【ラジオ|チャポンと行こう!】第172夜:カゴ愛、再燃中! シルバニアや赤毛のアンなど、カゴ好きのルーツも紐解いてみました
【スタッフコラム】いまは、歩くスピードが心地いい
編集スタッフ 田中
ほんの15分くらいの短い散歩を日課にしています。近頃、この歩く行為が今の自分に合っているなあと感じるのです。
どうやらスピードがちょうどいいみたい。スピードって日本語にすると、動作の速さを意味するときと、時間や時期の早さのそれと両方ありますが、私の場合は前者において少しゆっくりなくらいが良いようです。
高校生のときは陸上に明け暮れた日々でした。あの頃は、一歩も動かず座学をする時間がもどかしくてたまりませんでした。授業が終わるとすぐに部室にかけこんで、なぜそんなに急ぐのかわからないほどはやくジャージに着替えて(笑)。
その後は常に小走りの時期。ギリギリまで寝ていたいから、朝はいつでも小走りで駅に向かいます。自転車の速さも今考えると怖いくらいのスピード。車の横をシュンっと通り抜けていたから、ドライバーの身になって考えると恐ろしい……。
頭の中も忙しかったような。私にしては速いスピードで、仕事の段取りをパズルのように詰め込んだり、バタバタと書類仕事をこなしたり。
ここ10年くらいは早歩き時代だったかもしれません。オフィスのなかをちょこまかと歩きまわり、「ああ、あそこにガムテープ置き忘れちゃった」などと、シャカシャカ歩いて戻ります。
今思えば、歩いたってスピードは変わりないのに……となるんですが。きっと早歩きすることで自分が物事に対してしっかり向き合ってる、何かを進めている実感があったのでしょう。
そして今また、ペースが変わりつつあります。登山を始めた約3年ほど前から、歩くスピードがとても心地よいと感じていました。目の前の景色だけでなく、足もと、横、振り向いたときの見える範囲が変わってくる。走っていたとき見逃していたものが視界に入るんです。
五感がフル稼働するのも歩いているとき。落ち葉をふむ音を聴き、木々の間を通り抜ける風が肌にあたる。急坂を登るときは、体を前のめりにするから顔が地面に近くなって石の模様まで目に留まる。足の裏には、土の固さが伝わってきます。
日課の散歩中は、ここまでのことをじっくり感じる時間はないけれど、歩くスピードを味わっておくんです。そうすると落ち着いて、慌てすぎずに1日を始められるような気がします。
自分に合ったスピードを軸にしていると、周囲の目線はともあれ選択や判断に少しは自信がもてます。
年齢をかさねたからか、時勢のためなのか。はたまた元々の性分も関係していそうで、こう考えるようになってきましたが、走っているときの爽快感も好き。ずっと同じではいられないから、もしかしたら数年先は慌ただしくまた小走りや早歩きで動いているかもしれません。でも自分の心地よさの感覚を忘れずにいれば、この先も『今は、これがいい』を実感できるんだろうなと思います。
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