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【スタッフコラム】見知らぬおばあちゃんと、人生よもやま話

【スタッフコラム】見知らぬおばあちゃんと、人生よもやま話

編集スタッフ 田中

どちらかというとマルチタスクは苦手で不器用なほうなのに、「あ、それやろうか?」となることが多い性分です。おそらく自分なりに、見て見ぬふりができない範囲があるというだけ。きっとその範囲は人それぞれに違うから。

わたしの場合は、仕事に直結するようなビジネススキルではないのが残念だけど、この性分のおかげでおもしろい出来事に出会ったなあ〜と感じることがあります。

この日も、きっとそうでした。

 

見知らぬおばあちゃんと、人生よもやま話

いつかの取材帰り。お昼時に終わったので、最寄り駅にあったファストフード店で電車に乗る前に腹ごしらえしようと、テイクアウトして外のベンチでお昼ごはんをとることに。

ベンチは2つあり、1つは私。もう片方には70代と思しき年配の女性が座っていました。そのおばあちゃんは、何かを待っている様子で、時折腰を浮かして遠くを眺めてはぼそっと独り言をつぶやいています。

「何を待ってるんだろう……?」

そのうち、おばあちゃんは困った表情を浮かべながら、わたしの座っているベンチを横切り、駅のタクシー乗り場を右往左往しはじめます。

ここら辺で、タクシーを待ってるのに来ないんだ……と気づき、見て見ぬふりができなくなってきました。

「タクシーを待ってるんですか?」と声をかけ、事情を聞いた末にわたしがタクシー会社に配車手配をサポート。

おばあちゃん「ありがとう! 本当に悪いわねえ…..」

わたし「あと10分くらいで来てくれるそうですよ」

そう伝えると、おばあちゃんはわたしの隣に座って落ち着きを取り戻しました。安堵のためか、その後タクシーがくるまでノンストップおしゃべり。たった10分で、おばあちゃんの出身地から家族構成、今東京に住んでいる理由や、すでに独立した娘さんとの関係や悩みまで知ることになりました。

最後おばあちゃんは「あなたのお名前も知らないけれど、本当に助かったわ、ありがとう」と言って去っていき、ポツンと残されたわたし。

まさか、見知らぬ人とこんな情報量の多いよもやま話をするとはな〜と、帰り道でこの出来事を浮かべては声をかけてよかった!と思うのでした。

 

自分の視点を、もっと楽しめたら

冒頭でもお話ししましたが、きっと人にはそれぞれ見て見ぬふりができない、その人だけの視点があるんだと思います。

もっとも20代の頃は、損得勘定が働いて「なんでわたしばっかり、この雑用をしているわけ!?」なんてイライラしていた時期もありました。けれど、途中で気づいたのは、自分の見えている範囲と他人のそれとは違うということ。

わたしが気づかない細かなことに常に気を配ってくれる人の存在を感じた時、「ああ、全然気づけなくて本当にダメだなあ」と落ち込んだけれど、違う誰かもわたしと同じように感じることがあるのかも……と。

みんな違う視点だからこそ、いま自分の見ている視点をもっと面白がりたいと思うようになりました。

久しぶりにその気持ちを思い出した、おばあちゃんとの出会いでした。

 

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