【エッセイラジオ】第43夜:齋藤 美和さんのエッセイ「心の幹を大きく太く」(読み手 スタッフ鈴木)
編集スタッフ 鈴木
今日も1日おつかれさまでした。
皆さんこんばんは。日曜日の20時、いかがお過ごしでしょうか?
週末でリフレッシュされた方や、明日からの一週間に備えて気持ちを整えている方、思い思いの時間が流れていることと思います。
そんな誰もがほっと一息つきたい時間に「おつかれさま」の気持ちを込めて、「エッセイラジオ」をお届けします。
思うようにいかなかった昼間の出来事や、いつも心の端に引っかかっている悩み事など。生活していると日々色々とありますが、このラジオを聴いているその時間だけは、一旦それらを手放して、ゆったりと声に身を任せていただけたら幸いです。
今夜のエッセイの書き手は、「しぜんの国保育園」園長・齋藤美和さん。読み手は、当店スタッフの鈴木です。
ではさっそく、今夜のエッセイの世界へ、どうぞいってらっしゃいませ。
心の幹を大きく太く
齋藤 美和
小さい頃から悩みやすいタイプだった。
4月の新学期も苦手。
1学期の成績表がとても悪くて、
場所や先生、友人に慣れるまで
とても時間がかかる。
若い頃はずっと悩むことが自分の影のように、
いつまでもつきまとっていたように感じる。
ただ、ある時、悩むという行為が、
考えるということにつながり、
「あ、今、私は悩んでいるけれど、
同時に考えていることにもなるんだな」
と思えた。
大学で、物語の作法という文章を書く授業に
出会った頃だっただろうか。
恋人にフラれてしまった頃だっただろうか。
自分の気持ちを言葉で表現することで、
悩むということに少し
光が当たったのかもしれない。
苦しい気持ちを、一旦自分の心の
大事な部分に置いておくことを覚えた。
もちろん、
心に置いていたものを開けてみたり、
不意に誰かに開けられたり、
そんな時もある。
でも、その事を自分の不安の解消のために
解決をしようとすると
うまくいかない時があることを知った。
「悩み」なのか、
「悩みを抱えている不安な自分を
すぐに解消したいのか」
また心を探って考えてみる。
あまりに「私の気持ちに」
焦点が当たりすぎると、苦しくなる。
自分の視点を、別の方向に当ててみるのだ。
そんな時、自分の片隅にいてくれたのは、
本や音楽で、
自分では表現できないあやふやな気持ちを、
ただ「ある」ことによって、
安心させてくれた。
江國香織さんの『流しのしたの骨』、
谷川史子先生の『外はいい天気だよ』、
その頃大事に読んだ本を開くと、
その時の気配を思い出す。
くるりの『東京』、
Weezerの『Island In The Sun』が
Spotifyで流れてきて、
うっかり気持ちが揺さぶられる。
今は、悩んだり考えたりしているうちに、
また別の悩みや考え、さらに決断を
しなくてはならないことが増えてきた。
自分の立ち位置としても、
決めなくてはならない側面がとても多い。
けれども、保育園での
「子どもを中心に据えた暮らし」は、
今まで自分のことを考えてばかりいた
私にとって、他者と暮らすことの
輪郭が見えるきっかけとなった。
大勢の子どもと一緒に暮らすことは、
目まぐるしくもあるが、
場の気がよどまない。
つむじ風のようにやってくる
毎日のできごとに、
自分の悩みは絡みとられていくのだ。
私の心の中にある、
「子ども中心」という大きな木。
どーんと大らかに構えて、
アハハと笑っていきたい。
泣きたくなる夜もあるけれど、
心の幹を大きく太くして、
これからも子どもたちに、
どんどん木登りしてもらえるように
大切に育てていこうと思っている。
いかがでしたか?
ほんの数分ではありますが、心の緊張がほどけたり、すうっと眠りに入るきっかけとなれたなら、これほど嬉しいことはありません。
次回の配信も、どうぞ楽しみにしていてくださいね。
エッセイラジオを通して、このささやかなエールが届きますように。それでは、おやすみなさい。
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