【44歳のじゆう帖】新年に読む、占いのすすめ
ビューティライターAYANA
新年に読みたい文章といえば……
毎年、年明けの時期にとても楽しみにしている文章があります。
それは、石井ゆかりさんによる「年報」です。
石井ゆかりさんは、ホロスコープを読み、それを文章にするライターです。占星術師とも作家ともいえるのに、肩書きをあくまで「ライター」と名乗っているところが好きです。
ご著書も数えきれないほどありますし、様々な媒体に寄稿されている超・超売れっ子でありながら、ご自身の「筋トレ」というサイトやSNSを通して、毎日、毎週、毎年、それぞれの星座の占いを無料で発表してくださっています。これは大変な労力であり、本当に頭が下がります。
その石井ゆかりさんの「年報」は、石井さんから各星座の人たちへ向けたエールのような、ギフトのような文章です。
かなり長く読み応えがあり、私はその「年報」を、もうすぐはじまる新年の指針とします。プリントアウトして何度も読み、今年はこんなことがあるのかなとか、こういうことを頑張っていこうとか、地図のようなものを描いてみるのです。
また同時に、一年前に発表された「年報」を読み返し、一年の終わりに答え合わせのようなこともします。そうそう、今年ってこんな年だったね、と振り返り、しみじみと味わったり、反省したりします。
石井ゆかりさんの文章はとにかく心地いい。安心や励ましの空気に満ちていて、読む人の心を希望の光で満たします。
そこに大胆な未来予想や派手な文句、何かを強いるような表現はありません。ただ冷静にホロスコープを読み、それを物語として伝えてくれます。だから私たちは、その物語を楽しみながら、自分の人生を自由に歩んでいくことができるのです。
物語を味わわせてくれる石井さん、労いをくれるしいたけ.さん
「今年はどんな年になるんだろう」と青写真を描く際に、私が参考にする文章がふたつあります。ひとつは石井ゆかりさんの「年報」で、もうひとつがVOGUE GIRLで公開されている「しいたけ占い」です。
占い師・作家のしいたけ.さんによる「しいたけ占い」にも、週間占いと年間占い(しかも上半期/下半期で年2回出してくれる)があり、いずれも無料です。
しいたけ.さんの文章は「3軒隣にあるいい感じの喫茶店を営んでいる兄ちゃんとの会話」みたいな空気に満ちている……と言ったら伝わるでしょうか。「まあまあ、ちょっと上がってお茶でも飲んでいってよ」と誘われ、気づけばコタツに入って人生相談をはじめちゃってた、みたいなムードがあります。
しいたけ.さんの表現はフランクなのに丁寧で、ホスピタリティのようなものを強く感じます。根底に「今日もお疲れさまでした、あなたはとっても頑張っていますよ」という労いがある。
読んでいると、ちょっと落ち込んでいたりしても「私もなかなかベストを尽くしているし、よし、これからもいっちょうやってやるか」という気分になります。
石井ゆかりさんはマクロな視点でホロスコープを眺め、それをストーリーに落とし込んでくれるのですが、しいたけ.さんはミクロな視点で「○○座のあなた」の個人的な話をしてくれる。
他でもない私自身に話しかけてくれているような感じなのです。
文章に宿る「品格」のゆえん
ところで私は、2020年8月からEMOTIONAL WRITING METHOD(通称 #エモ文)というオンライン文章講座をはじめております。
受講してくださる方は年齢も職業も様々ですが、多くの方が共通して「自分らしい文章を書きたい」「想いを最適な形で言語化したい」といった希望を持ちながら、同時に「人に不快な思いをさせる文章を書きたくない」「誰かを傷つけるような表現はしたくない」と感じていらっしゃる実感があります。
言葉は、ときにナイフのような鋭さを持ち得るものです。誰もが気軽に発信できる時代だからこそ、表現に細心の注意を払うことが求められます。
でも、当たり障りのない文章はつまらないし、読み手の心に響く文章が書きたい。
そんな素敵な文章ってどんなものだろう?と考えるとき、私の頭にはいつも石井ゆかりさんとしいたけ.さんの文章が浮かびます。
表現がシンプルで、読み手に解釈が委ねられている部分はあっても、意味不明なところはなく明瞭です。そして、醸し出す空気がとてもやわらかくて明るい。読み手のことを尊重しているのが随所からわかるのです。
誰かと誰かを比較したり(そこには自動的に何らかの優劣が生まれてしまいます)、乱暴な表現、過激な表現、挑発的な表現を含んでいたり。そういった「品のなさ」は一切なく、価値観の押しつけをすることもなく、ただ淡々と物語を展開していく強さとやさしさ。
おふたりの文章、もちろん占いとして、これからの人生の道しるべのひとつとして、十二分に楽しませていただいていますが、さらに文章の師としてもおおいに崇め、参考にさせてもらっております。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
AYANAさんに参加してもらい開発した
KURASHI&Trips PUBLISHING
メイクアップシリーズ
AYANAさんも立ち会って制作した
スタッフのメイク体験
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