【クラシコムのしごと】みんなが使いやすいシンプルって? 「NORMALLY」チームに密着しました
編集スタッフ 吉野
北欧、暮らしの道具店で働くスタッフの様子をお届けしている不定期連載「クラシコムのしごと」。
今回話を聞いたのは、当店のオリジナルブランド「NORMALLY」に携わるチームです。
「いつものように誰もがかろやかに使えるもの」というコンセプトのもとお届けして、立ち上げから2年が経ちました。
お届けするアイテムはカバンから始まり、財布やスリーブケース、そしてアパレルまで広がっています。実は、スタッフにもその愛用者は増えていて、「今の自分にぴったりの財布です」「夫婦で兼用しています」といった声も。
その理由はなんだろう?と気になったのも、インタビューのきっかけ。今回は、デザイナーと品質管理を担当するスタッフの3名に、アイテム制作で大事にしていることや、これからのことをじっくり聞いてみました。
▲左から、品質管理担当のプライベートブランド開発グループ藤田、コーポレートクリエイティブ室(CC室)・デザイナーの波々伯部(ほほかべ)、CC室マネージャーでデザイナーの佐藤。
誰もが「ふと手にとれる」ものを作るには?
佐藤:
「ブランド誕生のきっかけは、当店で自分自身も日常的に使いやすいユニセックスなアイテムを作ってみたい、と思ったことでした。そこで個人的にちょっとずつブランドの構想を練り始めて。その頃から、雑貨や洋服といったカテゴリーに縛られずに展開するブランドを、と思っていたんです。
当初から変わらずあるのは、『軽やかに使えるものを作りたい』ということ。
大事な日や、ここぞというときよりは、日常でつい手にとってしまう、暮らしに寄り添える存在になれたらと思ってデザインしています」
▲商品ページにも「ふと手にとってしまう」「かろやかに」の思いが。佐藤:
「『ふと手にとってしまう』ポイントって、人によって違いますよね。なのでどんな人にとっても負担なく使えるように、あえて用途を決めすぎない『多様性のあるデザイン』を意識しています。
例えば『L字ミニ財布』で決まっているのは、カードやお札を入れる場所と、小銭を入れる場所くらいなんですよ。社員には、財布ではなくカード入れとして使っている人もいます。
もちろんデザイナーとしては、こだわりを分かりやすい形で詰め込みたくなってしまうけれど、目指したい軽やかさとは遠ざかってしまうかな、と思って。
だから『この商品で自分が表現したかったことはなんだっただろう』というシンプルな本質を、掘り下げてはデザインに落とし込んで……をいつも繰り返しています。中でも財布シリーズは、本当に人によって使い方が分かれるアイテムなので、試行錯誤を重ねましたね」
目指したいイメージを、ちゃんと品質に落とし込めるか不安でした
そんなデザイナーが思う「こうしたい」を、発売までのスケジュールやコスト、縫製の方法など、あらゆる方面から実現に近づけるのが、品質管理の仕事。
もともと、もう一つの当店オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」の品質管理を担当していた藤田。実を言うと、NORMALLYチームへの参加が決まったときには不安なこともあったのだそうです。
藤田:
「『NORMALLY』のアイテムはどれも一見さらっとシンプルに見えるのですが、そのシンプルさは『軽やか』であるために対話を重ねてつくられたもの。そのひとつひとつを、ちゃんと自分が拾って商品に落とし込めるかな、という気持ちがありました。
特に重要になってくるのが、素材や縫製といった細かな部分。こちらの希望や意図については、取引先の方に丁寧に伝えるようにしています。
『軽やかさへのこだわり』をできる限り実現させたくて、調整を重ねながら、日々奮闘中です」
佐藤:
「商品ページや写真を撮るスタジオも、ブランドの世界観をお届けしたくこだわっています。
例えば、光の入り方や床の素材がフィットするスタジオを探したり、構成や写真のセレクトにも関わったりしていて。ページに流れる空気感や素材感を大事にしたかったんですよね。
撮影現場には直接足を運んで、コーディネートや使う撮影小物も、スタイリストさんや商品ページ担当のスタッフ、波々伯部と相談して決めていきました。
他部署のスタッフにも、通常の業務とはまた違ったことをお願いすることになり、本当にいろんな人に協力してもらって実現できたこと。関わってくれている人にも楽しんでもらえていたら嬉しいですね」
波々伯部:
「『NORMALLY』らしさをページに表現するにはどうしたらいいか、様々に相談しながら進めていますね。ブランドのコンセプトの他にも、男性が見てもほしいと思ってもらえるかな?という視点も意識しながら、試行錯誤を重ねています」
