【ショートヘアに変えたら】第1話:50歳になったら髪を切る!ショートヘアの後藤由紀子さんに会いに行きました。
編集スタッフ 二本柳
写真 平本泰淳
ショートヘアに大変身した後藤由紀子さん。どうして髪を切ったのですか?
「失恋したら髪を切る」なんて言ったら、もう古いと笑われてしまうでしょうか。
それでも女性にとって「髪を切る」ということが、一つの決断であること。何かしらの変化を望むとき、背中を押してくれるきっかけにもなること。
それは、今も昔も変わらないことのように思います。
実は当店の店長佐藤も、1年前にボブからショートカットにがらりと髪型を変えた日がありました。
(もしかするとお客様のなかには、この変化に気づいてくださった方もいるかもしれませんね)
でも佐藤が髪を切るよりもっとずっと前、雑貨店「hal」の店主・後藤由紀子さんが「50歳になったら髪を切る」と宣言していたのです。
10年以上も前から「なんて素敵な女性なんだろう」と憧れていた女性。
そんな後藤さんが髪を切るらしい。しかも50歳で。
でもどうして50歳……?佐藤の頭の片隅には、疑問がずっと残っていました。
一方後藤さんは、その数年後、実際には45歳でバッサリとショートにヘアチェンジ。長年のワンレンボブが定着していただけあって、その変化はとても印象的でした。
ボブだった時の後藤さんのお手本は、フランス女優のアヌーク・エーメ。
ショートになった後藤さんの姿は、以前にも増してキラキラと楽しそう。現在は48歳になり、ポジティブに歳を重ねている様子は、これまでの著書(『毎日続くお母さん仕事』、『毎日のことだから。7分目くらいがちょうどいい』など)を通じても伝わってきます。
佐藤は、そんな後藤さんから希望のようなものをもらっていたのでした。
「女性はいくつになっても変化を楽しめるんだ」
そう思えたこと。とてもシンプルですが、それが本当に嬉しかったそうです。
後藤さんはどうして髪を切ったんだろう?
2人のお子さんを育て上げ、子育ても一段落した現在。ひとりの女性として魅力的な存在であり続ける秘訣も知れたらいいな。
今まさに5歳の息子を育てながら、必死に毎日を過ごす佐藤が、そんな疑問を胸に抱いて、人生の一歩先をいく先輩に会いに行きました。
わたしたちのショートヘア事情。
後藤さんの話を伺う前に、2人の最近のヘアスタイル事情をちょっぴりご紹介します。
ひとことに「ショートヘア」と言っても、まったく雰囲気のちがう後藤さんと佐藤のヘアスタイル。
それぞれに、どんなこだわりがあるのでしょうか?
Hairstyle DATA
いつも “おまかせ” です。
ー どこで切りましたか?
「東京・外苑前。1ヶ月に1回のペースで行きます」
ー スタイルのこだわりは?
「完全おまかせです。いつも美容師さんに “おまかせ”。私はプロじゃないもの……」
ー 切る前と後で変化はありましたか?
「ファッションかな。若い頃からずっと変わらずにトラッド派だったのが、ショートにしてから初めて好みに変化がでてきました。これまでは縁のなかった花柄の服とか、キラキラのアクセサリーを身につけるようになったんです」
ー 周りの反応は?
「子供たちには『変だね〜!切り直してきなよ』って笑われました(笑)でも友人やお客さまからは好評です」
Hairstyle DATA
もう似合わないと思ってました。
ー どこで切りましたか?
「近所から歩いて3分くらいのところ。表参道に長年通っているような人に憧れちゃう(笑)」
ー スタイルのこだわりは?
「ずばり、絶壁でも似合うこと。昔、ショートにしてみたら大失敗で。それから私は似合わないんだと決めつけていたのですが、今の担当の美容師さんが『絶壁でも大丈夫!』と頭の骨格を測って、どう切ればいいかを考えてくれたんです。
それから『大人のメッシュはかっこいいよ』と勧められ、不規則に色が入ってます。これなら半年に1回くらいのメンテナンスで大丈夫なんですよ。子育てで頻繁には色を変えてる時間もなく、そのあたりを重視しました」
ー 切る前と後で変化はありましたか?
