【私たちの常連店】名曲喫茶「ライオン」後編:毎日ここへやってくる。喫茶店は暮らしの一部

編集スタッフ 二本柳

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なにはともあれ、ここに来れば “素” の自分に戻れるという居場所。

そんなクラシコムスタッフもつい足を運んでしまう、憩いの場をお届けするシリーズ 「私たちの常連店」 。第2弾は名曲喫茶 「ライオン」 を訪れています。

前編はこのお店を紹介する、わたし二本柳が、ここに来るとホッとする理由をお届けしました。

後編は、創業から90年(再建後66年)という年月のなかで集まってきた常連さんの話から、「ライオン」 の魅力について考えてみました。

 


90年愛されつづける
喫茶店のストーリー


 
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話をお聞きしたのは、三代目店主の石原圭子さん。

石原さんが結婚を機に 「ライオン」 へやって来たのは、昭和35年頃のことでした。

現在は1階と2階のみで営業をしていますが、当時は地下と3階を合わせて200人ほどのお客さんを迎えるお店だったそうです。

店内はいつも満席で、開店前には常連さんが外で列をつくっていたのだとか。

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約55年ものあいだ 「ライオン」 を見守ってきた石原さん。時代の変遷とともに、どんなお客さんたちを見てきたのでしょうか?

話をうかがってみると、私が知っていた 「ライオン」 の魅力とは、また違った一面が発見できました。

 

毎日ここへやってくる。喫茶店は暮らしの一部。

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石原さん:
「昔から、うちの常連さんは自分の定席があるかたが多いんですよ。他の人が座っていたら、そこが空くのを待っているほど。

皆さん毎日同じような時間にやってきて、ここは暮らしの一部になっているみたい。

ある人は大学生の頃から通っていて、今はもう60代くらいですね。いつも原稿か何かを書かれています」

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石原さん:
「ある日ね、いつも1人で来てた常連さんが息子のような人を連れてきたことがあったんです。

彼は息子さんに何やら話を聞かせながら、一生懸命にフイルムカメラで店内を撮って。そして、それっきりお店へ来なくなってしまったんですね。

言葉は交わさなかったけど、私は 『ああ、田舎に帰ったんだな』 と思っています」

親しみをこめて、ちょっぴり寂しそうな石原さんが思い出すその常連さんにも、やはり定席がありました。

いつも前から2番目の真ん中の席に座って、必ずモーツァルトの曲をリクエストする人だったとか。だから石原さんは、心の中でひっそりと “モーツァルトおじさん” と呼んでいたそうです。

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石原さん:
「あだ名で言えば、“髭のおじいさん” というのもいてね。そうそう、彼はここの、窓際の1番後ろが定席でした。

とても優しい人で、持って来たお菓子を 『みんな食べてね』 なんて、私たちスタッフに配っちゃうの。

それから学生の常連さんは1日中ここで受験勉強をするから、お昼になると 『ちょっと外で食べてきます』 なんて声をかけて、そしてまた戻って来るんですね。

私はいつも見ているだけだけど、もうすっかり顔なじみのような気持ちでした」

 

いつの間にか増えていた、お客さんが残していくもの。

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「ライオン」 の壁には、かなりの数の肖像画が飾られています。そのすべてが音楽家を描いたもので、だから私は単純に 「さすが名曲喫茶だなあ」 と思っていただけでした。

でも実はこれら全部、お客さんが置いていった絵であることが今回の取材で判明。

石原さん:
「美術を勉強している方なのでしょうね。あるお客さんが 『作曲家の絵を描かせてください』 って、描いてもらったのがはじまりなんです。

他にも 『よく撮れたから』 とお店の写真をくれたり、撮りためた写真のアルバムを持ってくる方が多いんですよ」

kissaten_lion_DF2_0019△お客さんの描いたベートーヴェン。

kissaten_DF2_0027△お客さんの撮った 「ライオン」 の写真。

さらに2階へ上がってみると、そこには山積みの本が並んでいました。

「それもほとんど、お客さんが置いていったものですよ〜」 と石原さん。

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まるでおばあちゃんの家に 「また来るからね」 と孫が置きっぱなしにする漫画やオモチャみたい。

話を聞きながらジーンときてしまいました。

石原さん:
「孫といえば、ここは若い人たちのデートコースでもあったんですよ。

昔はこの裏に映画館が3つあってね。映画を観たあとに 『ライオン』 へやって来て、アベックは背もたれの高い窓際の2人席に並んで座るんです。

映画の余韻に浸りながらクラシック音楽を聴いて、それで帰るデート。なかなか良いでしょう?」

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いつか日常にしたい、非日常の世界。「ライオン」 はそんなお店。

 
渋谷・道玄坂の脇道にひっそりと、そして重厚な空気をまとって佇む名曲喫茶 「ライオン」 。

このお店は、とくに初めて訪れる者にとっては、老舗ならではの敷居の高さを感じる存在ではないかと思います。

ところが一度足を踏み入れると、そこにあるのは大迫力のクラシック音楽と、90年の年月がつくるあたたかい空気感。

その “非日常” の空間に、私はすっかり魅了されてしまいました。

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一方で石原さんに聞いた昔の常連さんたちは、このお店を自分の居場所のような、暮らしの一部であるような存在に変えてしまったようでした。

そういうのって、なんだか良いなあと憧れます。

たとえば家から見る景色に東京タワーが見えるというような。 “日常” のなかに “非日常” を自分でつくれたら、ちょっと面白そうではありませんか?

音楽を聴きながらコーヒーを飲む 「ライオン」 での時間。

これもまた、日常に彩りをそえてくれるものだったのかもしれません。

さて、次回はどんな常連店が登場するのでしょうか? 第3弾もどうぞおたのしみに!

(おわり)

「名曲喫茶ライオン」
アクセス: 渋谷駅より徒歩8分
住所:東京都渋谷区道玄坂2-19-13
定休日: なし(お盆休み、年末年始休みあり)
営業時間: 11:00〜22:30


前編(10月4日)
“非日常” への寄りみちで頭をからっぽに。

後編(10月5日)
90年愛されつづける、喫茶店のストーリー。


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