ファッション
【あの人のバッグ】仕事道具をずらり公開。フードスタイリストさんの「もの選び」
リップに手帳、お財布、ポーチ。お出かけに欠かせないものとして選び集めてきた「バッグの中身」には、そこかしこにその人らしさが詰まっている気がします。
「あの人のバッグ」は、気になる方のバッグやポーチの中身を見せてもらう連載。
今回ご出演いただくのは、フードスタイリストの久保田 朋子（くぼた ともこ）さんです。
書籍や雑誌で料理のスタイリングを手がける久保田さん。器や食周りのアイテムをはじめ、身近で買える、デザインや機能が “ちょっといいもの” を自身のインスタグラムでもご紹介されています。
今回はそんな久保田さんの仕事バッグとポーチの中身。スタイリストさんのお仕事の裏側が垣間見えました。
ー仕事バッグの中身ー
機能、デザイン、遊び心
備えたアイテムを相棒に
左から順に
白いカトラリー入れ / 好好堂（hohodang）の「スジョお包み」
水筒 / KINTO
キッチンタオル / BIRDY.
マチ広な保冷バッグ / Lunchichi
iPad入れ / Pull Push Products.の「PE（ペ）」
ハンディアイロン / パナソニック
黒い箱 / 「馬渕」貼り箱（パピエラボ別注）
久保田さん：
「撮影現場にいつも持っていく仕事バッグの中身です。選ぶ基準は機能的であることをまず前提に、使いやすさと見た目の端正さ、両方の意味できちんとデザインがされているものを選んでいます。
カトラリー入れは1本ずつ収納でき、丸めてコンパクトに持ち歩ける仕様。現場で広げれば一覧で見やすく、便利です。
保冷バッグは小道具に使うドリンクを持ち歩くのに。帰り道には撮影したおかずや食材を入れています。マチが広く大きめの保冷剤が底に入れられること、チャック付きなので帰宅するまで冷え冷えが保てる優秀さが気に入っています。
キッチンタオルは小道具の器を拭くのに使います。使った器を都度洗いしまうので、吸水力の高いものが便利。以前はリネンでしたがすぐにびしゃびしゃになってしまい、色々試してこれに辿り着きました。2枚あればだいたいの撮影は乗り切れる、頼りになる存在です」
久保田さん：
「最近新しく加わったのが、iPadを入れているシルバーのケース。ゴミ袋などに使用されているポリエチレンフィルムを素材にしていて、頑丈なのに重さの体感は0グラム。新感覚な素材。近未来感がある見た目ながら、ひとつひとつ丁寧に作られたアイテムであるところも気に入っています。
日頃持ち歩くアイテムは、華美ではなくプレーンなものが多いです。仕事柄さまざまなテイストのスタイリングを手がけるので、どんな現場でも違和感なく存在できるニュートラルなものを無意識に選んできたのかもしれない、と今回あらためて気づきました」
「撮影に使う7つ道具」が入った箱の中身
左から順に
名刺サイズの箱（綿棒、Noritakeのライター、テープ入れ） / ハタノワタルさんの紙箱
ロールゴミ袋 / 100円ショップ
携帯アルコール / パストリーゼ
青いペン / PRAXIS（香港のブランド。「パピエラボ」にて購入）
盛付け箸 / 市原平兵衛商店
筆 / 水槽ショップで購入
ハサミ / ヘンケルス
久保田さん：
「箱の中にはスタイリングの際に必要な細々した道具を入れています。
盛付け箸は、スタイリングの仕事を始めた頃に先輩方に教えていただいた銘品。スタイリストの世界では、「引退＝盛付け箸を置くこと」というほどに大事なもの。私は自分のものとわかるよう、端に銅色のテープを貼って目印にしています。食事用より先が細く、細かい作業がしやすいつくり。使えば使うほど針のようにますます細くなっていく、スタイリングの経験値が垣間見える箸です。
ペンは現場で他の方と混同してしまわないように、個性的なデザインのものを。ふたを開けるときにポンっと音がする楽しいペンなんです。
ライターは料理の上にのせたバターをとろりとさせる時や、キャンドルに火をつける時などに使います。意外と出番の多い、常備しておくと便利なアイテムです」
久保田さん：
