【終の住処】後編:使いながら整えるキッチン収納。家も自分も健やかに保つために

【終の住処】後編:使いながら整えるキッチン収納。家も自分も健やかに保つために

編集スタッフ 壽山

「この先、どんな暮らしがしたいのだろう?」

ふとした瞬間、そんな思いが胸をよぎることがあります。不満からというより、これまでの選択や方向性に少しの違和感を感じはじめたとき。ちょっとだけ立ち止まって、今を見直してみたくなる。

今回の特集では、50歳が見えてきた40代半ばで、大きく暮らしを見直し、はじめて家を建てた 竹之下友美 ( たけのしたともみ ) さん(52歳)に、「終の住処」を意識した家づくりの話を伺います。

前編では、家を建てるきっかけや、間取りや庭づくりのお話を。つづく後編では、1日の大半を過ごすキッチンのこと、日々を快適にする家じかんや習慣についてお聞きします。

前編を読む

キッチンを勝手よく整える、小さな収納たち

気がつけばキッチンにいることが多い竹之下さん。カウンターでパソコンを開いて仕事をしたり、コーヒーを飲んだり。本を読んだり映画を見たり、日中の大半をここで過ごすことも多いそう。

友人と料理することもあるため、2人でも調理しやすい対面型キッチンに。冷蔵庫やオーブンなどの家電、食材のストックなど隠したいものは、建築家の提案でカウンター奥に専用の棚を作ってもらいました。

見えないところにしまったものは忘れてしまうため、毎日使う調理道具や調味料は、出しっぱなしでも気にならないよう気に入った器に入れて使っています。

▲カウンター据え置きの家電のコードは、紅茶の缶に収納。使うときだけ蓋を開けてコードをつなぐスタイル

ふだん使いの器は、シンク脇においた食器棚に収納し、その上にはよく飲む紅茶やコーヒーとその道具を置くコーナーを作りました。よくお茶を淹れるため、引き出しに仕舞い込むよりもこの方がしっくりきたそう。

食器棚の横に置いたスツールには、好きで集めている木のトレイやカッティングボードをカゴに入れてざっくりと収納しています。

竹之下さん:
「家をつくるときは、新しい家のどこにどんな収納が必要かいまいちわからなくて。使いながら勝手がいいように、カゴやボックスで小さな収納をつけ足していきました。暮らしも私の基準も少しずつ変化していきますし、その時々で整えるのがちょうどいいかなと思っています。

ディッシュラックだけは、ずっと欲しかったものが再販されたタイミングで購入し、後から取り付けてもらいました。キッチンにまた一つ好きな景色が増えて、うれしかったです」

竹之下さん:
「キッチンからの眺めも好きです。ここから見渡せる範囲に、暮らしのほとんどが集約されているので。ちょっと引いた目線で、ここのレイアウトを変えてみようかなとか、あそこにこんなものを置きたいなと空想したり。天窓からの光が、時間と共に移ろう様子を眺めたり。不思議と飽きないです」


部屋が散らからない。気負わない整え方

キッチン同様、リビングにある物もすべて置き場所を決めて、使ったら元に戻すことを習慣にしているといいます。

竹之下さん:
「よく言われることですが、収納場所を一旦決めたら、使ったあと戻すようにすれば散らからないですし、散らかってもすぐに片付けるられるから本当にラクなんです。

今日みたいに来客がある日の片付けもサッと済みます。今朝は時間がなくて細かな掃除が間に合わなかったのですが、物が定位置に収納されているだけで、なんとなく家全体が整って見えるから、まあいいかと思えます」

▲キッチン裏の納戸に細々した日用品や生活用品のストックなどを集約

掃除はやりたいときに。汚れがたまらないプチ習慣

17年前から保護猫と暮らしている竹之下さん。普段どんな点に気をつけて掃除しているか聞いてみました。

竹之下さん:
「週に何回など決めたタイミングで掃除をするタイプではなくて、汚れが気になったタイミングで、数分で終わる小さな掃除をしています。

たとえば愛猫のメルは、コロコロでマッサージされるのが好きなんです。メルを撫でたあとは服やソファに落ちた毛をコロコロしながら、メルの背中もコロコロするまでがふれあいタイム。だから全部のスペースにコロコロを常備してあるんです(笑)」

ラグが好きでリビングに何枚か敷いているため、汚れが気になったときは小箒で掻き出して、そのあと床全体を大きめの箒ではき掃除。数分で終わるプチ習慣なのだとか。あとは気になったときにフローリングをクイックルワイパーで拭きあげるといいます。

竹之下さん:
「大掃除はしないのですが、こうした小掃除をちょこちょこやるのが好きです。水回りも同様に気になったときに掃除して、気負わずできるできる小さな掃除を、好きな時に。やらなくちゃという義務感に追われずマイペースにやっているので、気楽に続けられています」


くたくたに疲れたときの充電は

野外マルシェや展示会のプロデュースを手がける竹之下さん。イベント準備中はたくさんの人と関わりながら、フル回転で活動していることもあり、終了後は1週間ほど家に引きこもって1人で過ごすようにしているといいます。

竹之下さん:
「イベントの後はくたくたに疲れていることも多いので、ただただ家でのんびりしながら過ごします。

メルさんとソファでゴロゴロしたり、好きな時に好きなものを食べたり。ゆっくり映画をみたり、もう家から一歩も出ません。明るい引きこもりと公言しているのですが、大好きな家で過ごす時間が、私にとっては一番の充電になるんです」


「居心地のいい住処」を手に入れるには

いま目の前にあるものを大切に、自分も家族も心地よく暮らせる仕組みを考えること。心の声に耳をすませながら、些細な違和感をすくいとるように生活を整えること。そうやって竹之下さんがつくりあげた「終の住処」は、とても居心地のよい空間でした。

一日ここでぼーっと過ごしたい。巣ごもりするように、エネルギーを養える場所があってこそ、歳を重ねても健やかに生きていけるのかもしれません。

きっとどんな住まいも、自分が「心地よい」を軸に向き合えば、安心して暮らせる住処に整えることができるのかもしれない。つい具体的なノウハウを求めてしまいがちなのですが、自分の感覚で動くことの大切さを、改めて教わったような気がしました。


photo:穴見春樹



竹之下友美

縁のあるgalleryで作家さんの個展を開き、自宅では小さな集いや、お花やお茶、折形のワークショップなどを開催。地元のつくり手さんを集めて「春市」という野外イベントの企画なども手掛けるほか、健康美容の分野でも活動を広げている。

Instagram: @tomomerci_beaucoup04022018

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