【思いを重ねる家づくり】第4話:暮らしの景色が変わる、グリーンと照明の楽しみかた

ライター 藤沢あかり

「自分らしさ」を大切にしながら、居心地よく、家族みんながごきげんに。そんなインテリアは、どうしたら叶うのでしょう。理想の暮らしを実現した人は、どんなふうに住まいを整えてきたのでしょうか。

そのヒントを探るため、翁長詩乃(おなが・しの)さんのお宅を訪ねています。ハンドメイド作家「ne-ene(ネエネ)」としての活動を経て、現在はふたりの男の子を育てている翁長さん。これまで、家づくりのきっかけやリビング、キッチンの様子などをお届けしてきました。

最終回となる4話目では、インテリアのスパイスとなる花やグリーン、そして照明の楽しみ方についてお聞きします。
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グリーン一年生も、無理なく植物を楽しめるように

翁長さんのお宅で雰囲気をぐっと盛り上げているのが、あちこちに置かれたグリーンです。

翁長さん:
「実は植物を育てるのが苦手で、ずっと自分には向いていないと思っていたんです。でもこの家に来て南側の窓辺に置くようになってからは、日当たりや風通しが良いからか、どの植物もぐんぐん育つようになりました。あまり買いすぎないようにと思いながらも、元気に育つのがうれしくて、つい増やしてしまいます」

▲鉢は、色や柄が派手すぎないよう、並べたときのトーンを考えて選んでいるそう。

飾り棚にも、できるだけ花を絶やさぬようにと心掛けているそうですが、そこは無理なくマイペースに、が翁長さんの楽しみ方です。

翁長さん:
「お花が目に入ると、気分が変わりますよね。でも、わたしがお花を買いに行くのは、気持ちや時間に余裕があるとき。定期的にお花を飾ると決めると、ちょっと無理が出てしまうので、窓辺が寂しくなってきたら次のお花を買う、というくらいのゆるさで続けています。

花の種類によっては2週間くらい持つこともありますし、あまりルールを決めすぎないくらいがちょうどいいです」

▲花瓶の水を換えるついでに雑貨を並べ替えて、ディスプレイの変化も楽しみます。

▲ダイニングの天井からハンギングしたフックは「SAT.PRODUCTS」のもの。

▲クリスマスに作ったリースは、季節感のある実ものだけを除き、そのままドライにしてこんなふうに。馬の刺繍は、夫のタスマニア出張土産。

 

部屋の表情を変える照明の選びかた

このお宅を印象的に仕上げているもうひとつが照明づかいです。よく見ると、リビングだけでもたくさんの種類があるのがわかります。

翁長さん:
「三角屋根はあこがれでしたが、思いのほか難航したのが照明選びでした。シェードタイプのような下だけ照らすものでは、天井近くの空間が暗くなってしまいます。そこで上下に光がまわるもの、空間のサイズに合うものを探しました」

▲工業製品らしいアノニマスなデザインがお気に入りだという古いランプは、福岡のアンティークショップ「eel(イール)」で。

大きく伸びるアームが美しいウォールランプも、印象的な存在感を放っています。

翁長さん:
「デザイナーにはあまり詳しくなかったのですが、このジャン・プルーヴェの作品だけは、雑誌で見てひとめぼれでした。現行品もありますが、使い込んだ風合いがいいなと思ったので、古いものを選んでいます。

照明のなかでも、壁に直接取り付けるものは施工時にお願いする必要があるので、家づくりでは納期に間に合うよう選んでいくのが大変でした」

 

小さなランプをいくつも重ね合わせて

古いトランペットをリメイクした間接照明は、古賀秀幸さんの作品です。小さく照らすランプが、室内の表情をぐっと高めてくれます。

翁長さん:
「テーブルランプやフロアライトなど、小さな照明をいくつも重ねていくのが好きです。日が落ちていくにつれ、少しずつライトを灯して、そして夜が更けていくにつれ、少しずつライトの数を絞っていきます。

寝る前のひとときを穏やかな光のなかで過ごすとリラックスできますし、夫は、レコードをかけてお酒を飲んで……という時間を楽しんでいるみたいです。

子どもと一緒のときや作業が必要なときはどうしても明るさを求めてしまいますが、夜はこうしてゆっくり過ごすのもいいなと思うようになりました」

▲フロアランプも夫が見つけてきた古いもの。足でポンと押せるフットスイッチがついているのも便利。

 

物がたくさんあっても、心地よく暮らす道がある

古いもの、新しいもの、家族が好きなもの、受け継いだもの。時代やテイストでカテゴライズせず、自分たちの居心地や大切なものを一番に考えた翁長さんの暮らし。

たくさんのものに囲まれているからこそ、大切にしたい思いがあるのだといいます。

翁長さん:
「いま、暮らしにあるものは昔から変わらずずっと好きなものばかりです。わたしはやっぱりものが好きだし、お買い物も大好き。でもだんだん、これはうちに合うかな、長く愛せるかなという気持ちで選ぶようになりました。

実は、ものを減らすことできれいに整えることに惹かれた時期もあって、20代のころにたくさん集めた古着も、ほとんど残っていないんです。でも古着は同じ柄に二度と出会えません。振り返ると、どうしてあのとき手放してしまったんだろうと、すごく後悔しています」

翁長さん:
「わたしは洋服でしたが、夫はレコードやCDですし、人によっては本だったりうつわだったり、さまざまだと思います。

家づくりを通して、どうしたら物が多くても快適に過ごせるか、家族みんなが大事なものを活かしていけるかを何度も何度も考えました。大切なものを捨てなくても、物が多くても、快適に、楽しく暮らせる方法がきっとあると思います」

お恥ずかしながら、わたしはいつも素敵なお宅にうかがうと「同じあれがほしい、これもほしい」と、取材先で見たものを買いたい気持ちで頭がいっぱいでした。でもいま感じるのは、わたしが好きだと思えるものを探してみよう、見つけてみようという思い。

「これいいな」の背景にある物語や気持ちを大切にしていけば、自分らしいインテリアは自然と育っていくのかもしれません。

 

【写真】衛藤キヨコ

 

もくじ

 

翁長詩乃(おなが・しの)

WEBデザイナー、ハンドメイド作家「ne-ene(ネエネ)」デザイナーとしての活動を経て、現在は小3、年長のふたりの男の子を育てながら、整理・収納やインテリアの活動を始めるべく準備中。Instagram:@ne_ene

 


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