【インテリア特集】第1話:骨董とグリーンが彩る、料理家、こてらみやさんのインテリア

ライター 嶌陽子

古い家具と緑が調和する、築50年以上のマンションを訪ねました。

心地よい風が抜ける、静かな住まい。味わいのある、古い家具が置かれた空間には、ゆったりとした時間が流れていました。

今回のインテリア特集では、料理家、こてらみやさんのご自宅を紹介します。

旬の食材を使った保存食や、お酒に合う料理を得意とするこてらさん。ご主人と暮らす築50年以上というマンションは、骨董とDIYを絶妙に組み合わせた、大人の空間です。

そして、驚くほど豊かに生い茂ったベランダの緑が、住まいに生き生きとしたうるおいをもたらしていました。

第1話では、そんな心地よさをたっぷりと満喫できる、リビングルームとベランダをお届けします。

 ※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです。


第1話
リビングルーム&ベランダ


 

使い込むほどに味わいが増す、アンティーク家具の魅力。

こてらさんと、ご主人の畑山信也(はたやま・のぶや)さんが暮らすのは、都心に建つ味わい深いビンテージマンション。

ダークブラウンを基調とした空間に、アンティークの家具がよく馴染んでいます。

本を入れているキャビネットは、イギリスのアンティーク。

実は、こてらさんのご実家は京都で骨董店を営んでいるそうです。

こてらさん:
「そのせいか、昔から古いものには抵抗がなかったし、今も自然と惹かれます。時間の経過とともに味わいが増してくるのが魅力ですね。

この古いマンションに新品の家具が馴染まないこともあり、家具のほとんどはアンティークです。中には、実家から譲り受けたものもあるんですよ」

この赤いサイドテーブルもそのひとつ。中国の古いものだそうです。玄関に近い位置にあり、腕時計や鍵類など、出かけるときに必要なもの飾るように置いています。

▲サイドテーブルの下にあるかごの中には、読みかけの本や雑誌を入れている。

一輪挿しがかかっている大きな丸いアフリカの古民具も存在感たっぷり。

 こてらさん:
「おそらく、アフリカの古い洗濯板、もしくは芋や木の実を洗う道具だと思います。用途を考えあぐねていたんですが、ふと思いついて一輪挿しのベースにしたら、花がより映えるようになりました」

アンティークが多いものの、決して部屋の雰囲気が重たくならないのは、「なるべくシンプルな形のものを選んでいるからかも」と、こてらさんは言います。

国籍はバラバラですが、不思議と違和感なくまとまるのが、アンティークの良さのひとつ。こてらさんの部屋を見ていて、そう感じました。

 

どこかほっとする雰囲気の秘訣は、随所にある遊び心。

アンティーク家具が並んだ部屋の雰囲気を適度に軽やかにしてくれているのが、バランスよくかざられたグリーンの数々。

窓辺に置くだけでなく、窓の上部に取り付けたバーから吊るし、高低差をつけてリズミカルに配置しています。その様子がとても楽しげです。

部屋のあちこちで見られる帽子も、全体の雰囲気を和らげているアイテムのひとつ。

▲玄関を入ってすぐの壁にも、帽子が並んでかけられていて、目を引く。

夫の信也さんは大の帽子好き。「収納場所がないので、こうして家のあちこちにかけているんです」と笑いますが、それがインテリアの軽快なアクセントにもなっています。

使い込まれた趣のある家具をベースに、随所に見られる遊び心。品があると同時に、ほっとくつろげる雰囲気が印象的でした。

 

緑が生い茂るベランダは、第2のリビング。

こてらさん夫妻が「第2のリビング」と呼ぶのが、約60平米もあるという広々としたベランダ。

15年ほど前にこのマンションに引っ越してきて以来、少しずつ植物を増やしてきました。今では、250品種、300鉢の植物が元気に育っています。手入れは、信也さんの担当です。

信也さん:
「夏は毎朝4時頃に起きて、3時間ほどかけて世話をしています。水やりだけでも1時間かかりますよ」

丹精こめて世話をしている植物は、生き生きと生い茂っています。果樹だけでもいちじくやびわ、ぶどうなど、20種類以上あるそう。

もちろん、野菜やハーブも豊富です。お邪魔したときは、ちょうどプチトマトが実をつけていました。

▲とれたてのトマトは、皮に張りがあり、ほどよく酸味がきいていて美味!

こてらさん:
「週に一度は、ベランダで食事していますね。夏でも、夕方になって日差しがなくなると、かなり涼しくなるんです。

風もよく通って、すごく気持ちいいですよ。部屋に戻りたくなくなるぐらい」

▲ベランダの中央には食事するコーナーが。テーブルの真ん中にあるのは、大きなスモーカー兼グリル。

年代物の家具が放つ、やさしい光沢。生気あふれる、たくさんの植物。それらが合わさって、こてらさん宅独特の魅力を作り上げています。

そこに通底しているのは、夫婦ともにモノや植物を大事にしながら、日々の生活を丁寧に楽しんでいること。

そんな暮らしぶりが自然と伝わってくる空間でした。

次回は、真似したくなるアイデアがいっぱいの、創意工夫にあふれたキッチンをお届けします。

どうぞお楽しみに。

(つづく)

【写真】キッチン・ミノル

 


もくじ

 

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こてらみや

料理家。日々の楽しみは自宅のベランダで収穫した果物や野菜でびん詰めを仕込むこととDIY。裁縫も得意でエプロンやトートバックも手作りする。京都の実家が骨董店ということもあって、うつわや家具も古いものが好き。

▽こてらさんの著書はこちら!


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