【45歳のじゆう帖】孤独との向き合いかた
ビューティライターAYANA
ひとりの時間
「あなたはひとりで○○できますか?」という問いかけがあります。ひとりで食事ができる、映画を観に行ける、寿司屋に入れる、ライブハウスやクラブに行ける、ディズニーランドに行ける、海外旅行に行ける、しかるべき店でフランス料理のフルコースを食べることができる。
私はそのどれも、基本的には問題なくできるなと思います。心から楽しむことができる、と言っていいでしょう。何かを克服してできるようになったわけではないので、もとからの性質だと思います。
ひとりの時間を持つことは私にとって大きな価値があります。
「自分との打ち合わせの時間を持ったほうがいい」とはよく言われることですが、ひとりでコーヒーを片手に何かを手帳に書き記すことは、学生時代からずっとやっている気がしますし、少し決意を新たにしたり、リフレッシュしたり、反省したりといったことは、そういった時間にこそできるものだなと思います。
いっぽうで、人との時間にももちろん大きな価値があるのです。感動を共有したり、自分とは違う視点に刺激を受けたり、話を聞いてもらってすっきりしたり……、いわゆるエネルギーの交流のようなものは、ひとりきりでは難しいことだと思います。
私は上記の「あなたはひとりで○○できますか?」のシチュエーション、ひとりで楽しめますが、誰かと一緒であってもまた、心から楽しむことができるでしょう。
ですが、常に誰かといると、自分が自分でなくなってしまうような感覚に陥ることがあります。意識が外に向きすぎて、内側がどんどんおざなりに、スカスカになっていくような。だから、ひとりの時間、誰かとの時間、両方が存在していることで、メリハリや相乗効果のようなものが生まれているのかもしれません。
ひとりと孤独は違う
「ひとり」と「孤独」って意味合いがまったく違います。「ひとりが好き」か?と言われれば、そうですね、好きですよと答えられると思いますが、「孤独を愛している」か?と言われると、いや、特にそうではないですと答えるでしょう。
孤独を感じるとき、ひとりかどうかはあまり関係しません。どんなに素敵な人と相思相愛であっても(物理的にひとりではなくても)孤独を感じる可能性はあるでしょう。
私にとっての孤独とはどんなものかというと、話しかけても声が誰にも届かない状況、といえます。
一人っ子という生い立ちのおかげで、孤独を感じることは昔からありました。家に独りで留守番をしているときなどはよく、自分が砂漠のような、指標もなにもない場所にぽつんと立っているように感じたものです。何を言っても砂に吸収されてしまうあの感じはとても寂しく、張り合いのないものでした。
大人になると、物理的にひとりではない状況で孤独を感じるのは、ひとりの時の孤独よりももっとしんどいことだと知ることになります。
「孤独は決してわるい感情ではない」とか「他者と本当にわかりあうことが難しいのは当然のことだ」といった言葉をよく聞きますが、確かにそうかもしれないけど、そんなふうに簡単には割り切れないな、と思います。
私が仕事をしていていちばん嬉しいのは、誰かの役に立ったときです。
その人の気持ちに寄り添ったり、共鳴したり。そこにはエネルギーの交流があり、孤独とは真逆の状態があります。そこに生きがいを感じてしまうところに、孤独とはやっかいで、できることならあまり経験したくないと私が思っていることが伺えます。
孤独を乗り越えるヒント
しかし、パラドックスのようですが、孤独を一切感じずに生きていたら、それはそれで孤独を感じている人に対して想像を巡らせたり、寄り添うことができなくなってしまうのではないか……と思うのです。そのための勉強として、私は孤独という感情を受け入れるようにしています。
そして、孤独でやるせないと感じてしまうその先の、少し孤独を和らげる方法についても考える価値があります。それを知っていれば、孤独がやってきたときに対処できるかもしれないからです。
まだまだ朧げではありますが、その鍵を握っているのはやはり自分自身なのかな、と考えるに至っています。長い人生において唯一、決して別れることのない相手。自分と仲良くなる、自分を知る、自分を裏切らない、そういう姿勢が、孤独という感情のキツさを少しやわらげてくれたり、前進へと昇華させてくれる可能性を持っている気がします。
他者といるときの私は、少なからず「こうありたい」という自分を意識しています。ひとりになったとき、その枷がはずれた状態の自分を見て、自分自身は何を思うのか。
労うのもいい、ただ許すのもいい、反省会をしてブラッシュアップをするのもいい。自分だけにしか知り得ない、自分との時間を大切にすることは、孤独を感じてひからびてしまった心の肥やしになるのではないでしょうか。
ひとりでディズニーランドに行ったり、フランス料理のフルコースを食べることができるようになる必要はまったくないけれど、自分だけが知っている自分を大切にすることは、生きるうえでとても役に立つと思います。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
AYANAさんに参加してもらい開発した
KURASHI&Trips PUBLISHING
メイクアップシリーズ
AYANAさんも立ち会って制作した
スタッフのメイク体験
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