【都心の家】第1話:住まい選び。20年、30年後まで考えることって本当に必要?

ライター 大野麻里

東京・神楽坂。自然素材の生活雑貨を扱う「jokogumo」店主の小池梨江(こいけりえ)さんが、この地に店を開いたのは12年前のこと。6年前、店から数駅離れた街に住まいを移し、現在はこの周辺を拠点に生活をしています。

広い東京のなかでも、新宿区という都会の中心。その便利さと引き換えに、多少の我慢や妥協は仕方ないのかも……。そう考えてしまいがちな都会暮らしですが、視点を変えれば生活はもっと快適になるかもしれません。

まさにその “ちょっと違う視点” をもつ小池さん。暮らしのヒントを探りに、自宅を訪ねました。全3話でお届けします。

 

1LDKで3人暮らし。あえて子ども部屋を設けなかった理由は…

小池さん:
「引越しを決めたのは、長男を妊娠中のときです。それまでは板橋区に住んでいて通勤に1時間弱かけていたので、夫婦共に職場に近い場所に住みたいという希望がありました。

保育園の送り迎えや、急に子どもに何かあったとき、突然の災害などを考えると、家族全員がパッと集まれる環境にしておきたくて。全部がこの周辺で完結すれば、ストレスが軽減するかなとも思いました」

小池さん:
「探した家の条件は部屋が明るい2面採光。駅から近く、大きな道路に面していない静かな建物。その条件と予算で検索すると、全然ヒットしないんですよ(笑)。

あれこれ探して、ようやく見つけたのがここでした。広さは約60平米。築30年経つ古いマンションですが、リノベーションをする前提で購入することにしました」

▲「部屋から見えないところに洗濯物を干せるベランダ」も条件のひとつだったそう。この日も隠れた場所に洗濯物が。

もともと2LDKだった間取りは、壁をとって1LDKに変更。約25畳のリビングダイニングキッチン+寝室という間取りです。子ども部屋の計画はなかったのでしょうか?

小池さん:
「東日本大震災をきっかけに、10年後、自分がどこに住んでいるかわからないなぁと考えるようになりました。わからない “いつか” のために余分にもっておくよりも、 “いまの状態” をいちばん心地よくしようと思って」

小池さん:
「限られた予算や広さなら、まだ必要のない子どもの個室を確保するよりは、リビングやダイニングがゆったり心地いい方が快適に過ごせると思ったんです。

いまはまだ子どもが小さいですが、もう少し成長して子ども部屋が必要になったら、そのとき壁をつくればいいと思っています。

いずれ、手狭になって住み替える日も来るかもしれません。私も夫も地方出身で、ずっと東京にいるかもわからないし。自分たちの生活にフィットしなくなったら、いまの家は手放せばいい。できるだけ家というものに執着しないでいようと決めました。

もしかしたらこの家にずっと住む可能性もあります。でも『ずっと住もう』という気持ちで住んではいないんです」

 

夏と冬で模様替え。どんな季節も心地よく過ごせる部屋に

その考え方は、家具やもの選びにも見てとれます。どれもコンパクトな空間に圧迫感を与えず、それぞれが絶妙なバランスで配置されているのです。

小池さん:
「家具はあちこち配置してみて、模様替えも何度かしました。いまでもソファとテーブルの位置は、季節でチェンジさせています。冬は南側が暖かいので、くつろぐスペースを南側に持ってきたり」

小池さん:
「夏はその逆で、南側にダイニングを配置して、くつろぐスペースはなるべく涼しく。部屋が変わるのが楽しいようで、子どもも模様替えを楽しみにしているんですよ。

家具は引っ越しや模様替えができるように、あまり重厚すぎないものに。あとは手放すときに誰かが必要としてくれるもの。時間が経っても劣化せず、長く使えるものを選んでいます」

▲南側の窓辺に設けたベンチスペース。親戚や親しい友人が来たときにはカーテンで仕切って、ベッドとして使える。

▲玄関の床は石の洗い出し。マンションでも施工できる商品を見つけて施工。

視点を変えることで、都心の限られた条件でも快適な暮らしを実現している小池さん。

「jokogumo」でも扱っているカゴ類のほか、インドの布やアフリカのオブジェ、中東のラグ、ラオスの椅子など……。多国籍のものが喧嘩することなく、調和しているインテリアが印象的でした。

つづく第2話では、そんな小池さんの発想から生まれた、“引越しすることになっても持ち運べるキッチン” をご紹介します。

(つづく)

【写真】ニシウラエイコ

 

もくじ

 

小池梨江

香川県出身。環境問題に興味をもったことをきっかけに、生活雑貨店「jokogumo(よこぐも)」を東京・神楽坂ではじめる。店には “長く使い続けられて、心地よく使えて、環境の負担にならないもの” という視点で、全国各地をたずねて仕入れた生活雑貨が並ぶ。2020年9月10日に移転オープン。店のサイト内「よこぐも手帖」では、日々の出来事や気持ちを綴っている。https://www.jokogumo.jp


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