COLUMN
【エッセイラジオ】第21夜：引田かおりさんのエッセイ「しあわせ」（読み手 スタッフ青木）
編集スタッフ 鈴木
今日も1日おつかれさまでした。
皆さんこんばんは。日曜日の20時、いかがお過ごしでしょうか？
週末でリフレッシュされた方や、明日からの一週間に備えて気持ちを整えている方、思い思いの時間が流れていることと思います。
そんな誰もがほっと一息つきたい時間に「おつかれさま」の気持ちを込めて、「エッセイラジオ」をお届けします。
思うようにいかなかった昼間の出来事や、いつも心の端に引っかかっている悩み事など。生活していると日々色々とありますが、このラジオを聴いているその時間だけは、一旦それらを手放して、ゆったりと声に身を任せていただけたら幸いです。
今夜のエッセイの書き手は、ギャラリー「gallery fève（ギャラリー フェブ）」とパン屋「ダンディゾン」を営む引田かおりさん。読み手は、当店スタッフの青木です。
ではさっそく、今夜のエッセイの世界へ、どうぞいってらっしゃいませ。
しあわせ
引田 かおり
しあわせについて考えます。
「毎日ご機嫌で暮らしたい」。
それが、ささやかな願い、
そして一番のしあわせ。
おたふく風邪に水ぼうそう、
子どもと一緒にかかっては
一人ひどくなるという20代後半。
こどもの日に買ったスケートボードに
母さんも！と乗った途端に
すっ転んで骨折。
思い返すと笑っちゃうくらいの、
病気とケガのオンパレード。
元気な母さんでなくて本当にごめんねと
謝りながらの子育てでした。
一方、多忙を極める
モーレツサラリーマンの夫は、
何があっても「大丈夫」を繰り返すばかり。
ぜんぜん大丈夫なんかじゃないんだけど。
そんな夫の口ぐせは、
「ついてる！」とか「しあわせ！」。
感動したらすぐに泣きます。
美味しいものを食べては「しあわせ」
レジがすいすい進んだだけで、
「今日はついてる！」って。
随分簡単でいいわね、
といつもあきれておりました。
きっと強力なポジティブDNAが
あるにちがいない。
そういえば実家のお母さんも
強い人だったなぁ。
しかしある時、
とある女優さんの文章を目にしました。
そこにはこう書かれていました。
「私は女優ですから、
大きな声で驚いたり、
ばたばた動き回ったりいたしません」と。
自分をプロデュースし、なりたい自分に
その振りを重ねながら近づいて行く。
これは自分の人生にも
大いに応用出来るのではないかと。
昨日熱が出ちゃっても、
今日はケロっとするような
元気な強者にはなれないけれど、
自分のことを弱いとかダメだと思うのは
もうやめようと思いました。
そうそう、
身近に素晴らしいお手本がいましたから、
私も早速彼を見習って
やってみることにしたんです。
なんだか空が青くてきれい、ああ幸せ。
おいしいお豆腐屋さんの厚揚げが残ってた、
何てついてるんだろうってね。
それから自分のありのままを受けとめて、
無理がきかないんだから無理しないとか、
体のサインを見逃さず
予防につとめて早く寝るなど
自分を大切に扱えるようになりました。
しあわせは、
しっかり自分がしあわせだと思えば
いつも自分の足元にあるものだと思います。
青い鳥を捜しに旅に出た
チルチルとミチルのように、
捜しても見つからなかった青い鳥が
実は最初から家にいたみたいにね。
いかがでしたか？
ほんの数分ではありますが、心の緊張がほどけたり、すうっと眠りに入るきっかけとなれたなら、これほど嬉しいことはありません。
次回の配信も、どうぞ楽しみにしていてくださいね。
エッセイラジオを通して、このささやかなエールが届きますように。それでは、おやすみなさい。
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