【ベスト本&映画】前編:2024年上半期、スタッフのおすすめ本12冊をあつめました
編集スタッフ 野村
気づけば2024年の上半期が終わり、下半期に突入しました。半期の節目に、気になっていた本や、見ようと思っていた映画に手を伸ばしてみるのはいかがでしょうか。
この特集では、スタッフが2024年上半期に心に残った本と映画をご紹介します。
前編の今回は、本。漫画や小説、エッセイから絵本まで、ジャンル別におすすめの12冊を集めました。気になる本との出合いがあったなら嬉しいです。
『生活フォーエバー』(寺井奈緒美・ELVIS PRESS)
「寺井さんのトークイベントに行ったことをきっかけに知った短歌&エッセイ集です。寺井さんの日常、それもかなり限られた行動範囲の中で起きたエピソードがほとんどなのですが、どれも声を出して笑ってしまうほど面白いです。どう考えても悲壮的に思える出来事も、寺井さんはこんなふうに可笑しさを見つけるんだ……とその思考回路に感動してしまうほど。ちょっと悲しいことがあった日も寝る前にこれを読めば、なんであんなこと気にしていたんだろ?と豪快に吹き飛ばせます。私にとってお守りのような本です」(スタッフ藤波)
『いかれた慕情』(僕のマリ・百万年書房)
「短編のエッセイがたくさん詰まった本なのですが、書籍全体のトーンがじんわり温かくて、この本を読んでよかったなぁと思えました。生きる上で人と関わることで感じる息苦しさや、暗い感情に触れているエピソードもいくつかあります。でも、そういった気持ちから救ってくれる人とのエピソードもあって。最後にはあたたかく、やわらかく光る希望が包んでくれるような読後感が印象に残っています」(スタッフ一瀬)
『デュアルキャリア・カップルーー仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』(ジェニファー・ペトリリエリ、高山真由美、篠田真貴子・英治出版)
「知人の勧めで読みました。世界各国のカップルへのインタビュー調査をもとに、人生のさまざまな転換期をパートナーとともに対話で乗り越えていくヒントが綴られていて興味深かったです。我が家は、ちょうど人生の第二転換期で、大切な問いは『ほんとうに望むものは何か?』だそうです。確かに20代、30代のドタバタだった変化を乗り越えて、お互いに改めて、自分や家族のこれからについて深く向き合うタイミングにあるなと感じています。自分自身もですし、人事という仕事柄、さまざまな方の人生の転機に向き合うので、その点においても、誠実な関わりを持っていきたいなと改めて考えさせられました」(スタッフ 金)
『おあとがよろしいようで』(オカヤイヅミ・文藝春秋)
「西加奈子さん、朝井リョウさんなどの人気作家に最後の晩餐を聞くエッセイ漫画。ラジオで紹介されていて、作家さんが最後の晩餐に選ぶ食事に興味があったので読んでみました。自然と死に方の話になるのですが、それは裏を返すと、どう生きたいか、ということでもあるとも感じられ、ときどき読み返したくなる一冊です」(スタッフ白木)
『うみべのストーブ 大白小蟹短編集』(大白小蟹・リイド社)
「普段漫画をほとんど読まないのですが、『話題になっているらしい』と夫が買ってきたのを手に取ったところ、一気読みしてしまいました。短編集になっていてどれもすごく静かなお話なのですが、読んでいると心の中にじわじわと痛みと優しさが広がってきて、忘れていた気持ちを思い出して、最後にはなぜか過去の自分を肯定してもらえたような気持ちになる、とても不思議な読み心地の漫画でした。表題作の『うみべのストーブ』は、別れてしまった男女が同棲していた家のストーブのお話。それだけでもう面白そうですよね」(スタッフ藤波)
『ひらやすみ』(真造圭伍・小学館)
「絵が好きです。今の時代に珍しくアナログで描かれており、それは言われないとわからないけれども、確実にこの作品に必要な要素なんだなと感じられます。料理をしたり、ビールを飲んだり、というシーンが多く、それがとても普通の料理だったり、なんでもない居酒屋だったりするんだけれど、美味しそうでなんだか幸せそうな時間だなと。こういう何気ない日常の中のささやかな良い時間に思いを馳せられるところが好きです」(スタッフ波々伯部)
『ケーキがやけたら、ね』(ヘレン・オクセンバリー さく、せなあいこ やく・評論社)
