【きっかけシネマVol.11】今の自分に自信をなくしそうな時、そっと勇気をくれる映画「ショコラ」。
ライター 新田まるむ
今日の作品は『ショコラ』
助けてくれる人がいるうちは、そこに居ていいのだ。
この映画を観たら、まず、チョコレートが食べたくなります。
私はいつもこの映画に出てくる、まったりとした濃厚なショコラが飲みたくなって、観るたび板チョコを買いに走ってしまいます。
ミルクにたっぷりチョコレートを溶かし込んだホットチョコレート、そこに映画の真似をしてチリパウダーを少しまぶすと「古代マヤ族から伝わる恋の媚薬」のできあがり!
映画に思いを馳せながら、小確幸を感じるひとときです。
ハルストレム監督の温かいまなざし
温かいショコラのようにホッとするこの映画の魅力は、世界にはぐれた人々に優しいこと。
主人公のヴィアンヌがチョコレートの店を開く村は、古い因習にとらわれた排他的な世界。
現在であっても、どの世界にも人間が集まればそんな世界はできあがりがち。新しいことを拒絶して自分を守ろうとする人、人と違うことで疎外感を感じている人。そんな人々をハルストレム監督はいつも優しく見守ります。
そして新たな世界を象徴するチョコレートの力で束縛の“扉”を開けてくれる。ヴィアンヌは、“排除するのではなく受け容れる”ことで偏狭に挑みます。
見回せば、助けてくれてる人がきっといるはず
葛藤を抱え、実は一番解放が必要なのはヴィアンヌ本人。
ジョニー・デップ演じるジプシーのルーの存在が、そんな彼女の心の内を映し出します。完全にはぐれ者であるルーは、留まろうとするヴィアンヌの分身。自信に満ちているように見える彼女も、迷いや恐れを抱えているのです。
今いる場所にふと不安を感じる時、誰にでもあると思います。文字通り職場だったり、または人生の或る地点だったり。
嫌気が差したり、自分の生き方にすら自信を失ったり……そんなことって人生の中でわりと周期的に訪れるのかもしれないけれど、そんな時この映画を観ると少しだけ元気を取りもどしている自分に気がつきます。
「近くに助けてくれる人がいるうちは、また頑張ってみよう」と。
彼女の店の“扉”を修理し見守るルー。彼女が受け容れることで変化した村人たち。今度はヴィアンヌがそんな人々の力をかりて、チョコレートが拓いてきた新しい“扉”を開くことになる。
心をちょっとだけ溶かしてみれば、助け舟は向こう側から自然とやって来るのかもしれません。
チョコレートを口にするたび、凝り固まりがちな心が少し溶ける気がする、きっかけシネマです。
今日の「きっかけシネマ」情報
『ショコラ』(2000年)
【監督】
ラッセ・ハルストレム
【キャスト】
ジョニー・デップ
ジュリエット・ビノシュ
ジュディ・デンチ
アルフレッド・モリーナ
レナ・オリン
キャリー・アン・モス
【ストーリー】
フランスの小さな村にある日、流れ者の母子がやってきてチョコレートの店を開く。最初は警戒していた村人たちだが、チョコレートの魅力に次第に心を開いていき…。「ギルバートグレイプ」「サイダーハウスルール」のラッセ・ハルストレム監督が贈る、愛と癒しのファンタジー。
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