「愛用しているジョンソン・エンド・ジョンソンの綿棒。撮影時にお皿についた細かい汚れなどを拭くための消耗品ですが、これはレタリングが巻かれた綿棒の佇まいがプロダクトとしてもかっこよく好み。この綿棒一筋で使っています。
ハタノさんの青い箱に、青いロゴ入りの綿棒がおさまる姿は仕事で目に入るたび気持ちを上げてくれます」
久保田さん：
「道具を入れている黒い箱は、札幌にかつてあった紙の店『馬渕（まぶち）』に、紙のプロダクトショップ『パピエラボ』が別注して作った和紙の箱。
紙とは思えないほど、角がキリッとした端正な佇まいの美しい箱です。7,8年ずっと道具入れはこの箱で、今は3代目。代替わりした古いものは家で道具入れとして使っています。
初代を買った当時、この凛とした箱に見合う仕事をしなくてはと気合いを入れて使い始めた、思い入れのあるアイテムです」
久保田さん：
「仕事柄荷物が多いので、バッグはキャリーケース。LDVIN（ラドゥービン）のものは深さがあるので食器や鍋などが入れやすく、フロントオープンで倒さなくても荷物が取り出せる仕様と、フラットで無駄のない外観が唯一無二。気に入っています」
ーポーチの中身ー
持ち歩くのは最低限
ヘアセットアイテムは欠かさずに
左から順に
圧縮タオル / 100円ショップ
常備薬
ビワのどシロップ /京都念慈菴
ヘアコーム / KOST KAMM
ヘアオイルを入れたボトル / 100円ショップ
リップジェリー / フレシアン
久保田さん：
「片方なくした娘の靴下には、薬やミニタオルなどの細かいものを入れています。
メイクにはあまりこだわりがなく、メイク直しもリップを塗る程度。あまりたくさんのアイテムは持ち歩きませんが、しいていえば髪をなるべく整えるようにしています。
ヘアスタイルが整っていると清潔感があるし、装いも決まりやすいように感じるからです。
ボリュームをおさえるヘアオイルは欠かさず、出かける際も詰め替えた少量ボトルを常備。10年近く使い続けているものと、休日の気分転換に使うもの、3種類を使い分けています」
▲左から「パーフェクトポーション ヘアー&スカルプ エリクサー」、「MORE マタンエエトアル」、「unseen HAIR OIL」
バッグは最大公約数。毎日決まったものであることが大事
▲クーラーバッグには撮影で使う食材を、ハンドバッグにはお財布や名刺入れなどの小物を入れている
久保田さん：
「学生の頃はバッグもファッションの一部として楽しみ、服に合わせて日々持ち替えていましたが、今は機能の要素がとても大事で、毎日決まったバッグを持っています。
LDVINのキャリーケース、紀伊國屋のクーラーバッグ、アーツアンドサイエンスの黒いハンドバッグ。
この3点が私の普段の荷物入れで、ハンドバッグは買い替えて3代目、もう10年このバッグを使っています。
なるべく最大公約数でありたいというか、自分が持っているどんな服にでも合いそうなバッグを持ちたいと思っています」
番外編：私生活で愛用の器は？
久保田さん：
「朝は洋食が多いので、白い器やガラスが中心。忙しく洗いカゴに入れたままにしておける器がいいので、磁器やステンレスのカトラリーを使っています。
対して夜は和食がメイン。洗って拭くまで片付けができるので、陶器や漆、木のアイテムを使うようになりました。
推しは、朝食によく登場する耳付きボウル。夫（陶芸家の岩田哲宏さん）が『food for thought』で開かれた『子どもの器展』のために作ったもの。ヨーグルトにレーズンやジャムで顔を作って楽しんでいます」
理由があって行き着いた、シンプルで機能的なアイテム。それを長く使い続けることが、仕事に誠実に向き合う、お守りになること。
その中に時折垣間見えるユニークなアイテムや、頬がゆるむようなかわいい選び。
真面目さも、遊び心も、久保田さんの人柄そのものを表しているように感じました。
久保田 朋子
フードスタイリスト。雑誌や書籍で、食卓まわりのスタイリングを手がける。夫は陶芸家の岩田哲宏。Instagram：@eggstand。暮らしのちょっとしたいいものを紹介するアカウント @kubomeki も要チェック。
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