【初めての音楽づくり】映画、ドラマに続き、「曲」が誕生! 当店オリジナル曲『わたしの星』ができるまで

ライター 長谷川賢人

『北欧、暮らしの道具店』の店長佐藤と、スタッフのよしべこと青木がお届けする、隔週日曜配信のインターネットラジオ『チャポンと行こう!』。番組6周年を迎えて、この度、番組の主題歌『わたしの星 feat.三浦透子』ができあがりました!

作編曲は岩崎太整さん、作詞は土門蘭さん、歌唱は三浦透子さん。すばらしい作り手のみなさまと、佐藤は2022年12月から制作に取り組みました。

約1年半をかけ、リスナーのみなさまへ、そしてもし届くのであればラジオを聴いたことはないというお客さまへも「プレゼント」のようなものになったなら。その思いはいつからかさらに広がっていき、オープンして17年を過ごした「北欧、暮らしの道具店」にとっても、大切な一曲になりました。

▼ミュージックビデオはこちらから

 

テーマは「自分ひとりの星を持つ人」

リスナーさん同士で共有できるものが贈りたい。オリジナルグッズやイベントもよいけれど、もっと別のかたちで……そう思った時、佐藤の頭に浮かんだものが「歌」でした。

佐藤:
「最初は振り付けも考えて、私たちも踊ってみた動画を載せようか、なんて(笑)。考えていくうちに『チャポンと行こう!』のテーマソングができたら面白いな、と思ったんです。ちょうど番組が6周年を迎えるタイミングもあって、贈り物がしたくなりました。

ドライブしているとき、家のなかでふとしたときに曲を口ずさむ。その歌が、私たちの主題歌であったら、とても幸せな景色だなぁって。ラジオは耳から聞くもので、お便りにも『二人の話を側で一緒に聞いているようです』という感想もあったから、なおのこと、日常へ自然と溶け込むような “耳で味わえるプレゼント” が、いちばん似合う気がしたんです」

主題歌のテーマは「自分ひとりの星を持つ人」。この言葉も、もともとは『チャポンと行こう!』に寄せられた、あるご相談がきっかけで見つかりました。そのお便りは恋愛にまつわる内容でしたが、恋愛対象に限らず、「ひとりでいる “星” を持たざるを得ない人に惹かれてきた」と広げた話に、共感の声をたくさんいただきました。

様々なかたちで暮らし、働く人の中にも、もしかしたら「自分ひとりの星」のような心の空間がある。そんな「わたしの星」を耕したり、潤わせたりするお手伝いがしたい。この思いは、「北欧、暮らしの道具店」や『チャポンと行こう!』を続ける理由の一つなのだ、と気付きを得たのです。

佐藤:
「だから、『チャポンと行こう!』のための曲でありながら、完成してみると、『北欧、暮らしの道具店』にとってのテーマソングにもなったなぁ、とも感じています。星というシンボリックな言葉を用いることで、これまで使ってきた “家” や “暮らし” という捉え方から、もっと広がりが出たように思います」

 

私自身も想像できないところへ、一緒に行ってみたい

リスナーさんへプレゼントできるような歌をつくった経験なんて、佐藤にはありませんでした。まさにゼロからのスタート。誰が奏で、歌うのかも決まっていません。

まず佐藤は、つくりたいイメージや込めたいメッセージを音楽家の方へ伝えてくれる「翻訳者」のような役割を探しました。快諾してくれたのは、『青葉家のテーブル』や『ひとりごとエプロン』といった映像作品を共につくった、音楽プロデューサーの剣持学人(けんもち まなと)さん。

リスナーさんを思いながらも、「北欧、暮らしの道具店」にイメージを寄せすぎることなく、正面から曲作りに向き合ってくれる音楽家を──そうして剣持さんが縁をつないでくれたのが、岩崎太整(いわさき たいせい)さんでした。『竜とそばかすの姫』や『モテキ』といった映画をはじめ、アニメや映像作品の劇伴(劇中伴奏音楽)を数多く制作してきました。

佐藤:
「今回は私自身も想像できないところまで、一緒に行ってみたい思いが強くて。音楽家の作家性にリードしてもらうのはもちろんのこと、劇伴の作曲家としても一流の岩崎さんと、お互いに話し合いながら、初となる楽曲制作に向かえたらと考えました。

岩崎さんとは昨年の初夏くらいにお会いしました。資料があるわけでもなく、ただコンセプトを伝えるだけで。私にとっての “ひとりでいる星” には、アイスランドのような絶景のイメージもありました。一見そんなわけのわからない話や、聴く人にこんな気分になってもらえたら嬉しい、逆にこんなことはしたくないというような話をして。

岩崎さんはそんな私の感覚を、音楽をつくるための理論から肯定して、寄り添いながら質問を重ねてくれました」

 