「NORMALLY」が、お店の入口を広げられる存在でいられたら
「NORMALLY」は独自のテイストを持つブランドだなあと感じる一方で、お客さまにお届けしたい気持ちや体験は似ているのかも?ということも同時に感じていました。当店の中ではどんな場所にあるブランドなのでしょうか。
波々伯部:
「お店全体を大きな円とすると、『KURASHI&Trips PUBLISHING』は当店の軸となるブランドだと思います。一方で『NORMALLY』は、いい意味でけっこう端のほうにいて、ちょっと外側にもはみ出していて……。そんな『ちょっと外側』からの入口になっていたら面白いな、と考えています」
波々伯部:
「どちらのブランドも、生活の中で『これを使うとどう感じるか』といったことを大切にしていて。違うブランドだけど、一つのお店の中に存在しているからこそ、共通点はあるのだと思います。
『NORMALLY』としては、ブランドとしての差別化や、これは男性のもの、女性のもの、というところにこだわりすぎないように、と日々考えていて。『NORMALLY』みたいなテイストが好きでお店を訪れたけれど、隣に並んでいた別のアイテムも気になる!とか、そんなふうにちょっとずつ円が広がっていくための窓口になっていると嬉しいですね」
「NORMALLY」スタッフのお気に入り商品は?
印象に残っている商品や、実際に暮らしで愛用している商品について聞いてみました。
藤田:
「印象に残っているのは、このライトジャケット。これは『NORMALLY』を担当することになって初めての商品だったんです。
クラシコムに入社して1ヶ月後の8月に『NORMALLY』の担当になって、そこから10月の納品まで必死で駆け抜けました。デザイナーチームの理想に少しでも近づけるために、縫製にすごくこだわった商品です。こうして改めて見ると、感慨深いですね」
波々伯部:
「愛用品はバンドカラーシャツです。夫と兼用で着ています。
ふと手にとってしまう、まさに『NORMALLY』らしいアイテムですごく好きです。細かい推しポイントがあるのではなく、着ているところが『なんかいい』シャツなんです。
初めは私だけ着ていて、兼用で着ていいよと伝えたところ、夫もすっかり気に入って自分用に買い足していました。今では仕事用のワードローブになっています」
自分がお客さまだったら?に戻って、フラットに
最後に、これから変わっていきたいことや、変わらずにいたいことについて聞いてみました。
佐藤:
「携わっている僕たちが、自分が欲しいと思えるものを作れるかどうかは、これからも大事にしていきたいですね。
そうやって仕事ができるのは、お客さまを信じているから。自分たちが好きなら、きっとお客さまの好きにもどこかで通じていると信じているし、そうだといいなと思っています。
こだわることに対して慎重でもありたいです。自分にとってはこだわる必要があると感じたことも、お客さまにとってはそうではないかもしれない。
初心に戻って、自分が買うときにどう感じるかな、とフラットにものを考えていきたいですね。その結果変わることは沢山あると思うので、その変化には柔軟でいたいです」
波々伯部:
「コンセプトである『日常でふと手にとってしまうような、軽やかに使えるものを作る』という感覚は今後も持ち続けたいです。
そこさえ変わらなければ、『NORMALLY』は成立するんじゃないか、とも思っていて。商品の展開に関しても変化があってもいいかもしれませんよね。
『北欧、暮らしの道具店』自体もどんどん変化しているなかで、コンセプトを実現するために変えていく必要があれば、その変化と同時に『NORMALLY』も変わっていってもいいのではないかな、と思っています」
藤田:
「当店へ訪れるお客さまの入口は様々かもしれませんが、世界観は一つ。なので、たまたま『NORMALLY』を見つけて買ってくださったお客さまにも納得いただけるよう、私は品質面から、その世界を守れるようにしたいなあと思っています」
インタビューを通して、誰もがつい手にとってしまうことがどんなことなのかを、デザインや品質を通して何周も考えていることが伝わってきました。だからこそ、私たちスタッフもつい愛用してしまっているのかもしれません。
なんだか「ふとしてしまうこと」には、私たちそれぞれが軽やかに過ごすためのヒントが隠れていそうです。もう少し自分の「ふとこうしてしまう」に目を向けてみようかな、と思いました。
次はどんなチームが登場するのでしょう。楽しみにお待ちいただけたら嬉しいです。
【写真】清水奈緒(4、6、9、12枚目)
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