【こざっぱりした暮らし】第1話:郊外マンションに25年暮らして。蒸し暑い日も、心地よいインテリア
編集スタッフ 田中
蒸し暑い日も、カラッとさわやかに過ごしたい
夏特有の、過ごしにくさ。毎年いろいろと対策はするものの、すっかり心折れて早く次の季節にならないかな……と時が過ぎるのを待つばかり。
でも、いろいろ駆使して涼しさを追求したり、湿気取りの方法に奔走したり。やりすぎはちょっぴり疲れてしまいます。もっと大らかに、この季節を過ごしたいとも思ってしまうのです。
今回、訪ねたのはイラストレーターの谷山彩子(たにやま あやこ)さん。郊外のマンションに結婚当初から25年、夫婦2人暮らしです。取材日はそろそろ梅雨入りしそうな時期でしたが、谷山さん宅にはこざっばりとした心地いい風が吹いていました。
住んで25年。こざっぱりと、風通しのいい部屋
玄関ドアには網戸が張られ、廊下を通じてリビングの窓まで一直線。すーっと気持ちいい風が吹いています。
廊下の先のダイニングとリビングには、濃いめのブラウンを基調とした家具、数多くの観葉植物がそよ風に葉を揺らしていました。
テーブルの端や窓辺などにオブジェとグリーンが一輪挿しにセットで飾られていて、昔ながらの小引出しもあれば、異国情緒ただよう水屋箪笥もあったり。ものが少ないわけではないけれど清潔感のある、こざっぱり、とした印象がとても心地よかったのです。
▲オリエンタルな雰囲気漂う水屋箪笥。食器棚として使っているそう
谷山さん:
「古材やアンティークの家具が好みで、結婚当初から使っているものも多いですね。床材の色とマッチして、植物を多めに置いたことで、いつのまにかアジア風の雰囲気のインテリアになりました。
実は、梅雨も夏の暑さもそんなに苦手じゃないんです。南の島やジャングルで暮らしているつもりになれば楽しいなと思って。インテリアもそんな『南国暮らしごっこ』なのかもしれないと、この取材を受ける段になって気づきました」
谷山さん:
「梅雨や夏の蒸し暑さを防ぐために、何か特別なことをしているわけではないけれど、これまで自分なりにさっぱりと過ごせるようにと試してみた色々なことの中から、よかったことや続けやすかったことが、いつの間にか習慣になったのかもしれないですね」
ああ、その頑張りすぎていない、大らかさを私は求めていました。さっそく、目にとまったインテリアまわりからお話を聞きました。
▲部屋のあちこちに置かれた観葉植物は何年もかけて増えたそう
肌に触れるものから、変えていく
いくら暑い時期が好きだといっても、さすがに肌がベタベタするのは好きじゃない。それは谷山さんも同じでした。
谷山さん:
「ローテーブルで使う座布団カバーを、夏はしじら織の生地へ変えます。
しじら織は、甚兵衛などに使われている生地。ちょっと凹凸があって、肌に触れるとさらっとしていて気持ちいいんです。我が家の座布団にあうサイズで、この生地でどうしてもカバーを作りたくて、自作しました。
他にも、オーガニックコットンのタオルをソファにかけています。革張りなので夏はちょっと暑いんです。肌に触れるものを変えるだけでも、心地好さはグッと上がる気がします」
▲ご自身がイラストを描いて一時期販売されていたものだそう。
ハッカ油で、空間をさっぱりと
そういえば、室内を歩くとスーッとした香りが漂っていました。
谷山さん:
「ハッカ油と重曹を混ぜたものを、ルームフレグランスのように使っています。玄関や洗面所などに置いておくと、風でふんわり香るんです。
以前、仕事で『はっか油の愉しみ』という本に挿絵を描いたとき、いろいろな使い方を知りました。その中でもとくに簡単だったことを真似しています。重曹は湿気取りの効果もあるようだから、それも期待して洗面所に置いてるんです」
重曹を大きめの容器にいれて、ハッカ油を数滴垂らし、よくかき混ぜます。その後、小皿にうつしかえて、家のあちこちに置いていく谷山さん。
玄関先には、カゴにしつらえた花瓶にグリーンを插したものといっしょにしつらえて。これだけで目から入る涼しさと、香り、両方でさっぱりとした感覚を味わえました。
長年住んでいるからこそ、だんだんと培われていった季節の過ごし方。張り切りすぎずとも、自然と心地いいことを選んでいるのが伝わってきました。
第1話は、衣食住の住についてお話を伺いましたが、こうなってくるとその他のことにも聞いてみたい、と興味が湧いてきます。
「夏にむけて少しメニューが変わっていきます」と言う谷山さんに、次回は夏の食卓についてお聞きしました。
【写真】太田太朗
もくじ
谷山彩子
イラストレーター。東京都出身。セツ・モードセミナーを卒業。HBギャラリー勤務のあと、フリーのイラストレーターに。雑誌・書籍の挿画や広告の分野で幅広く活躍。近著に『文様えほん』『十二支えほん』(共にあすなろ書房)がある。https://www.taniyama3.com/
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