【スタッフコラム】空っぽを求め湯気の方へ

私の住んでいるアパートはユニットバスで、浴槽はなかなかにこぢんまりとしています。この家を借りるときにお風呂のことなどは頭の隅の隅の方にあって、面倒なものくらいに思っていました。住み始めてからもお風呂はさっとシャワーで済ませるくらい。
そんな私でもしばらくこの家に暮らしていると、どうしてものびのびくつろげるような湯船が恋しくなる時が。そういうわけで、ある日突然に銭湯への興味が湧いてきました。

猫のいる銭湯、地下に降りて入る銭湯、露天風呂とサウナがある銭湯。これまで気にもかけていなかったのに、調べてみれば近所に3つも銭湯があったのです。
お風呂はちょっと面倒な日常の行為だけれど、銭湯は私にとって冒険にさえ感じる非日常。一気に視界がひらけたような気分。お宝を見つけたような気持ちで、はじめは露天風呂とサウナのある銭湯へ行きました。
世間話に花を咲かせながら髪を洗うおばさま方、器用に本を読みながら半身浴をする若者、「気持ちいいね」と、ぼそっと話しかけてくれたおばあちゃん。
普段なら話すことのないような、さまざまな年代の人が集まっていて聞こえてくるおしゃべりもどこか新鮮。ついつい耳を澄ませてしまいます。
そこへ何度か通ううち、ほかほかの帰り道で気づいたことがありました。
それは、想像以上に湯船に浸かっているときの頭は空っぽになっていて、湯船に浸かることよりもその空っぽが気持ちいいということ。ノートもペンもない、スマホもロッカーの中。銭湯で感じたことは、一生懸命覚えようとしてみてもどんどん薄い記憶になっていきます。
朝起きて「今日見たあの変な夢はなんだったんだろう?」と、夢の断片を探っているときの感覚に似ていて、肝心なところが思い出せなかったり。
夢を見ているときのように、銭湯で過ごしている間は現実のことから少しだけ距離を置いて空っぽになる時間が作れた気がします。
家にいるとつい考え事がはかどったり、時間があるからと手を動かして疲れたり。知らず知らずのうちに何も考えなくてもいい時間を求めていたのかもしれません。
味をしめた私は今週もとっておきの空っぽを求めて、今度は猫のいる銭湯に行ってみようかなと思います。
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