【わたしの味方】第3話:自信をなくしたとき、私を支えてくれるものは
編集スタッフ 野村
目の前の何かに頑張りたい時、自信が持てずに少し弱気になった自分を励ましたい時に、いつもお守りのように聴いている音楽があります。それはシンガーソングライター・NakamuraEmi(なかむら えみ)さんの音楽。
そんな彼女自身のお話を伺っている本特集。第1話では、紆余曲折あった20代の頃のお話を、第2話ではそこから少しずつ解放されていった経緯やきっかけについて伺ってきました。
第3話では、失恋から始まった30代、彼女がどう自分の道を切り拓いてきたのか、そして彼女自身を支えているものについて伺いました。
人生設計が崩れてしまった、30代の始めだったけれど
20代後半、音楽は趣味にしようと考えていたNakamuraEmiさん。でもそこから彼女はメジャーデビューへの道を進むことになります。そのきっかけはなんだったのでしょう。
NakamuraEmiさん:
「30歳を過ぎた頃、当時結婚を考えていた彼から振られちゃったことがひとつあるかもしれないです。
その時は、一生ここで働きたいなって感じるような職場にも恵まれて、その会社で働きながら、結婚したらパートナーを支えて、音楽は趣味でマイペースに楽しめたらいいなって考えていました。
でもそんな予定が全部崩れてしまって。その時はすごく落ち込んでしまいました」
NakamuraEmiさん:
「そうやって落ち込んだ時に、今もずっとプロデューサー兼ギタリストとして私の音楽活動を支えてくれているカワムラヒロシさんが、当時の音楽活動を手助けしてくれて、続けさせてくれました。
平日は会社で仕事、土日は地方遠征も含めてライブをして、そのままカワムラさんに会社まで送ってもらってまた仕事へ行く。そんな忙しさに身を置くことで、なんとか自分を保っていました。
そうやってカワムラさんのサポートを受けながら何とか音楽を続けていく中で、今の事務所とマネージャーに出会って、『事務所に所属しませんか』って声をかけてもらえたんです」
決断できなかった自分の背中を押したもの
NakamuraEmiさん:
「この話をもらった時、一度は音楽を趣味にしようと考えていたくらいだったので、音楽だけを仕事にするのが本当に怖くて、決断できませんでした。
音楽をやることはもちろん楽しかったんですが、その時働いていた会社で会社員として安定して働いていくのもいいし、誰かと付き合って結婚して家庭に入る可能性だってあるかもしれないしと考えていた時期で。音楽か仕事か結婚かっていう3つですごく悩んでいました」
NakamuraEmiさん:
「そうやって迷っていた時に、事務所に所属することやメジャーデビューすることを決めることができたのは、周りにいる人たちのおかげでした。
ひとつは、勤めていた会社の上司に『こんな機会は二度とないから、行ってこい。ダメだったらまたここに戻ってきたらいいじゃん』って言葉をかけてもらって。その一言が、ものすごく私の背中を押してくれました。
そしてもうひとつは、マネージャーの紹介で見た、同じ事務所で活動する竹原ピストルさんのライブ。そのライブではずっと泣きっぱなしで、こんな心に突き刺さるようなライブができる人のいる事務所でやれるのなら、大丈夫かもしれないと勇気をもらえました」
NakamuraEmiさん:
「デビューへ向かっていけたのは、カワムラさんと出会って、ずっと音楽を続けさせてもらえたのが土台になっていたなと思います。あたたかい言葉で私の背中を押してくれる人たちにも恵まれて、そこから今の事務所とマネージャーとも出会って。
自分ひとりでメジャーデビューを勝ち取ったというより、周りの人たちにどんどん道を開いてもらって、デビューできたんだって思います」
今でも自信がなくなることはあるけれど
私・野村が、NakamuraEmiさんにインタビューをしたいと思ったきっかけは、彼女の音楽にたくさん気持ちを支えられた経験があったからでした。
インタビューの最後に、Nakamuraさん自身にも、そんな存在になっているものは何かありますかと伺ってみました。
NakamuraEmiさん:
「私が支えにしているものは、詩人の茨木のり子さんが書いた『自分の感受性くらい』っていう詩です。自分に自信がなくなったりする時に、この詩をよく読み返すんです」
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
(中略)
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
「自分の感受性くらい」(『茨木のり子詩集』岩波文庫、p.171−172)より一部抜粋
NakamuraEmiさん:
