【使いきる、冷蔵庫収納】第1話:買い物リストどう作ってる? 食材管理のコツ
冷蔵庫や野菜室で保存した食材を使い切る食材管理のコツをご紹介します。買い物にいくときのリストづくりと、その後の下ごしらえに工夫がありました!冷蔵庫が整理できないときの解決策を、精進料理研究家の麻生怜菜さんに聞きました。
編集スタッフ 田中
なかなか「冷蔵庫の食材」を使いきれない…
冷蔵庫の悩みって尽きないものです。使いかけの生野菜や調味料、冷凍庫の奥に転がる食材たち……。私・田中の悩みはとにかく「使いきれない」こと。
ほぼ毎日料理をするのに、どうしてだろう? 本当は、ちょうどいい量を持ちつつ食材をきちんと使い切りたい。
今回は、精進料理研究家・麻生怜菜(あそう れいな)さんを訪ねました。夫の実家がお寺だったことから精進料理を学び、今では料理教室を開いたり、雑誌にレシピ提供したり、大学で講師をしたり。プライベートでは5歳と1歳のお子さんのママでもあります。
精進料理といえば、野菜や豆、穀物が中心ですが、麻生さんは現代の家庭に合わせたレシピを提案し、シンプルな食材と調味料で作れる「ゆる精進料理」を伝えています。プライベートでは肉や魚も使うそう。
取材当日の冷蔵庫は、すっきりと整理整頓されていました。けれど「私も今ある食材の量を覚えきれないタイプだったので、買い物から見直しました」と語る麻生さん。まず第1話では、その入り口となる食材の買い出しのコツをご紹介します。
冷蔵庫の食材管理、ズボラでもできるコツ
麻生さん:
「冷蔵庫の食材を余らせないため、食材の買い出しにはリストは持っていきます。ただ、私の場合は出かける前にリストを作るのではなく、食材を切らしたときに作るんです。
例えば、バナナを食べきったら近くに置いてあるラベルシールにメモします。これを繰り返し、買い出しの日にノートにペタペタと貼りかえるんです」
麻生さん:
「よく冷蔵庫内で野菜をダメにしてしまったり、使いきれないまま調味料が残ったりしました。そこでなくなったことを覚えているうちにと、メモするようになったんです。
スーパーに行く前に冷蔵庫をのぞいても無くなったことに気づかない……ということが減り、買い忘れることがありません」
「買い物」と「下ごしらえ」はセット、使いきる工夫
麻生さん宅の冷蔵庫には、購入したパッケージのままのお肉や魚などが見当たりませんでした。不思議に思って聞くと、こんな回答が返ってきました。
麻生さん:
「冷蔵庫の食材をダメにした原因は『今日は時間がないから、野菜を下茹でするのはやめよう』と後回しにして、買ったまま放置したからでした。でも下ごしらえまでしておけば、使いきれるんです。
現在、平日は子供2人を保育園に送り出し、昼間は料理教室やレシピ研究などの仕事があるので、買い物と下ごしらえは日曜にまとめています。
そこで、買い物を1時間とし、下ごしらえに2時間をとるように。野菜は下茹でしたり、お浸しにしたり。お肉や魚はメインのおかずとして完成させておくと、お弁当にも夕飯にもすぐ出せます」
そう言って見せてくれたのは、イカに米粉をつけたもの(左)と、鶏の唐揚げ(右)。左側のイカは、あとは揚げるだけ、唐揚げは温めるだけで食卓に出せます。
料理経験ゼロに近かった、OL時代
ここまで冷蔵庫内がきれいで、きちんと使いきる効率のいい話を聞いていると、自分には無理かも……と尻込みしてしまいます。もともと料理が好きだったから、できるのでは?
麻生さん:
「じつは私、結婚するまで料理経験がほとんどなかったんです。仕事が大好きで、一心に打ち込んでいたのでコンビニ食で済ませることもしばしば。
だから、夫との結婚が決まったとき『これではダメだ』と、まず料理教室に通いました。結婚当初は同じ食材を2個購入していたり、野菜を使いきれないまま処分したり。そもそも作った料理がおいしくなくて、がっかりしたことも」
危機感と焦り、そしてもう一つ麻生さんを料理に向かわせた理由がありました。それは夫の実家がお寺だったこと。
麻生さん:
「実家でお手伝いをする機会があり、そこで精進料理に出会ったんです。お寺にご縁のある方が集まって、作り方を教えてくれました。
『少ない材料でも、素材を最大限にいかしつつ、こんなにヘルシーな調理法があるんだ!』と、目からウロコが落ちる思いでした。
調味料も少なく、さしすせそ(砂糖、塩、酢、醤油、味噌)くらいで、十分に深い味が出ます。コンビニでこれとこれなら何キロカロリーだと計算していた自分に、さよならするきっかけになりました」
冷蔵庫整理は、買い物前にもう始まっていた
▲アットファーストの買い物バッグ。荷物が多い時は中の保冷バッグを外し、収納力を2倍にすることもできるそう。
食材を使い切ったそのときに、すでに冷蔵庫の整理整頓がはじまっているとは! けれど、お話のメモをとりながら、ふとあることを思い出しました。
それは、スーパーにいるときに「今日何を作ろうかな?」と献立を考えて買ってしまい、余分な食材が多くなっていたこと。麻生さんに似たようなことはないのか聞いてみました。
麻生さん:
「買い物のときには、献立のことはあまり気にしないです。精進料理ってシンプルなので、煮る、焼く、蒸す、くらいの基本的な調理法と、さしすせその調味料の組み合わせがあれば、ちゃんとおかずになります。
魚だったら、塩焼き、幽庵焼き、竜田揚げ。肉だったらハンバーグ、唐揚げ……。あとは、野菜の副菜ならきんぴらや白和え、お浸し、胡麻和えなど」
麻生さん:
「だから、魚や野菜は旬のものや、スーパーでセールになっているものを選びます。お肉は、鶏のむね肉やもも肉、豚小間、豚バラなどを定番にしています。
自分の性格や料理経験の少なさから、凝った調理方法はむずかしい。だから精進料理は私に合っているなと思います」
何を作るか決まっていなくても、シンプルに調理すればおかずになるから大丈夫。このことに気づかせてもらって、まずは今冷蔵庫にあるものをきちんといただくことから始めないと、という気持ちが湧いてきました。
次の第2話では、冷蔵庫で大活躍の整理収納グッズをご紹介します。
(つづく)
【写真】鍵岡龍門
もくじ
麻生怜菜(あそう れいな)
日本食文化史・精進料理研究家。旅好きの両親の影響もあり、地域食材や郷土料理を食べるのが幼い頃から好き。大学時代に出会った夫と結婚、実家がお寺だったことから行事食に関わり、伝統的な和食、とくに精進料理に興味をもつ。現代のトレンドと融合した食文化を発信する場として、「あそれい精進料理教室」を主宰。「一般社団法人全国料理教室協会」代表理事。また現在は日本大学 生物資源科学部非常勤講師も務める。HP→http://shojinryori.jp/index.php instagram→@reinaasou
著書「おからパウダーでスッキリ腸活レシピ(2019,主婦の友社)、「寺嫁ごはん 心と体がホッとする“ゆる精進料理”」(2014,幻冬舎) 、「和食deワンプレートごはん」(2016,タツミムック、共著)
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