【写真とわたし】よしいちひろさんエッセイ「もっと愛を伝えればよかった」

編集スタッフ 松田

まだフィルムカメラの時代に、実家の押入れには家族のアルバムや、あふれんばかりの写真の束を収めている一角がありました。

祖父母が若い頃のモノクロの写真、母の学生時代の写真、自分が赤ちゃんだったときの写真まで、家族のこれまでが一緒くたになったその一角が好きで、暇があればそこにすわり写真を眺めていた記憶があります。

時代は変わって、データのやりとりは便利になり、リアルタイムで写真を公開する場所もでき、昔にくらべると写真をプリントする機会は少なくなったように感じます。

実家から離れて暮らす今、一枚一枚ゆっくりと紙の写真を眺めていたあの頃の時間を思うと、少し切なく恋しくなります。

このお取り組みでは、全4回にわたるリレーエッセイで、「写真をプリントすることの魅力」について、キヤノン インクジェットプリンター PIXUS TS8430と一緒に考えます。スマートフォンで写真を撮るのがふつうになった今だからこそ、改めて気づく発見があるかもしれません。

(この記事は、クライアント企業さまのご依頼で制作する「BRAND NOTE」という記事広告コンテンツです)

 

子育てで変化した、写真に対する想い

写真をプリントする魅力ってなんだろう。私たちが最初に伺ったのは、イラストレーターのよしいちひろさんです。

「実はこれまで日常の写真はデータで保存していればいいやと思っていたんです。仕事と子育てに追われて時間もないこともあり、アルバムも作っていなくて。でも息子が6歳になった今、考えが変わる出来事があって……」とよしいさん。

今回のお取り組みをお伝えしたところ、キヤノン PIXUS TS8430で写真をプリントして、アルバムをつくってみたいとおっしゃってくださいました。

その体験を通して感じた写真プリントの魅力について、エッセイを綴っていただきました。

 


「写真が再構築する、幸せな記憶」


もっと愛を伝えればよかった。

外出がままならなかった春のある休日、なんとなく選んだネットフリックスの赤ちゃんにまつわるドキュメンタリー番組を観て、私は後悔の気持ちが止まらなくなって、たくさん泣いた。

もともと出産前から「優しいお母さん」に自分がなることに抵抗があった。さらに元来天邪鬼、自分を曲げたくない性格も手伝って、妊娠期もお腹に話しかけることはなかったし(心の中ではこっそり話しかけたりもした)、生まれてからは、圧し掛かる責任感でいっぱいで、とにかくこの小さな生き物を生かし丈夫に育てるという使命感だけで子育てをしていた。

赤ちゃんだった息子は幼児になり、少年期に入ったーー。
赤ちゃんの頃とはまた違った子育ての難しさを感じていたあの日、前述の番組で「無表情実験」(一定時間目の前の母親が無表情になり、それに対する赤ちゃんの反応を見る実験。赤ちゃんは母親との関係を取り戻そうと努力して笑いかけたり泣き出したりする)の様子を見て、私も息子をこんな気持ちにさせていたのではないかと、たまらない気持ちになった。

しかし、過去をやり直せるわけはなく、これから少しずつ愛を伝えていくしかないのだ、少しずつ取り戻していくのだ……と思っていた矢先のこと。今回の「家族の写真をプリントしてみませんか?」という話を、『北欧、暮らしの道具店』スタッフの方から持ち掛けていただいたのだった。

家族写真はプリントせず、Googleフォトに順次データ保存しているのみだった。

それらの写真はプリントしなくていいと思ってた。思い出として心にそっと仕舞っておけばいいと思っていた。

自分が子供の頃のようなフィルムで写真を撮っていた時代と違って、スマホやデジタルカメラがある今、日々残す写真はあまりにも膨大、選ぶだけでも気が遠くなる作業……。モノより思い出、心の中に記憶としてぼんやり残っていればいい。なので息子のアルバムも全く作らずにここまで来た。

でも考えてみたら、息子自身にどれだけの記憶が残っているのか?

これは自分の場合だけど、自分自身の記憶だと思っているものに、アルバムに残されている写真を見て再構築されたものって、意外とたくさんあることに気づく。

何度もめくった自分と妹のアルバムで知らない大人が私たちを可愛がっている(両親たちの友人だ)。それらの写真と、自分の脳みそのなかの朧げな記憶を結びつけながら、幸せな記憶として脳みそにしまい直す。

妹が生まれた日におばあちゃんに買ってもらった手押し車も、就学までよく遊んだという駅前に住むヒロくんジュンコちゃんとの時間も、どれだけ自分の記憶なのかは今となってはわからない。

それともうひとつ、息子にアルバムを作ろうと思ったきっかけがあった。

実家に残る自分の小さいころ(まだ2歳か3歳か)のアルバム写真を、いくつか携帯で撮っていたものをたまたま最近スマホのカメラロールから見つけ出した。

そこには
「上のふたつとも お母さんがワンピース作ってくれたのよ かわいいね」
母の手書きでキャプションが添えられていた。

子どものときはもちろん、たぶんその写真を撮った時(妊娠して実家に戻っていた時だ)でさえあまり何も思わなかったのに、息子が同じくらいの年齢を経た今、急に、そのコメントがグッときた。