「今までの私の楽曲は、自分のために書いた日記をそのまま公開していたようなものでした。曲を聴いてくれる人や、自分自身をとにかく『がんばれ!がんばれ!』って応援するものが多かったんです。
でも2021年にリリースしていった今回の曲たちは、受け取る人の気持ちも想像して、どう伝えればいいかなっていうことを考えて作り始めて。コロナのこともあって、今はみんな一緒に頑張っていくような世の中だなって感じて、誰かの心に寄り添えるような、やさしい曲も作れたらいいなって思うんです。
でも、そうやって歌詞を書こうと思っても、気持ちがぶれちゃうことはあって。そんな時に茨木さんの詩を読むと、歌詞にちゃんと向き合おうって背筋がシャンと伸びて、曲への想いをちゃんと取り戻せて、励みになるんです」
***
家族や友達以外にも、自分の味方になってくれる人はたくさんいる。
もし誰とも会えなくて、相談もできなくて、ひとりぼっちだと感じたことがあったとしても、身近にある言葉や歌は、いつだって絶対に味方でいてくれると思えると、すごく安心できる自分がいます。
自分は1人じゃない。もう少し頑張れそう。
そうやって人や音楽や言葉にも頼りながら前を向けるのは、ひとつの希望なのかもしれません。
(おわり)
【写真】神ノ川智早
NakamuraEmiさんの新曲リリースとツアーが決定!
2021年4月から、NakamuraEmiさんの新曲4曲がリリースされ、各配信サイトで聴くことができます。そして7月にはニューアルバムのリリースと、配信ライブや全国ツアーの開催も決定しています。
7月7日に行われた七夕ライブは、配信アーカイブが7月11日まで購入視聴できるそうです! ぜひNakamuraEmiさんの楽曲を、いろんな形で聴いてみてください。
■RELEASE
Major 6th Album「Momi」
7月21日(水)発売
【CD】COCP-41502 ¥2,970(税込)
【LP】COJA-9422 ¥4,400(税込)
■LIVE
NakamuraEmi Streaming Live「七夕はそこへ。2021」
7月7日(水)
チケット代(配信ライブ)¥2,500(Tax in)
視聴開始時間 20:00 / 終了 21:10(予定)※チャット開始19:30
受付期間:5.21(金)21:00〜7.11(日)21:00
受付URL:https://eplus.jp/nakamuraemi77/
NakamuraEmi「Momi Release Tour 2021」
2021年9月から、全国25会場にて開催。
未就学児入場可 小学生以上チケット必要
全自由(なんばHatchとZepp Hanedaは全席指定)
Acoustic Ver. ¥4,500(+1Drink) / Band Ver. ¥5,000(+1Drink)
ツアーの詳細は、NakamuraEmiさんのホームページからご確認いただけます。
https://www.office-augusta.com/nakamuraemi/
プレイリスト特別編も
今回、当店で公開しているプレイリストの特別編として、NakamuraEmiさん選曲による「20時のおつかれさま」プレイリストをつくっていただきました! こちらもぜひお楽しみください。
NakamuraEmiさんコメント
「まさか自分が『20時のおつかれさま』プレイリストを選ぶことができるなんて。光栄すぎて選ぶのにすごく時間がかかりました。
仕事の帰り道、家に帰ってご飯を作るとき、お風呂上がりゆっくりするとき。
明日も頑張るため、心と体をほっとさせる時間に、あなたの側にいれる曲があれば嬉しいです」
▼プレイリストはこちら
もくじ
NakamuraEmi(なかむら えみ)
神奈川県厚木市出身。1982年生まれ。様々な職種を経験する中で、いろいろなジャンルの音楽に出会い、歌とフロウの間を行き来する独特なスタイルを確立。小柄な体からは想像ができないほどパワフルに吐き出されるリリックとメロディーは聴く人の心の奥底に突き刺さる。
2016年1月、日本コロムビアよりメジャーデビューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』をリリース。収録楽曲の「YAMABIKO」が全国のCSやFM/AMラジオ52局でパワープレイを獲得。2021年4月から、3ヶ月連続デジタルリリースと題し、デジタルシングル4曲をリリース。7月には、メジャー6枚目のアルバム『Momi』をリリース、9月からはアルバムを携えた全国25公演ツアーを行う。
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