える理由を知り、あらためてその魅力に心酔した今回の取材。
憧れの大人に近づくために、私にできること……。よし、まずはコーヒー片手に春の花を眺めながら、「かわいい〜」とつぶやくことからはじめてみることにします!
(おわり)
【写真】佐々木里菜
もくじ
高橋美賀
東京・四谷にあるコーヒーとお菓子のお店「MOON mica takahashi COFFEE SALON」店主。ハンドドリップで淹れるコーヒーと生クリームたっぷりのプリンをはじめとした手作りおやつが楽しめる。昨年は自粛期間中にオリジナルプロダクトの通信販売や、まるでお店に居るかのような雰囲気が味わえるYouTubeチャンネルをスタート。さらに2021年からはコーヒー教室などのオンラインサロンを順次展開予定。
Instagram:@micatakahashi
ライター 木下美和
編集・ライター。生活、ものづくり、地域にまつわる雑誌やwebを中心にインタビューやレポート記事を手がける。趣味は演劇鑑賞と郷土銘菓さがし。
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