【いそがない部屋づくり】第1話:築47年の古家をリノベーションで居心地のよい住まいに

ライター 長谷川未緒

引っ越したり、家を建てることになったりしたら、理想の実現に向けて最初からあれこれ揃え、完璧を目指したくなるもの。

ですが、暮らしは変化していくものですし、住みながらそのときどきの自分にぴったりな住まいをつくっていけたなら、その道のりはなんとも楽しく、居心地のいい家になりそうです。

そこで、そんな家づくりを実現している料理家の柚木さとみ(ゆぎ さとみ)さん宅を訪ねました。

設計士の友人と一緒にプランを立てながらリノベーションしたというお住まいを、全4話に分けてお届けします。

 

取り壊し予定の古家に一目惚れ

柚木さんが夫と2匹の猫と暮らす家は、住宅街の奥まった通りに面して建ち、門構えや玄関扉などに独特の趣があります。結婚を機に家を建てようとあれこれ探すうちに、偶然見つけた築47年の家を2年近くかけてリノベーションしました。

柚木さん:
「それまでアトリエ兼自宅でひとり暮らしをしていたのですが、夫と暮らすには狭かったので。リノベーションすることも視野に入れてマンションや戸建てを内見したものの、ピンとくる物件となかなか出会えなかったんです。

ある日、インターネットで、アトリエから自転車で通える距離に古家付きの土地を見つけ、その古屋の外観に感じるものがありました」

友人とキャンプに行った帰りに「この辺じゃない?」とその土地を探し出し、実際に古家を目の当たりにした柚木さん。アイアンでできた唐草模様のベランダの手すりや、玄関扉の両側にはまったガラスブロックの雰囲気に一目惚れしました。

柚木さん:
「土地の所有者が育った家で、解体して更地にする前提で売られていましたが、活かせるならば活かしたいと思いました。

もともと古いものが好きですし、じつはアトリエも築60年の家をセルフリノベーションしたので、それに比べれば状態がいいとさえ思ったんですよ」

 

アトリエで堪えた寒さ対策を万全にしたい!

中は見事にボロボロで、残せたものは柱くらいだったというこの家。建築系の職人をしているご主人が、仲間と数日かけてスケルトンにしました。

柚木さん:
「リノベーションにあたっては、高校時代の同級生でもある設計士と家具デザイナーのふたりに協力してもらいました」

柚木さん:
「まずリクエストしたのは、暖かい家にしたいということ。というのもアトリエは隙間風が吹き込む家で、遊びに来た友人に『ここには絶対に住めない』と言われるくらい寒かったんです。

施工をお願いしたのは神社の修復も行う腕のいい会社だったので、断熱材の入れ方なども技術が高いんでしょうね。

仕切りが少なく階段部分に吹き抜けもある家なのに暖房の効きがよく、冬でも裸足でいられるくらい暖かいんですよ。予算の関係で床暖房は諦めたんですけれど、まったく問題ありませんでした」

 

暮らしを楽しめるようにするには?

アトリエは住まいと兼用ではあったものの、仕事をするために作ったような場所だったため、あくまでもメインはキッチンでした。

新しく建てる家は、夫婦で快適な生活が送れるようにしたいと思ったといいます。

柚木さん:
「仕事と暮らしを分けたいわけではないですし、家でも試作や原稿書きをするのですが、アトリエは生活よりも仕事場としての機能を優先させすぎてしまったんです。

バスタブがなくシャワーのみだったり、キッチンを大きくとったので部屋は狭くて5.5畳くらい。ベッドとテレビ、衣類をぎゅっと詰め込んだら、それだけでいっぱいでした」

設計士と相談しながら、少しずつ間取りを決めたこの家。1階はリビング、ダイニング、キッチン、お風呂、リビングの一角から階段で2階に上がると、もうひとつリビングがあり、寝室とクローゼット、ランドリールームとベランダに続きます。

柚木さん:
「家の構造上の問題や耐震性の課題、予算との兼ね合いもあって、全部が全部、自由にできたわけではないんです。

制約がある中で、この家でできる最大限のことをしました」

 

回廊できる、明るい家

▲左のドアからも、玄関に出られる。

玄関を入るとひとつはキッチンに、もうひとつはリビングにと、ふたつ扉があり、1階がぐるっと回れる回廊式になっているのは、設計士の提案でした。

柚木さん:
「もともと玄関と室内はしっかり区切りたかったので、扉はつけるつもりだったのですが、リビングに続く扉だけではなく、買い物から帰ってきたときに直接キッチンへ行ける扉もあったほうがいいんじゃない、と。リビングからダイニングを抜けてキッチンへ行くより、近くてラクなので、大正解です。

猫と暮らしはじめてからは、脱走防止にも役立っています」

▲写真:柚木さん

住宅地にあるにも関わらず1階が明るいのも印象的です。庭から入る光と、リビングの一角にある階段上が吹き抜けになっているからでした。

柚木さん:
「北欧のほうでは、照明で明かりを取るという話をよく聞きしますが、やっぱり自然光がほしいんですよね。

吹き抜けにして上から光が入るようにしたので、1階でくつろいだり、作業したりしていても、明るくていいですよ」

 

第2リビング!? 自由な発想で家づくり

柚木さん宅で、ほかの家には少ないのでは、と思ったのが、2階にある第2リビングの存在です。

柚木さん:
「実家がごはんのときにテレビを見ない家だったので、ダイニングから続く1階のリビングに、テレビを置きたくなかったんですね。

2階は書斎をつくってもよかったのですが、せっかくだからゆっくりくつろげるスペースにしようかな、と思って寝室の隣にテレビや映画をのんびり見る、第2リビングをつくりました」

回廊式で抜けのいい1階、吹き抜けの階段で上がると役割のはっきりしたスペースが揃った2階と、柚木さんが友人たちとおもしろがってリノベーションしたことが伝わってきます。

続く第2話では、意図せず愛猫にとっても過ごしやすい場所になったという、明るく広々としたリビング・ダイニングを中心にお話を伺います。

 

【写真】MEGUMI

 

もくじ

 

柚木さとみ

料理家。大学卒業後、カフェの総括店長を務め、カフェのプロデュースやメニュー開発、大手料理教室の講師などを経験。現在は古民家をセルフリノベーションしたアトリエで料理教室「さときっちん」を主宰しながら、企業やメディア向けのレシピ提供のほか、を含んだ暮らし方の提案を行っている。https://yugisatomi.com


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