【にほんのお菓子】第2話:乙女心を呼びおこすパステルカラー。香川生まれの郷土菓子
編集スタッフ 寿山
「いつかまた食べたい」と、思うお菓子はありますか?
わたし寿山は、日本中にもう1度食べたい、いつか食べたいお菓子がありすぎて、国内旅行に出かけるときは必ず何軒かの菓子店をハシゴするのが習慣です。
そんなお菓子好きの私が、忘れられない全国の名菓を不定期でお届けする連載「にほんのお菓子」。
今回ご紹介するのは、香川県の郷土菓子。現地を旅したときのエピソードも併せてお伝えします。
ふる里に帰ったような気持ちになる、人情あふれる海の街。
はじめて香川県を訪れたのは、大学生の頃です。瀬戸内海にある直島にできたばかりの美術館や高松市内にも行きたい場所があって。短い滞在期間であっちこっち移動したバタバタの旅でしたが、現地の人と接するなかで、また来たい場所だなあと強く感じました。
それから社会人になって就いた編集の仕事でも訪れる機会があり、おもに高松市内の店舗や漁港、農家さんを取材しました。
行く先々で会う人、会う人、あたたかくて包容力があり、久しぶりの親戚にでも会うような気持ちになったのを覚えています。
▲甘味処で食べた「あん餅雑煮」という郷土料理は、白味噌の汁に甘い餅という組み合わせが印象的でした
なかでも忘れられないのが、とあるギャラリーショップを訪れたときの出来事。
仕事を終えて、買い物がてら店内を見て回っていたら、店主の方が「うん、あなたにはこれがいいわ!」と、香川県に古くから伝わる保多織のベッドシーツをすすめてくれたのです。
自分では選ばなそうな、うすい桃色のシーツを見ながら「私はこの人にこういう印象を持たれてるんだ」と、不思議に思っていると、さらに店主に「これあなたにあげるわ」と言われ、突然のことに「えっ⁉︎もらえません‼︎」と全力で断わりました。
そのままレジで会計を済ませると、手提げ袋には桃色のシーツも入っていて。「ああ、これはもう置いては帰れない」と、お礼を20回くらい言って持ち帰ったのです。
結局そのシーツはわが家の定番品となり、洗い替え用も買い足して毎日愛用しています。私の母も、義理の母も、そして娘も。
いくつになっても、パステルカラーに弱いのです
前置きが長くなりましたが、そんな香川県で必ず買って帰るのが郷土菓子「おいり」(税込488円)。
ふだんは白やグレー、ネイビーなど、色味が少ない服装が多いのですが、このパステルカラーのお菓子を見ると、眠りかけた乙女心を呼び起こされてしまいます。
おいりは、古くは女性が嫁入りするときに嫁ぎ先に持っていく手土産のお菓子だったそう。今も結婚披露宴の引き菓子として地元で愛される、めでたいお菓子です。
私がおいりを知ったのは、前の職場に香川県出身の先輩がいて、帰省時にお土産として買ってきてくれことがきっかけ。
その先輩と背中合わせで夜更けまで働きながら、お腹が空いたときに、袋いっぱいのおいりを口いっぱいにほうばる。そんなお行儀の悪い夜の習慣も、いい思い出です。
一瞬で溶けてしまうので、どれだけ食べてもお腹はふくれないのですが、パステルカラーの粒々たちを見ていると、なんだか心が満たされるのでした。
【遊々椿】
香川県観音寺市茂西町2-3-4 営業/9:00~18:00 TEL/0875-25-2731
http://www.youyou-tsubaki.com/
香川に行くなら、あれも、これも
和田邦坊がデザインしたパッケージの
ぶどう餅とカステラ
新聞記者やマンガ家として東京で活躍していた和田邦坊(わだ くにぼう)が、故郷・香川県に戻ってデザインした、おおらかで愛嬌たっぷりのパッケージのお菓子たち(写真右のカステラは税込1200円)。ぶどう餅(税込450円、写真左)は、そのむかし武士の武運と無事を祈るために作られた郷土菓子で、こし餡を薄皮で包み串にさしたもの。もっちりとした食感で、舌の上でほろりと餡が溶ける。
【巴堂】
香川県東かがわ市三本松1152-7 営業/8:30~18:30 TEL/0879-25-3115
http://tomoedo.com/
和三盆iroiro
香川県でつくられる最高級の砂糖「三盆糖」から作った干菓子は、口どけなめらかで、独特のうまみは癖になるおいしさ。こちらは洋菓子店の店主が、三盆糖の魅力を多くの人に知ってもらいたいと、どんな世代でも食べやすいよう加賀棒茶や桑茶、コーヒー、フランボワーズなど、さまざまに味をアレンジした詰め合わせ(税込1,566円〜)。
【Rue de la Pomme(リュドラポム)】
香川県高松市屋島西町1138-67 営業/ご来店の際は、必ずお電話でご予約ください。 TEL/087-813-6762
http://r-pomme.com/
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