母がどんなふうな気持ちで、私たちを育ててくれていたかが垣間見れた気がしたから。
それがすごく今の自分の息子に対する気持ちとリンクしたから。

「もっと愛を伝えれば良かった」その後悔の気持ちを更新すべく、だから「愛を伝えるための」アルバムを作ることにした。

実際、写真を選び始めるとそのひとつひとつ選ぶ作業自体が、まるでラブレターを書くみたいだなと思った。写真は、息子が写っているもの以外にも、彼の目にも映ったであろう景色や家族の様子を収めたものも選んだ。

「このときたのしかったねえ」
「これ可笑しかったよね」
「このひとたちのこと覚えてる?」
「これは君がかっこよく写っているから入れてあげよう」
「パパはこんなに君のことが好きなんだよ」
「ふたりだけでおでかけしたね」

息子のはじける笑顔、夫にだっこされた姿、買ってもらったばかりの自転車を大切に眺める様子、作ったばかりの工作と一緒にベッドで眠る姿、幼稚園をさぼった日、息子の差し出した竿からはっぱを食べるキリン、かわいいおいもちゃん(我が家の愛犬)、富士山の裾から上る朝日……

覚えていて欲しいこと、景色、光景、気持ち、いっぱいいっぱい詰め込んでしまった。

まあ、実際どれだけ彼に伝わるかはわからないけど……!
(まあラブレターもそんなものだよね)

実家のアルバムは、妹とふたりで何度も何度もめくったけれど、母や父がそれをめくっているのをそういえば見たことがない。実際はどうだったんだろう?

出来上がったものを自分でめくってみる。

あ、私思ったより息子のことを可愛がっていたのかもしれない。
息子はたくさん笑ってるし、私も楽しそうだ。

愛情表現をじゅうぶんにやってきたと思えない自分に後ろめたさばかりがあったけれど、ちょっとだけホッとした。

『ちびゴリラのちびちび』
ルース・ボーンスタインが描いた大好きな絵本がある。

ちいさな かわいいゴリラが いました。
みんな ちびちびが だいすきでした。

そんな言葉で始まる絵本。

おかあさんも、おとうさんも、おばあさんも、おじいさんも、ぴんくのちょうも、みどりのおうむも、でっかいへびも、のっぽのきりんも、らいおんのおじさんも、かばのおばあさんも…
みんなちびちびのことを愛情持って可愛がっている、ただそれだけのシンプルなお話。

このアルバムが『ちびゴリラのちびちび』のように、あなたはたくさんの大人に愛されて育ったんだよ、わたしたちはあなたのことが大好きなんだよ、ということを伝えられたらいいなと思う。

息子がこの先成長して、自分に自信がなくなったとき、落ち込んだとき、このアルバムの写真たちや、この写真たちが心に宿してくれた記憶が、そんな彼を少しでも助けてくれたらいいなと思っている。

文 よしいちひろ

***

 

思い立ったらすぐプリント、がうれしい

これまで家庭用プリンターで写真をプリントしたことがなかったというよしいさん。アルバムをつくるにあたって、PIXUS TS8430が側にあることの便利さを実感したといいます。

よしいさん
「写真は一眼レフで撮影したものも、ほとんどスマホにデータを入れているのですが、PIXUSはわざわざPCに繋げなくても、スマホひとつで思い立ったらすぐにプリントできるのが便利でした。

Wi-Fiさえ繋がっていれば、家中どこからでもプリントできるので、ソファーに座りながら写真を選んだり、その日できる分だけを少しずつ貼ったり。家で気楽にプリントできたことは、まとまった時間を取れない自分には合っていたみたい」

▲専用アプリをダウンロードして、プリントしたい写真を選択するだけ。フチのありなし設定も簡単

L版1枚にかかるコストは約18.1円と、おトクなのもうれしい

「そして、画質の良さには驚きました。野原のグリーンや湖のブルーなども、息子と一緒にみた風景の色合いも美しく、きちんと再現されていてうれしかったです」

▲89mm×89mmのスクエアミニは、キヤノンだけのオリジナルサイズ

「気軽に壁に飾れて可愛かったのが、“スクエアミニ”というサイズ。

なんでもない日常のスナップをアルバムに収めるのに、ちょうど良いなと思いました。長方形のサイズと組み合わせも、アルバムにメリハリが生まれてよかったですね」

 

PIXUS TS8430のブランドサイトはこちら

【写真】上原未嗣


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よしいちひろ

イラストレーター。1979年生まれ。女性のなにげない日常や憧れを独自の視点とリラックスしたタッチでみずみずしく描く。ファッションやメイク、子育てなど、クリエイティビティに満ちたライフスタイルも注目を集めている。http://chihiroyoshii.com


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