「心持ちですね。若い頃みたいに『こう見られたい』というのが減ってきて、前よりも自分に素直に振る舞えているような気がしているんです」
ー 周りの反応は?
「以前はイメージと中身のギャップがあったと言われることが多かったけど、最近それがなくなったかなあ」
“お母さん業” が終わったら、髪を切ろうと思っていました。
自分の髪を触りながら 「私、“おじちゃん” と間違われないかしら」と気さくに笑う。
そんなお茶目な後藤さんが私たちを出迎えてくれたのは、今年で13年目を迎える雑貨店「hal」でした。
「hal」は、長男が小学校に入学する前、2003年の2月に地元・沼津市でオープンしたお店。
まるで宝探しをするようなワクワクをくれる店内に並ぶのは、作家ものの器からアクセサリー、お洋服、ジャム、バスケットの古道具など。本棚には、大型書店で見かけないような珍しいリトルプレスも置かれています。
開店した当初は、アルバイトの方を雇わず後藤さん一人で店頭に。だから保育園に通う長女が熱をだしたときは、大家さんに頼んで「臨時休業」のメモ書きを貼ってもらったり。あるいは授業参観など長男の学校行事がある日は友人に店番をお願いしたり。
いつも子ども第一優先で試行錯誤を重ねてきました。
そんな「hal」も13年が経ち、長男も気づけば大学生。2年前から東京で一人暮らしをはじめ、後藤さんは庭師のご主人と、高校生の長女の3人で暮らしています。
はるばる新幹線でやってきた佐藤は、憧れのお店に来ることができて大満足。さっそく店内をぐるりと見渡して、真剣お買い物モードに突入です。
今でも、ショートヘアに変身したとは知らずに来店するお客さまは多いらしく、「後藤さんですよね……?」と不安げに尋ねる方もいるとか。
それほどワンレンボブのイメージが定着していた後藤さんに、どうして「50歳で髪を切る」と考えていたのかを聞いてみました。
後藤さん:
「私は28歳のときに長男を、その2年後に長女を産みました。
だから2人が成人するのは自分が50歳になった頃だな、と、そこを区切りとするプランが念頭にありました。
50歳になったら “お母さん業” もひと段落しているだろうなって。
でも結局は、45歳の時に雑誌の企画でショートヘアにしてしまいました!子供はまだ高校生でしたが、その頃にはすでに “お母さん業” ってほとんど無くなっていたんです。
『○○さんのお母さん』と呼ばれる時代が終わって、だから、もういいかなって。私の中にあったイメージみたいなものを、一旦リセットしちゃってもいいかなと」
なるほど。お子さんの成人が後藤さんにとってひとつの節目だったのですね。
「私、『ここまで』という区切りがあると頑張れるタイプなんです」
そう話す後藤さんにとっては、“お母さん業が終わる” というライフステージの変化が、ひとつのゴールでもあったようです。
さて、次回の第2話では、そんな後藤さんの「おしゃれ事情」を聞いてみることにしました。
佐藤はボブからショートに変わり、服装もよりシンプルなものを身につけるようになったそうですが、一方で後藤さんはどのように変化したのでしょう?どうぞお楽しみに。
(つづく)
もくじ
後藤由紀子(ごとう ゆきこ)
沼津の器と雑貨のお店「hal」店主。現在は庭師のご主人と、高校生の長女の3人暮らし。大学生の長男は東京で一人暮らしをしている。センスの良いファッションや、ていねいな暮らしぶりが人気を集めている。著書に『毎日続くお母さん仕事』(SBクリエイティブ)、『毎日のことだから。7分目くらいがちょうどいい』(PHP研究所)など。http://hal2003.net/
▽後藤由紀子さんの著書はこちら。
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