【我が家のイヌとネコ】第15話:10年いっしょに過ごしてわかったこと。犬と人間、家族としての距離。
編集スタッフ 田中
不定期連載でお届けしている、イヌやネコ、どうぶつと暮らす方々にお話をきくシリーズです。
ともに暮らすことによって変わった自分自身を振り返ったり、一匹ごとに違う性格の話を聞いたり、出会いや名前の由来を明かしてもらうのも面白いエピソードの一つ。
写真に癒されたり、いっしょに生活することのおもしろみを発見したり。ぜひ楽しんでご覧ください。
ロングコートチワワ × 料理家・熊崎朋子さん
今回は、料理家・熊崎朋子さんとファーちゃんの暮らしについて聞いてみました。
ロングコートチワワという犬種で、ふわふわの白くやわらかな毛と、くりくりの瞳がかわいらしいんです。熊崎さんには当社のリトルプレスにご登場いただいたり、簡単クイックブレッドのレシピを教わったりしています。
profile
名前:ファー、雌(ロングコートチワワ)
年齢:10歳
性格:自分のことを犬だと思っていなさそう。犬より人間の方が好きで、誰に対してもフレンドリー。砂浜やドッグランなどで足が汚れるのが苦手、ちょっぴり潔癖性。
ふわふわだから「ファー」?じゃないんです!
─ファーちゃんとの出会いや名前の由来を教えてください。
熊崎朋子さん:
「飼っていたチワワを病気で亡くして半年後に、ファーと出会いました。とてもつらくて、わたしは再び飼う気持はなかったのですが、夫がすぐにでも飼いたいと言っていて、意見が分かれていたんです。
ですが、近所のペットショップで、絶えず寂しそうに鳴いているファーを見つけて、連れて帰ってきてしまいました。前に飼っていた子に似ていたのも理由のひとつ。
名前は、パン教室を開催するわたしの仕事にちなんで、フランス語で『粉』という意味の『ファリーヌ』から『ファー』をとったのですが…….ふわふわだから、ファーちゃんなんですねと言われることが多くて。
いつしかわたしもそう思うようになっていました(笑)。子犬のときは、毛が少なくて心配するほどだったので、元からふわふわじゃなかったんですけどね」
旅行もいっしょ、ファーと過ごせるようにが基準になった。
─ファーちゃんと暮らし始めて、日々の変化はありますか?
熊崎朋子さん:
「休日は犬と過ごせる場所に行ったり、旅行のときもペットが泊まれて居心地のいい宿にリピートするようになりました。
普段の夫婦の会話も犬が中心になり、まさかのパパママ呼びになってしまったのは予想外でしたけど。
日に何回も『いい子だね、かわいいね』と呼びかけていると、自然とやさしい気持ちになります。自分のペースで行動するのが当たり前になっていたのですが、ファーがいることでセーブができて、行き過ぎを防いでくれますね」
来客が多いから、しつけの先生に学びました。
▲夏のキッズパン教室に参加した子どもたちと。たくさん遊んだのだとか。
─家族との関係性は?
熊崎朋子さん:
「わたしが自宅でパン作りの教室を開催するなど、来客が多いので子犬のときにしつけ教室の先生に来ていただいて、夫婦でともに学びました。おかげで、どんな人が近づいても触っても、嫌がらず吠えません。
けれど、なぜか夫には絶対許してもらえるとわかっているようで、大騒ぎして遊んだり、甘噛みをしたりしていますね。
一方、厳しくしているわたしの声色にはよく反応して、聞き分けが良いです。
最近では、トイレやお風呂にもついてきて、扉の前で待っているようになり、わたしと一緒に居ようとする行動が多くなりました」
▲静かな場所が好きで、スポーツ観戦をして騒ぐと嫌がって寝室へ引っ込んでしまうそう。
犬と人間、それぞれの役割をもって一緒に生きていると教えてくれたファー
─ファーちゃんに対する思いを教えてください。
熊崎朋子さん:
「犬の一生は人間のそれより速く過ぎ去ります。
だからこそ、パン教室で講師をしている間、別の部屋でおとなしく待っているのを見ると『一緒にいてあげられなくてごめんね』という思いがありました。
でも、しつけ教室の先生に言われたんです。『犬も待つという仕事をしているのだから、かわいそうではないんです。ありがとう、でいいんですよ』と。
それを聞いてからファーに対する思いが変わりました。10年一緒にすごしてきて、すごく分かり合える部分もあれば、話せないだけに分からないこともある。けれど、お互いの役割を果たしていて、ひとつ屋根の下に住む家族なのだと思えるようになったんです。
人間よりも過ぎ去る時間が速いからこそ、年々、日々、変化を見せてくれ、それがおもしろくもあり、切なくもあり、生き方についてファーから教わっている気がしますね」
今日は料理研究家・熊崎朋子さんに、ファーちゃんとの暮らしを聞いてみました。
どうぶつと暮らすと感じる、時の過ぎ方の違い。お互いの役割を理解して、一緒にいられるときはたっぷり遊んで…….と考え方をかえた熊崎さん、すてきです!
次回もお楽しみに。
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熊崎朋子(料理家)
横浜市でパン教室「kona salon」を主宰。今年で10周年になる。気負わず作れて、飽きない味わいを持つ、ホームメイドならではの素朴で愛らしいパン作りと、パンを楽しむ家庭料理を提案している。
▽熊崎朋子さんの著書
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