【発見するふたり】後編:「わからない」があるから毎日が楽しいです(高尾 × 栗村)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、当店の商品ページをつくる「ストア編集グループ」のスタッフ栗村と、物流・情報セキュリティ・データ分析などクラシコムの事業の基盤づくりを行う「ビジネスプラットフォーム部」のスタッフ高尾が登場。

異なるグループで仕事をするふたりですが、実は「もともと理系科目が得意だった」という共通点も。転職でクラシコムに入社し、大きく仕事の中身が変わったことで、新しく気づいたこともあるようです。そんな、 “発見するふたり”、自身のなかで「変わったこと、変わらないこと」はあるのでしょうか?

後編は栗村が主に聞き手となって、高尾に色々と質問してみました。

前編を読む

 

何をしているかわからない人

栗村:
高尾さんって、僕からすると良い意味で「何をしているか、よくわからない」という人なんです(笑)。ほんとうに色んなところに顔を出しているし、手伝ってもらうことも多いですし。

高尾:
いやいや、そうですよね! 主には物流と情報セキュリティ、あとはデータ管理や分析の仕事です。物流でいえば、外部委託している物流業者さんと毎週打ち合わせをして、来週の見込み出荷件数から稼働の調整をしたり、もっと作業のオペレーションがよくなるようにお話を聞いたり。

栗村:
毎週打ち合わせをしているんですね。

高尾:
物流業務は、多くの人手を必要とします。人数調整が肝になってくるため、日々の繁閑のアップダウンをどれだけなくせるか、ということと、予測と実績の差をどれだけ小さくできるか、ということが重要で。だから、物流業者さんと密にコミュニケーションを取ることが重要なんです。

栗村:
あと、PCの設定やデータ分析で困ったときも、よく高尾さんが助けてくれて、ありがたいです。

高尾:
困ったときに聞けるヘルプデスクみたいですよね。みんなが色んな仕事用ツールをつかって、より安心しながら、スムーズに毎日の仕事が進められるようにすることも、僕の仕事です。最近だと「パスワード管理ツール」を導入しましたけど、どうですか?

栗村:
すごく助かってます。難しい操作がなくても、管理できますから。

 

化学の眼鏡で見ると、いろんなことが「わかる」のが面白かった

栗村:
これまでも、そういう仕事をしてきたんですか?

高尾:
それでいうと、前職の仕事はクラシコムとは全く関係なかったんです。もともと化学メーカーの研究開発職で、スマホの画面に指紋がつきにくくなるようなコーティングを研究していたんです。

栗村:
化学好きは昔から?

高尾:
高校の頃から好きでしたね。たとえば、「2種類の液体を混ぜると白い沈殿ができる実験」をすると、化学は「沈殿できる理由を全て説明できる学問」です。それを「すごい!」と感じて、化学の眼鏡で見ると色んなことが「わかる」というのが面白くて。

大学でも化学を学んでいて、就職もしましたが、自分の中には研究開発を生涯続けていくイメージはなかったんですよね。

栗村:
それはどうしてですか?

高尾:
研究開発を行う上で磨かれる「わかる」ための力って、自然物を相手にする化学以外のことにも活かせるのではないか?という仮説を持っていて。その仮説を検証してみたい、と思うようになったんです。面白い会社があったら、いつでも転職してみたいな、と考えていたときにクラシコムの求人と出逢いました。

栗村:
僕ら、ぜんぜん入社のきっかけが違うものですね。クラシコムに惹かれたのは、なぜです?

高尾:
「外から見ても全然わからない会社だった」というのは大きいですね。

栗村:
あぁ、その感覚はわかります。「北欧、暮らしの道具店」だけを見ていても、それはクラシコムの会社としての実情とは、ちょっと違う……。

高尾:
そうそう。つまり、この会社の中にある「わかる」ためのプロセスは、きっと楽しめるんじゃないかと感じました。今のところ、その狙いは当たっていますね。まだまだ「わからない」ことだらけですから。

栗村:
高尾さんがデータ分析してくれたり、レポートにまとめてくれたりする仕事は、今の話を聞いて納得感がありました。わからないことを言葉にする、というか。

僕自身は、その「わからないことを言葉にする」というのは苦手なほうなんです。でも、クラシコムのメンバーに共通して感じるのは、その取り組み方がみんな得意だったり、向き合っていたりすることなのかなって。

高尾:
わかります、わかります。それにクラシコムは「わからないこと」が、まだまだあると感じます。それこそ青木さんや佐藤さんも、毎年の終わりにクラシコムの社史をつくって1年間を振り返っているけれど、「自分たちは何者であるのか」という定義が、どんどん変わっていって。

それは本当に会社が毎年変わっているからで、一度「わかった!」と思ったことでも、「いやいや、まだわからないことがあるぞ」と、掘れば掘るほど出てくるから楽しい。飽きないなぁ、って思います。

 

「僕ら、一緒にいたいから何をしようか」

栗村:
とはいえ、入社のときに必要なスキルを持っていなかったとしたら、最初は大変だったんじゃないですか?

高尾:
それが、そうでもなかったんですよ。クラシコムって「あなたはこれをしなければならない」という前提で入社する人のほうが少ない印象があって。だから、その期待に答えないと居場所がなくなっちゃうような危機感がずっとないんですよ。それはスタッフのみんなの接し方とかにも影響されているとは思うんですけど。

僕も最初は、取り立ててやれることがなかったので、いろんな人の定例ミーティングに参加させてもらって感想を書いていました。そうすると「外から観察すると、こんなふうに見えるんですね」なんて言ってもらえる。「あぁ、これも仕事における貢献の一つなんだ」と感じられました。

栗村:
確かに、よく考えたら「自分が何かをしなきゃ!」という感じがないかも。

高尾:
そう思います。まずは存在していることが認めてもらえて、その上で「あなたの果たせる役割は何だっけ?」と考える順番なのかな。「僕ら、一緒にいたいから何をしようか」みたいな(笑)。

栗村:
高尾さんが物流やデータ分析、社員のサポートをしてくれているのも、そうやって見つけていった仕事なんでしょうね。

高尾:
そうですね。もともとは青木さんが担っていた仕事を替わる立ち位置だったのもありますし、社内でこぼれている仕事を自分から取りに行ったら、今みたいになっていました。

 

飽きずに日々を楽しめるスタンスで

栗村:
高尾さんは「もっとこうしていきたいな」みたいなこと、ありますか?

高尾:
「わからないこと」を日々提供してもらえているのは喜びになっていますし、あとは「この人たちと仕事したい」という環境にいられるのも、居心地の良さにつながっている。そうは思いつつ……自分が飽きてしまわないようにすることですね。

前職の研究開発職は8年くらい続けていましたが、そこで「次へ進みたくなった感じ」を覚えたときにクラシコムに出逢った。だから、クラシコムの中で「次へ進みたくなる感じ」を作っていけたら、と思っています。

たとえば、僕のいるビジネスプラットフォーム部は、今は部署単体で売上を出せてはいません。でも、そこにチャレンジして、世の中の人に良いものを提供しながら、自然とお金をいただける状況をつくってみたいです。当座の目標はそこですけれど、まずは目の前にまだまだある「わからないこと」への向き合いですね。

栗村:
高尾さんが日々を楽しめるのは、そのスタンスにあるんだろうな、と感じました。

(おわり)

【写真】川村恵理

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