【雑貨のはなしをしよう】語りたくなる魅力がある。〈KURASHI&Trips PUBLISHING〉のフラワーベース

渡辺平日

コーヒーサーバー、アートフレーム、ソファ……。広い部屋に引っ越したら揃えたいものがたくさんあります。花瓶もそのうちのひとつ。いくつあってもいいものですが、さすがに置く場所がなくなってきたので、しばらくは我慢するつもりでした。

▲北欧、暮らしの道具店のオリジナルブランド〈KURASHI&Trips PUBLISHING〉。「暮らしのなかのひとさじの非日常。」をコンセプトに、服やバッグ、食器など100種類以上のアイテムを展開しています。個人的なイチオシはこのコースター

ところが最近、どうしても我慢できずに花瓶を買ってしまいまして……。それがこのKURASHI&Trips PUBLISHINGのフラワーベース。今年の2月に発売された新作で、当時からずっと気になっていました。

特にいいなと感じたのがカラーリング。僕は「ブルーグレー」が好きで、服もその系統色をよく買います。ただ、雑貨やインテリアだとブルーグレーってあんまりないんですよね。だからこのアイテムを見つけたときは思わずときめきました。

▲明るい場所では青色に、暗い場所では灰色に見えます。日の動きにあわせて色合いも変わっていき、ずっと眺めていても飽きません。

ハンドルがあるのもいい。いや、取っ手付きの花瓶自体は珍しくないのですが。カントリーや和モダンテイストのものが多く、シンプルなものは意外なほど見つからないんですよね。うーん、いい。

……出会いから約4ヶ月。「家にいる時間も増えてお花を飾る機会も多くなったから」と自分を説得し、満を持してフラワーベースを注文しました(なにかと理由をつけて物を買うのが雑貨好きの習性です)。

 

「シンプルさ」に込められた「こだわり」

▲家具やインテリアを白色でまとめるのがコーディネートのセオリー。しかし、バランスを取るのが難しく、殺風景になってしまうことも。そんなときは深めの青を差し込むと良いアクセントになりますよ。

しばらくしてフラワーベースが家に到着。ドキドキしながら箱から出します。うん、素敵な色だ。事前にじっくりと写真を確認したので、色合いに関してはギャップはありませんでした。

「おっ」となったのはガラスの厚さ。想像よりも丈夫な作りでお手入れしやすそうです。もっと薄くしたら割れやすくなるし、逆に厚くしたら野暮ったくなるので、これは絶妙なところだと思います。

絶妙といえば、部分的に入ったストライプもおもしろいですね。これが全体にあるとうるさいし、ないとそれはそれで寂しい。実にほどよいバランスではないでしょうか(ちなみにこのラインは滑り止めとしても機能します)。

ハンドルも握りやすくてグッド。僕はかなり不器用なので、洗うときにヒヤヒヤしなくてすむのはありがたいです。

使っていくうちにハンドルの「視覚的な効果」にも気付きました。

たとえば飾る本数が少ないとき。ふつうの花瓶では物足りない印象になりがちですが、このアイテムは持ち手があるおかげでバランスよく見えます。注ぎ口にも要注目。ここがホルダーのような役割を果たし、繊細なお花を上手に支えてくれます。

一輪挿しはけっこう難しいのですが、この花瓶を使いはじめてからは悩むことが減りました。「お店だと素敵に見えるのに、家で飾るとなんだかしっくりこないんだよね」と困っている方にぜひ試してほしいですね。

▲口が広いのもポイント。僕は手が大きいので、洗いやすくて助かってます。「空気の循環が促進されて植物が長持ちする」というメリットも。

 

小さな雑貨たちが僕を変えていく

▲デザインやコンセプト、サイズ、カラーリング。それらすべてからこだわりを感じました。なんというか、ついつい語りたくなるような魅力があります。

この花瓶を使いはじめて1ヶ月が経ちました。やっぱり、ブルーの補色であるイエローとの相性は抜群ですね。今年は間に合わなかったけど来年はミモザを飾りたいなあ。

オレンジやピンクとも馴染むので、これまで選んでこなかった赤色系統のお花も買うようになりました。ちかごろは代り映えしない日々を送っていたから、こういうささやかな発見がなんともうれしいです。

「たまには明るい色の服も買ってみるかな……」。色とりどりのお花たちを眺めながら、そんなことを考えている今日このごろです。

 

雑貨のはなしを続けよう

「もっと雑貨選びを気軽に楽しめるように」

そんな想いからはじまった『雑貨のはなしをしよう』。今回で無事に最終回を迎えられました。ご愛読いただき本当にありがとうございます。

この連載では、北欧、暮らしの道具店の取り扱い商品のなかで、実際に愛用しているもののみを取り上げてきました。前回ですべてを紹介しきったので、そこで語りを終えるつもりだったんですね。

ところが。今回、買ったばかりの花瓶を紹介してみて、「信頼しているものを語るのはおもしろいけど、これから仲良くなっていくものを語るのもおもしろい」と気付きました。

切り口は変わるけど、まだまだお話を続けられそうです。すこしずつ準備をしていますので、ゆっくりとお待ちください。さてさて。次はどんな雑貨のはなしをしましょうか……。

 

本日登場したアイテム

【イラスト】イチハラ マコ
【写真】クラシコム

 


渡辺平日

日用品愛好家。海の見える小さな町で生まれ育ちました。毎日が平日のつもりで、日夜せっせと文章を書いています。趣味は町歩きと物件探しと民話収集。そういう話題が耳に入ると、反応して振り返ります。主な寄稿先は『LaLa Begin』『和樂web』『goodroom journal』など。Twitterアカウントは@wtnbhijt

 


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