【スタッフコラム】「南向き」の思い込み
編集スタッフ 鈴木
この部屋に引っ越してきて、4ヶ月が経ちました。
部屋の決め手は、窓の大きさと見晴らしの良さでした。
単身サイズのワンルーム、ベランダ側は壁ほとんどが窓。もう1面にも壁面積の半分くらいの大きな窓。その部屋は周りの家よりも1段か2段高く、ベランダ側は空を遮るものがほとんどありません。
でも、懸念点が一つ。ベランダは北向き、もう一つの壁は西向き。西には高めのマンションが建っていて、内見をした冬は太陽がマンションに隠れてしまっていたんです。
「南向き」は絶対条件、だと思っていた私。内装や立地など、いろいろなものを天秤にかけながら、友人達に意見を求めながら、誰かからの安心材料を求めていました。
だって、方角以外は本当に魅力的だったんです。ちょっと古めの内装も、この家賃ではなかなか得られない広いキッチンも。
「この部屋が大丈夫だったら、南向きじゃなきゃダメ、なんて固定観念からも自由になれる!」と大義名分を思いつき、最終的には不動産屋さんの「完璧なお部屋なんてないですからね」の一言に押されて、この部屋に決めました。失敗の怖いわたしにとっては、ちょっとした不安を伴う冒険でした。
結果、このお部屋にしてよかった。
引っ越してすぐの冬の間は、日差しが入るのはお昼すぎの1~2時間だけ。わかってはいたけれど、やっぱり恋しくて、昼休みにせっせと窓を開け、日光浴をしたものです。
ですがそれも今思えば数ヶ月の辛抱でした。夏至が近づくにつれてだんだんと太陽が高くなってきて、最近では西のマンションよりも高い位置に太陽が登り、日差しへの恋しさは完全に解消。
更に嬉しいのは、日の沈む方角も北寄りになって、部屋から夕暮れが見えること。日々刻々と太陽の高さが変わり、部屋に入る日の光も気がつけば表情を変えています。
先日、友人とのグループチャットに「いま空が綺麗だよ」とメッセージが来ました。
仕事でずっと画面に集中していた私。少し手を止めて窓の外を見やると、今にも沈みそうな太陽が重い雲を力強く照らしています。
「なんか神様がいそうだね」
ひとりで過ごす時間が増えた今、同じ時間や感情を誰かと共有できたことが嬉しくて。そして部屋の中から急がず、焦らず、空の変化を眺められるのが嬉しくて。なにかが満たされた気持ちになりました。
案外北・西向きのお部屋もいいかもしれない。夏の夕日が見えるという、想像もしてなかった特典付きで。
あれじゃなきゃ、これじゃなきゃ、思い込まずにいろいろ試してみる。今回の部屋選びみたいに、いろんな場面でちょっとした冒険を重ねていく勇気を持っていたいです。
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