【35歳ヨーロッパひとり旅】第8話:終着駅まで行ってみよう!「旅でついた自信」が巻き起こした、ラストの大冒険のゆくえ
編集スタッフ 田中
旅のラストは大冒険?! 高速列車で郊外の街へ繰り出した1日。
はじめてヨーロッパを旅した、わたし・田中のひとり旅をイラストと共にお届けしている不定期連載です。
ついにこの旅もフィナーレを迎えるときが近づいてきました。明日のお昼の便で日本に帰るという日に向かったのは、コペンハーゲンの中心部にあるセントラル駅。郊外にあるルイジアナ美術館へ出かけました。
高速列車に乗り込み、約40分の電車旅。ふかふかのシートに腰をおろし風景を眺めていると、急に昨夜のTさんの話を思い出しました。
Tさん:ルイジアナ美術館にいくなら、同じ沿線の終着駅にある「クロンボー城」も見れたらいいわね。要塞のような城で、都心の「ローゼンボー城」と全然違う雰囲気でおもしろいわよ。
すぐに調べてみると、そのお城に行って戻ってきてからでも、美術館には行けそうです。当初降りる予定の駅で腰も浮きかけましたが、思い直して再び腰をおろしました。
こんな遠くまでやってきて、何を遠慮しているんだろうと思ったんです。あともう25分長く乗っていたからといって、帰れなくなるわけでもないのに。
予定通りに進むのが心地よく、ハプニングを好まなかった自分に、ひとり旅のおかげか冒険心が芽生えていたんです。
そんなこんなで着いた終点のヘルシンオア駅では、降りたらすぐにクロンボー城が目の前にみえてワクワクしてきました!
「よし、よし、大丈夫(何にも下調べしてないけど)。お城はすぐそこ、迷いようがないじゃない、きっと大丈夫」と言い聞かせつつ向かいます。
ただ、大きな建築特有なのか、そこに見えているのに、歩いても歩いてもなかなか着きません……。都市と違って人もまばら、オフシーズンなこともあり、異国人はわたし一人! 薄曇りのヨーロッパの空もあいまって、だんだん心細くなってきたところで、ようやくお城に着きました。
ホッとしたのも束の間、なんとお城のなかに観光客がほとんどいません。
これ、どういう状況かと言いますと、「王の広間」などと名付けられた、100メートル走できるくらいだだっ広くて、暗くて、何百年と歴史の重みのあるところに、ぽつん…….と一人になるわけです。
ちょ、ちょ、超こわい…….!
歴女のわたしにはかなり好みの場所。シェイクスピアの有名な「ハムレット」の舞台でもあるお城なので、もっとじっくり見たかったのですが本当に怖くて! かなり見応えある広さだったのにもかかわらず一時間ほどで(途中小走りして)まわってしまいました。出口付近で、お城を補修中の工事のおじさんに会ったとき、どれほど安心したことか(笑)。
城をあとにし、駅に戻ったわたしの目に、もう一つ安心するものが見えました。セブンイレブンがあったのです。吸い寄せられるようにお店に入り、コーヒーを買い、もう一度電車に乗り込みました。
朝食のカフェで食べきれなかったビスケットを取り出して、再び車窓を見つつ、お茶タイムとしました。
あたたかい車内でコーヒーを啜っていると、すごくホッとして、正直この日いちばん癒されたひと時だった気がします。一人で「大丈夫!」とか「怖いよ〜」とか一喜一憂しながら歩いていた、ついさっきのお城での出来事が、夢のようでした。
この後、ルイジアナ美術館にもちゃっかり寄り、美味しいランチを堪能、たくさんある展示も満喫してきました。そして、無事に日本に着いたわたしは、あっさりと日常生活に戻ったのです。
けれど、心の中にはあの8日間のワクワクもまだ残っているし、この目でみた景色は忘れられないシーンばかり。TさんとNさんとは、約一年たった今も連絡を取り合っています。
旅が終わって思ったのは、「わたしにもできること、まだまだあるのかも」ということ。30代半ばをすぎて、何かをスタートするには遅いのではと思いがちでした。よく年齢は関係ないと言いますが、実際に経験してやっと腑に落ちた気がします。
刺激のすくない、何気ない日常も好きですが、ときどき訪れる非日常も好き。このバランスがうまくとれたら、辛いときも切り抜けられるかもしれない。そんな勇気すら湧いた旅でした。
ここまで、ゆるりと続けてきた35歳ヨーロッパひとり旅は、これにて完結です。お付き合いいただきましてありがとうございました。
▼前話はこちらから
第7話「デンマークのヒュッゲな時間に酔いしれた夜」
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