「絶対に、歌詞が書ける人ですよ」

みんなが口ずさめる歌のために、歌詞は欠かせません。佐藤は、作詞経験も豊富な岩崎さんに頼むつもりでいましたが、そこには想定外な提案が……。

佐藤:
「岩崎さんから、この主題歌制作にそれだけの思いを込めているなら、佐藤さん自身が言葉を生むべきだ、と言われたんです。えー!歌詞なんて書いたことないよ!と(笑)。どんなやり方でもいいから原型になる言葉を作ってほしい、と壮大な宿題をもらってしまって。

そこで私は、言葉のスペシャリストだと頼みの綱にしている、作家の土門蘭さんに相談してみました。土門さんは3ステップの提案をくれました。まずは、よしべさんと私にインタビューして、『チャポンと行こう!』にまつわる客観的な読みものをつくる。次に、その取材をもとに土門さんが主観的にエッセイを書く。そして、エッセイから詩を紡ぐというものです」

3ステップを経て、土門さんが書き上げた詩。『自分ひとりの星』と名付けられたそれに、岩崎さんもプロの視点から手を入れてくれましたが……佐藤はどこか、二人が「北欧、暮らしの道具店に似合うようにしてくれている」と感じたと言います。こちらへ寄せすぎることなく、自身でも想像できないところへ行ってみたい。その思いから、再度話し合うことに。

佐藤:
「岩崎さんは、土門さんのパーソナリティや短歌などの創作をしていることも見た上で、『土門さんは絶対に “歌詞” が書ける人ですよ』と、最後まで土門さんが手を入れることを勧めてくれました。

そこから音楽としての詞をつくるためのレクチャーが始まり、数週間を経て、土門さんはほぼ今の完成形と同じ歌詞を生み出されたんです。こんな展開になるなんて、始めたときからはまさに想像もできなかった景色ですね」

▲収録現場にて。左から佐藤、土門さん、岩崎さん

 

それぞれの場所で、この曲を聴いているイメージがわいて

『わたしの星』というタイトルが冠され、できあがった歌詞。歌手は三浦透子(みうら とうこ)さんへお願いすることに決めました。三浦さんは俳優・歌手として活躍しており、アニメ映画『天気の子』の主題歌でもボーカルを担当しています。

佐藤:
「三浦さんの『風になれ』という曲を聴いて、声の力強さと共にある透明感がぴったりだと思ったからです。私が好きな映画『ドライブ・マイ・カー』やドラマ『エルピス』でもキーパーソンを演じられていて。これまでの『北欧、暮らしの道具店』のイメージと重なりすぎなかったのもポイントですね」

最初は「一緒にダンスをしてみるのも……」なんてポップなアイデアも、今は昔。弦楽器をはじめとするオーケストラが重なる、壮大さのある曲に仕上がりました。「北欧、暮らしの道具店」がオープンから17年間積み重ねてきた思いも一緒に抱きしめて、「何度聞いてもいろんな音が新たに聴こえてくる、そんな重なりを感じられるものにしたかった」と佐藤は言います。

佐藤:
「実はラジオを一緒にやっているよしべさんには、歌詞を生み出す過程に協力してもらっていたものの、完成した曲とはレコーディングが初対面。三浦さんの生の歌声が生み出す迫力もあってか、よしべさんがボロボロと涙をこぼしたのを見たときは、わわ!よしべさんの身体が反応してくれていると私自身も感じるものがありました」

▲インタビュー中、ちょうど青木が通りかかり、一緒に収録風景を振り返るふたり

青木は「ラジオを聞いてくれているリスナーさんのイメージともリンクしたんです」と、レコーディングを振り返って話してくれました。「三浦さんを囲んでみんなで輪になっているけれど、それぞれの場所で、ちゃんと “自分ひとりの星” で、聴いてくれているだろうなぁ。そんなイメージが浮かんだんです」。

▲はじめて三浦さんの歌声を聴いた時のようす

 

『わたしの星』を、心に持ち歩いてみたら

さて、インターネットラジオ『チャポンと行こう!』主題歌の『わたしの星』、聴いてくださった方は、どんな気持ちを抱かれたでしょうか。

佐藤:
「ずっと消えることがない、そしてハミングしていつでも思い出せるような、心に持ち歩けるものになってくれたらいいなと願っています。

親子やご友人と共にラジオを聴いてくださっている方も本当に多く、ご家族や友人同士で一緒に口ずさんでもらえるならさらに幸せです。

『わたしの星』というシンボリックな曲が加わったことで、ラジオにとっても良い転機の一つになるかもしれません。

このラジオが、この曲が、『わたしのために作られたものだ』と思ってくださるような方が、これからも一人でも増えてくれたら、嬉しいですね」

photo:井手勇貴

 

ミュージックビデオはこちら

 

メイキング映像はこちら

 

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【楽曲情報】
『わたしの星 feat.三浦透子』
歌:三浦透子
作詞:土門蘭
作編曲:岩崎太整
プロデューサー:岩崎太整・剣持学人
企画・製作:北欧、暮らしの道具店

 

 

 

 


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