「10年以上振りに会った知人から、プレゼントでもらった絵本です。久しぶりの再会や贈ってくれた気持ち含めて嬉しくて、大切な思い出の本になりました。受け取った当時、3歳になったばかりの娘に内容もピッタリでドンピシャでした。一度読んだだけで、ケーキの上にのせたフルーツを覚えていて、読後も、どんな内容だった? どんな動物が出てきた? と会話が弾みました。やさしい絵のタッチや、声に出して読んだときに心地よいリズムなところも気に入っています」(スタッフ市原)
『アンジュール:ある犬の物語』(ガブリエル・バンサン・ビーエル出版)
「旅行先の宿に置いてあり、表紙の犬の絵に惹かれて手に取って読んだ絵本です。文章もセリフもありませんが、だからこそまっすぐ心に響いてくるものがあります。すべてのデッサンが素晴らしく、ひとりぼっちの犬のさみしさや、歩いていく街並み、草原の広大さが伝わってきて、絵だけでこんなにも表現できるんだ、と感動しました。読み終えた後は、まるで一本の映画を観たかのような気持ちになりました」(スタッフ鈴木)
『朝星夜星』(朝井まかて・PHP研究所)
「母に勧めてもらって、久しぶりに読んだ小説です。日本初の洋食店を開いた夫を持つ女性の目線から語られる物語。 いきいきとした料理の描写に引き込まれ、あっという間に物語の世界に夢中になりました。 江戸幕末から明治へと時代が移り変わる中で1人の女性の人生を追いかけていく様子は、主人公も周りの社会の変化も興味深く、とっても面白く読み切ることができたおすすめの1冊です」(スタッフ一瀬)
『十二国記』(小野不由美・新潮社)
「SNSでおすすめされていた投稿を見て興味を持って、初めの一冊を手に取りました。十二国の世界の入り口に立ち、一冊一冊読み終えるごとに、その世界の住人になっています。普段仕事と育児にいっぱいいっぱいで、じっくり本を読んだりコンテンツを楽しむ時間がないのですが、その中でも捻り出した時間で別世界に没頭するのが自分をリフレッシュしてくれる感覚があります。今、シリーズ10作目あたりを読んでいるのですが、今までの伏線を全て回収する大クライマックス回になっているので、『え?え?こんな人までここで登場するの? うそ、この裏でこんなことが!?』となって、一人でページをめくりながらハラハラしています」(スタッフ筒井)
『さびしさについて』(植本一子、滝口悠生・筑摩書房)
「実家との関係や子どものちょっとした成長、子育てのなかで忘れかけていた自分を大切にする気持ち、表題の『さびしさについて』などなど、あげることができないくらいたくさんの共感がありました。著者のおふたりのおうちや暮らしをそっと覗くような距離の近さも、なんだか新鮮で印象に残りました」(スタッフ白方)
『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン、森田真生・筑摩書房)
「最近子どもに『これなあに』と聞かれることが増えてきて、ちゃんと答えられないなぁともやもやしてたときに出合いました。『(子どもにとって)感受性をともに分かち合い、生きる喜びと興奮、不思議を一緒に再発見していってくれる、少なくとも一人の大人の助けが必要』という一節に、少しだけ救われ、読み進めていくうちにざわざわもやもやしていた心が落ち着いてきて、森の奥を進んでいくような感覚が印象に残りました」(スタッフ白方)
「西村ツチカさんの美しい挿絵に惹かれて手に取ったところ、後半の森田さんと息子さんの日々を綴ったパートもとても良かったです。最後に『どんな言葉を尽くすよりもたしかな、手で触れられる経験』という言葉が出てくるのですが、本当にその通りだなと。自然に触れることの喜びを思い出させてもらえました」(スタッフ藤波)
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ジャンルもさまざまに、スタッフの濃厚な感想を聞いているうちに私も読んでみたくなり、いくつかの本は本屋さんで手に入れて読み進めているところです。気になった書籍があれば、ぜひ手に取ってみてくださいね。
続く後編では、スタッフが選んだ「おすすめ映画」をご紹介していきます。
【写真】上原朋也
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