【私たちの常連店】京都「swiss coffee,plants」後編:人々が集うその理由って?
商品プランナー 加藤
ホッとできるひとときを求め、私たちクラシコムスタッフが、つい足を運んでしまう、憩いの場をお届けするシリーズ「私たちの常連店」。
第3弾は 「swiss coffee,plants(スイスコーヒープランツ)」 を訪れています。
前編は、わたし・加藤が、お店に惹かれて通い続ける理由を、お伝えしました。
後編では、お店のオーナーである和(かず)さんに伺ったお話を中心にお届けします。
観光地だけど地元の人に愛されるお店
私は、ひと息つきたい、のんびりお茶がしたいと感じたら、「swiss coffee,plants」が真っ先に思いつくほど。自分の家の近所にあって嬉しいなぁと感じる、大好きなお店です。
そんな私のような方がほかにもいるようで、京都市内の有名な観光地、銀閣寺から徒歩10分の立地にもかかわらず、地元の人がのんびり過ごす光景が、印象的なカフェなんです。
その理由がどこにあるのか知りたくて、お話をうかがいました。
知らない人同士でも、心地いい距離感がうまれる。
和さん:
「常連のお客様は、お店の近所に住んでらっしゃる方が多いようです。
あと不思議と植物をもってきてくださる方が多くて、ご近所の山好きで植物に詳しいおじいさんは『ほらこれはヘビイチゴだよ』という感じで、色々と持ってきてくださいます。
だからお店には、いただいた植物も多いんですよ。花瓶が足りなくなるほど、たくさんの草花が集まることもありました」
またある時は、「この本を読むとお店を思い出します」と、本を置いて、引っ越していった常連さんが。
『宮沢賢治「旭川。」より』という、宮沢賢治の詩とともに、馬の群れや落葉松の並木など、早朝の旭川の風景が描かれた、どこか澄んだ空気を感じる絵本です。
普段、静かに過ごす方だったようですが、「驚くほどお店の雰囲気とピントがぴたりと合っていて、店からなにかを受け取って、本をくださったんだと思うと嬉しかった」と岩崎さん。
もともとは知らないもの同士ですが、同じ空間と時間を過ごすことで、自然と心地よい距離が作られていく。そして、それがお店に流れる空気となる。
私がなんとなく感じていたswiss coffee,plantsの居心地のよさは、お店を運営するお二人はもちろん、ここを訪れる全ての人たちの関係性を通じて作り上げられたものなのかもしれません。
和さん:
「うちは小さな店だから、会話が丸聞こえなんです。
お客さまと『あれ、なんだったけ?』と話していると、別のお客さまがクルっと振り返って答えてくれたり。(笑)
知らない人同士で、会話に花が咲くなんてことも多いですよ」
今日は調子どう?と様子を見に来てくれるご近所さんや、お店で何度か会ううちに、仲良くなっている常連さんたちなど。取材中のエピソードに出てくる登場人物は、すぐ近くで暮らす人たち。
どうやら、お茶をするのに、わざわざ家から出かけて、ご近所のswiss coffee,plantsを訪れる方が多いようです。
お家でのんびりとはまた違う、人との交流を楽しみにしている方もいるかもしれませんね。
お店にならぶカップは、ひと目惚れで選んだ。
swiss coffee,plantsでコーヒーを提供するとき使われるカップや、こだわりのスイーツに欠かせない食材たち。
和さんたちは、それらを作る人たちとの交流も、お店を訪れるお客さまとのそれと同じく、とても大切にされているといいます。
こちらの手仕事の温もりあふれるカップは、長野県で作陶する女性のsulosuさんという作家さんの作品です。
和さん:
「カップとの出合いはまさに偶然でした。仕入れの途中で急に時間が空いて、たまたま入った作陶家さんのお店で見つけて。
洋平と『ここのカップが使いたい!』と完全に意見が一致して、初めて訪れたのに、その場で製作をお願いしました。
赤ちゃんを畳で寝かせて、ろくろを回している雰囲気と、いびつななかに、お母さんの温かみを感じるカップに惹かれたんです」
カップだけではなく、産地直送の食材が知り合いを通じて入手できるようになったりと、「行く先々で良いめぐり合わせに出合えた」と話す和さん。
でも、さまざまな縁を形にできたのは、どんなカフェでありたいかが、オーナーのおふたりの中に明確なイメージがあったからなのでしょう。
それは、お店のお菓子へのこだわりにも、あらわれていました。
今日の良いと、明日の良いは違う。
お菓子はすべて和さんの手づくり。季節にあわせた美味しさを提供したいから、直感で違うと思えば、つい昨日までのお菓子のつくり方も、ガラリと変えてしまうという徹底ぶりです。
和さん:
「カフェにきてくださる方は、その日やスケジュールによって気分が違うと思うんです。忙しくてソワソワしている日もあれば、そうじゃない日もある。そうした日々の気持ちに寄り添えるような場所にしたいです」
そう話す和さんからは、ふんわりとした優しい雰囲気のなかに、お店を訪れるお客さまを向いて心を砕く、しなやかながらも強い芯も感じました。
大人になってわかったカフェのありがたみ。
子どもの頃のカフェのイメージは、苦くて黒いコーヒーをお供に、なにをするでもなくゆっくり過ごす大人たち。それを見て、退屈じゃないのかな?と不思議に感じていました。
でも今では、そんな大人の気持ちが分かるような気がします。
明日はこの予定、明後日はあれをしないと。日々をこなすのに精一杯で、なにかを見失いそうになることも。
だからちょっとだけ、急いた気持ちを脇において、ぼんやりするひとときがあっていい、そうして自分のペースを取り戻そうと思うようになりました。
私にとっては、それがswiss coffee,plantsで、おいしい喫茶と供にぼんやり過ごす時間です。
清里高原から連れてきたというアボカドの木、古い電話やランタンライト。かつて和さんが暮らした場所の気配をたたえた店内に、どこか旅の非日常な気持ちも味わえているかもしれません。
私をはじめ、ご近所さんが自然と集う理由には、近くだけれど、遠いどこかにちょっとだけ気持ちを馳せることができる、ということがあるのでしょう。
そして、心地よく過ごせるように、「暮らしの一端にあるようなお店でありたい」と、日頃から心を配るお店に安心して気持ちを預けているのだと思います。
根がしっかりと張った、大きくて緑豊かな木。その下に自然と人が集まるように、swiss coffee,plantsにも、その場所を慕って集う人が多いように感じました。
日常にいながら、どこか心がほどけるひととき。その時間を、心地よい雰囲気で受け止めてくれる場所の存在は、かけがえのないものです。
「swiss coffee,plants」
アクセス:銀閣寺より徒歩10分、市バス:錦林車庫、浄土寺、法然院より徒歩4分
住所:京都市左京区浄土寺下南田町39-3
定休日:月曜日と火曜日
営業時間:10:00-18:00
もくじ
前編(11月2日)
のんびり気分を満たしてくれる場所。
後編(11月3日)
人々が集うその理由って?
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